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【完結】17
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「ちぃ……頼むから、俺の話を聞いてくれない?お願いだから……俺から逃げないで……」
腕を掴まれているせいで、逃げることができない。
もう顔も見たくないのに……
これ以上一緒にいて、傷つきたくない。
こんな所で寝るんじゃなかった。
今日も大学なんて休めばよかった……
昨晩、自分がやらかしたことに耐えられず、全然寝付けなかった。
何度寝ようとしても、海斗の顔と声を思い出して眠れなった。
ここに来れば、海斗に見つからないと思ってたのに……
陽射しが気持ち良すぎて、気付けば寝落ちしてしまった。
今にも泣き出しそうな顔をしている海斗をリュック越しにこっそりと見る。
なんでコイツが泣きそうな顔してんだよ……
泣きたいのはオレの方だ。
失恋したうえに、実はセフレ以下の扱いだったって知ったんだから……
失恋よりも、もっとひどいかもしれない。
でも、海斗を好きだって気持ちを捨てられない。
あんな最低な奴、今すぐ嫌いになればいいのに……
ホント、ホントに……未練たらしいオレはバカだ。
「ちぃ……」
海斗の懇願する姿にオレが折れて、抵抗する力を抜く。
オレが逃げるのを諦めたのを察したのか、海斗はちょっとだけ表情をほころばしたあと、いきなり地面に正座で座り出した。
「安西 千鶴さん、改めて俺の話しを聞いてください!」
今まで見たこともないような真剣な眼差しでオレをジッと見つめてくる。
「俺は渡貫 海斗です。10月24日生まれ、今年で22歳になります。来年からずっとバイトで働いてたアパレル会社に社員として就職が決まりました。俺には好きな子がいます!正直、最初は好奇心というか、真面目過ぎる顔が慌てるのを見たいだけでした。快楽に弱くて流されやすい可愛い子です。気は強くて強情なのに、真面目だけどどこかヌケてる子です。ノラ猫みたいにツンデレで素直じゃないけど、熱を出した時は自分から甘えてくるめちゃくちゃ可愛いところがあります。口では文句言ってても、俺の好きなモノ作ってくれる理想の恋人。ねぇ、千鶴。こんなの、好きにならない方がおかしいと思わない?」
長々と恥ずかしいことを口にしながら、最後は眉を下げながらもクシャッといつもの笑みを浮かべてくる。
「好きです。俺は安西 千鶴のコトが大好きです。他の奴にお前を取られるのなんて嫌だ。俺のこと、好きになって欲しい。うわ言でちぃに『好き』って言って貰えた時の俺の気持ちわかる?ホントに、本当に、嬉しかった」
海斗の声が、海斗の顔が、繋がれた手が、全部が全部、オレのことを好きだって伝えてくる。
さっきから心臓がバクバクうるさくてしかたない。
海斗の告白が本当なのか信じられない。
自分が、今どんな顔をしているのかわからない。
持っていたリュックが手から滑り落ち、中に入っていた筆記用具が地面に散らばる。
拾わなきゃって思ってるのに、海斗のことで頭がいっぱいで、どうすることもできない。
「む、無理……」
掴まれている方と別の方の手で口元を隠し、海斗に顔が見えないように背ける。
心臓が口から飛び出しそうになりながら、やっと言えたのはソレだけだった。
そんなオレの反応に、海斗は悲しげな表情を浮かべつつも、オレの手を強く握ってくる。
「無理なら、ずっと待つから。好きになって貰えるように努力する。ちぃの側に居たい。千鶴を誰にも渡したくないよ」
信じても、いいんだろうか……
冗談とか、罰ゲームじゃないんだろうか……
海斗が、オレのことを好き?
ありえない。だって、……オレと海斗の関係は……
「ちぃ……ちぃ以外の恋人はいないよ。俺の恋人は千鶴だけだよ」
海斗の言葉を聞く度、胸がギュウっと締め付けられる。
「千鶴のこと、オナホなんて思ったことない。セフレなんて、そんな悲しい関係とも思ったことない」
さっきから喉が渇いたみたいに、張り付いて声が出ない。
この気持ちを伝えていいのか、怖くてしかたない。
「千鶴のこと、ずっと恋人だって思ってた。ずっと愛しくてしかたない恋人だって思ってた」
海斗の言葉に、自分がずっと悩んでいた気持ちが溶かされていく。
「……今晩、泊まってくれるなら考える。朝まで一緒にいて、オレの部屋にお前のマグカップ置いてくれるなら……。ずっと、一緒に居てくれるなら、考える……」
声が震えてしまう。
たったそれだけの言葉なのに、唇が震えて、ハッキリと言えない。
ずっと怖くて言えなかった。
本当はずっと思っていた。
夜、何度も身体を重ねていたはずなのに、朝、目が覚めるとベッドには誰の温もりも残っていない。
ひとりでいるのが寂しかった。
海斗を思い出すアイテムが欲しかった。
海斗が他の人と楽しく喋っているのを見ると、胸が苦しかった。
素直に気持ちを伝えられる彼女たちが羨ましかった。
「ちぃ、泊まってもいいの?」
オレの顔を覗き込むように立ち上がり、ゴツめのシルバーの指輪を嵌めた指の背で、優しく涙を拭ってくれる。
海斗自身もまだ不安そうな表情を浮かべているけど、どこか期待のこもった声で聞き返してくる。
「他には?千鶴のして欲しいこと、なんでも言って?」
オレの頬をそっと手で包むように手が添えられ、涙が浮かんだ目で見つめてくる。
ズルいな……
ずっと好きだった人にこんなこと言われたら、素直になるしかないだろ……
「キス、して欲しい……」
オレが言った直後に、触れるだけの口付けをしてくれる。
「もっと……」
触れるだけの口付けが、徐々に深くなっていく。
オレが上顎を舐められるのが好きなのもバレているせいか、ここが大学の中庭だってことも忘れて何度もキスをした。
息が上がるくらいの深い口付けに、改めて海斗と目が合うと恥ずかしいと思ってしまう。
「はぁ~、やったぁ~!」
いきなり大きな声を上げ、ぎゅうぅっと抱きしめられ、ビックリしてしまう。
「ちょっ、海斗、声がデカいって……」
慌てているオレを見て、クスクス笑いながらも離してはくれない。
「……でも、お前があんな告白してくるなんて思わなかった。正座だし、なんか自己紹介っぽいし……」
恥ずかしいのを隠すように目を背けながらも文句を口にすると、クシャッと子ども見たいな笑みを浮かべて言われた。
「しかたないだろ?ずっと付き合ってるって思ってた好きな子に、セフレ以下のオナホ扱いとか誤解されて焦ってたんだから。初めてできた本気の恋人に改めて愛の告白するなんて思ってもなかったんだよ。俺だって必死だったの」
ギュッと抱き締めてくる彼の胸が、オレと同じくらいドキドキしているのを感じて嬉しく思ってしまう。
不安だったのは、オレだけじゃないんだ……
ってか、ずっと……海斗も……
「ちぃ、このまま泊まりに行ってい?今日は朝までずっと一緒にいたい」
コツンと合わせられた額が熱い。
緑の混じった綺麗な目がオレだけを見つめてくれてる。
「ちぃ、ちゃんと恋人になろ?大切にするから。千鶴だけをずっと愛してるから、千鶴の恋人に俺を選んで」
オレたちの関係には名前なんてなくて……
でも、これからはあってもいいかも……
オレも海斗となら、『恋人』っていう関係になりたいって思っているから……
腕を掴まれているせいで、逃げることができない。
もう顔も見たくないのに……
これ以上一緒にいて、傷つきたくない。
こんな所で寝るんじゃなかった。
今日も大学なんて休めばよかった……
昨晩、自分がやらかしたことに耐えられず、全然寝付けなかった。
何度寝ようとしても、海斗の顔と声を思い出して眠れなった。
ここに来れば、海斗に見つからないと思ってたのに……
陽射しが気持ち良すぎて、気付けば寝落ちしてしまった。
今にも泣き出しそうな顔をしている海斗をリュック越しにこっそりと見る。
なんでコイツが泣きそうな顔してんだよ……
泣きたいのはオレの方だ。
失恋したうえに、実はセフレ以下の扱いだったって知ったんだから……
失恋よりも、もっとひどいかもしれない。
でも、海斗を好きだって気持ちを捨てられない。
あんな最低な奴、今すぐ嫌いになればいいのに……
ホント、ホントに……未練たらしいオレはバカだ。
「ちぃ……」
海斗の懇願する姿にオレが折れて、抵抗する力を抜く。
オレが逃げるのを諦めたのを察したのか、海斗はちょっとだけ表情をほころばしたあと、いきなり地面に正座で座り出した。
「安西 千鶴さん、改めて俺の話しを聞いてください!」
今まで見たこともないような真剣な眼差しでオレをジッと見つめてくる。
「俺は渡貫 海斗です。10月24日生まれ、今年で22歳になります。来年からずっとバイトで働いてたアパレル会社に社員として就職が決まりました。俺には好きな子がいます!正直、最初は好奇心というか、真面目過ぎる顔が慌てるのを見たいだけでした。快楽に弱くて流されやすい可愛い子です。気は強くて強情なのに、真面目だけどどこかヌケてる子です。ノラ猫みたいにツンデレで素直じゃないけど、熱を出した時は自分から甘えてくるめちゃくちゃ可愛いところがあります。口では文句言ってても、俺の好きなモノ作ってくれる理想の恋人。ねぇ、千鶴。こんなの、好きにならない方がおかしいと思わない?」
長々と恥ずかしいことを口にしながら、最後は眉を下げながらもクシャッといつもの笑みを浮かべてくる。
「好きです。俺は安西 千鶴のコトが大好きです。他の奴にお前を取られるのなんて嫌だ。俺のこと、好きになって欲しい。うわ言でちぃに『好き』って言って貰えた時の俺の気持ちわかる?ホントに、本当に、嬉しかった」
海斗の声が、海斗の顔が、繋がれた手が、全部が全部、オレのことを好きだって伝えてくる。
さっきから心臓がバクバクうるさくてしかたない。
海斗の告白が本当なのか信じられない。
自分が、今どんな顔をしているのかわからない。
持っていたリュックが手から滑り落ち、中に入っていた筆記用具が地面に散らばる。
拾わなきゃって思ってるのに、海斗のことで頭がいっぱいで、どうすることもできない。
「む、無理……」
掴まれている方と別の方の手で口元を隠し、海斗に顔が見えないように背ける。
心臓が口から飛び出しそうになりながら、やっと言えたのはソレだけだった。
そんなオレの反応に、海斗は悲しげな表情を浮かべつつも、オレの手を強く握ってくる。
「無理なら、ずっと待つから。好きになって貰えるように努力する。ちぃの側に居たい。千鶴を誰にも渡したくないよ」
信じても、いいんだろうか……
冗談とか、罰ゲームじゃないんだろうか……
海斗が、オレのことを好き?
ありえない。だって、……オレと海斗の関係は……
「ちぃ……ちぃ以外の恋人はいないよ。俺の恋人は千鶴だけだよ」
海斗の言葉を聞く度、胸がギュウっと締め付けられる。
「千鶴のこと、オナホなんて思ったことない。セフレなんて、そんな悲しい関係とも思ったことない」
さっきから喉が渇いたみたいに、張り付いて声が出ない。
この気持ちを伝えていいのか、怖くてしかたない。
「千鶴のこと、ずっと恋人だって思ってた。ずっと愛しくてしかたない恋人だって思ってた」
海斗の言葉に、自分がずっと悩んでいた気持ちが溶かされていく。
「……今晩、泊まってくれるなら考える。朝まで一緒にいて、オレの部屋にお前のマグカップ置いてくれるなら……。ずっと、一緒に居てくれるなら、考える……」
声が震えてしまう。
たったそれだけの言葉なのに、唇が震えて、ハッキリと言えない。
ずっと怖くて言えなかった。
本当はずっと思っていた。
夜、何度も身体を重ねていたはずなのに、朝、目が覚めるとベッドには誰の温もりも残っていない。
ひとりでいるのが寂しかった。
海斗を思い出すアイテムが欲しかった。
海斗が他の人と楽しく喋っているのを見ると、胸が苦しかった。
素直に気持ちを伝えられる彼女たちが羨ましかった。
「ちぃ、泊まってもいいの?」
オレの顔を覗き込むように立ち上がり、ゴツめのシルバーの指輪を嵌めた指の背で、優しく涙を拭ってくれる。
海斗自身もまだ不安そうな表情を浮かべているけど、どこか期待のこもった声で聞き返してくる。
「他には?千鶴のして欲しいこと、なんでも言って?」
オレの頬をそっと手で包むように手が添えられ、涙が浮かんだ目で見つめてくる。
ズルいな……
ずっと好きだった人にこんなこと言われたら、素直になるしかないだろ……
「キス、して欲しい……」
オレが言った直後に、触れるだけの口付けをしてくれる。
「もっと……」
触れるだけの口付けが、徐々に深くなっていく。
オレが上顎を舐められるのが好きなのもバレているせいか、ここが大学の中庭だってことも忘れて何度もキスをした。
息が上がるくらいの深い口付けに、改めて海斗と目が合うと恥ずかしいと思ってしまう。
「はぁ~、やったぁ~!」
いきなり大きな声を上げ、ぎゅうぅっと抱きしめられ、ビックリしてしまう。
「ちょっ、海斗、声がデカいって……」
慌てているオレを見て、クスクス笑いながらも離してはくれない。
「……でも、お前があんな告白してくるなんて思わなかった。正座だし、なんか自己紹介っぽいし……」
恥ずかしいのを隠すように目を背けながらも文句を口にすると、クシャッと子ども見たいな笑みを浮かべて言われた。
「しかたないだろ?ずっと付き合ってるって思ってた好きな子に、セフレ以下のオナホ扱いとか誤解されて焦ってたんだから。初めてできた本気の恋人に改めて愛の告白するなんて思ってもなかったんだよ。俺だって必死だったの」
ギュッと抱き締めてくる彼の胸が、オレと同じくらいドキドキしているのを感じて嬉しく思ってしまう。
不安だったのは、オレだけじゃないんだ……
ってか、ずっと……海斗も……
「ちぃ、このまま泊まりに行ってい?今日は朝までずっと一緒にいたい」
コツンと合わせられた額が熱い。
緑の混じった綺麗な目がオレだけを見つめてくれてる。
「ちぃ、ちゃんと恋人になろ?大切にするから。千鶴だけをずっと愛してるから、千鶴の恋人に俺を選んで」
オレたちの関係には名前なんてなくて……
でも、これからはあってもいいかも……
オレも海斗となら、『恋人』っていう関係になりたいって思っているから……
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