婚約者のせいで友達が出来ないんですが

小倉みち

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第4章

会話

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 その後も、私とアベルは従兄との談笑を楽しんだ。


 と言っても、ディックとアベルの優秀かつ複雑な会話が主で、私は半分もわからない話を右から左へと聞き流していただけだったが。


 初めは、

「2人ともなんて賢いんだろう。誇らしいわ」

 なんてちょっと感激していたが、途中からだんだんイライラしてきた。


 どうして2人とも、私を置いてけぼりにするようなハイレベルな会話しかしないのだろうか。


 私だって話に加わりたいのに、内容は、

「魔導工学について」

「隣国の教育制度について」

 などの、専門的なものばかり。


 お世辞にも勉強が得意とは言えない私には、未知で理解不能な言葉が飛び交う会話に全くついていけない。


 ニコニコ聞いているにも限界があった。


 私だってディックと話をしたいのに。


 目に見えて苛立つ私を、ディックは気にしてチラチラ見ていたが、弟のアベルは気にも留めてくれなかった。

 素知らぬ顔をしながら、

「今日の授業でわからないところがあったんですけど」

 と、ディックに質問する。


 ディックが気を遣って、

「そう言えば、セレーナの授業は普段どんな感じ?」

 と、質問してくれても、

「姉上は勉強嫌いなんで、授業なんかまともに聞いていませんよ。それより――」

 と、自分の話ばかりしやがる。


 そりゃ、久しぶりにあった親戚のお兄さんと楽しい会話をしたいのはわかる。

 だけど、姉のことを遮ってまではちょっとおかしんじゃないの?


 なんてイライラし始めたら、もう止まらなくなった。


「私、自室に戻りますわ」

 苛立ちが頂点に立ったとき、私はそう言って客室を出る。


 地団太を踏みながら廊下を歩いていると、

「セレーナお嬢様」

 と、メイドのカレンに呼び止められた。

「何よ」

 私はつっけんどんに返事をする。

「言っとくけど、

『貴族の令嬢らしくない行動は控えてください』

 なんて言ったら、承知しないから」

「それを言いたいのはやまやまですが、今回は違います」

 カレンは言った。

「お嬢様に、お手紙が届いております」

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