オレとアイツの関係に名前なんていらない

こうらい ゆあ

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おまけ ふたりの約束

1.

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 いつもよりも頭がぽやぽやする。
 昨晩は、酷い目に遭った。
 アイツにとってオレはセフレか、それ以下のオナホ程度と思われていると……ずっと思っていた。
 でも、それはオレの勘違いというか……お互い、ちゃんと気持ちを伝えていなかったことがそもそもの原因だったわけで……
 
 朝の光がカーテンの隙間から差し込んで、部屋に柔らかな明るさを広げていた。
 窓の外では、どこか遠くで鳥のさえずりが聞こえる。
 いつもならこんな時間に目が覚めることなんてないのに、昨晩の出来事が頭から離れなくて、つい早起きしてしまった。
 ベッドのシーツは少し乱れていて、隣にいる海斗カイトの体温がまだほのかに残っている。

「んぅ~……ちぃ?」
 オレの横で幸せそうに寝ていた海斗カイトが、まだ寝ぼけた様子でオレの名前を呼んできた。
「おはよぉ~。ちぃ、愛してるよ。昨日もいっぱいイってたけど、身体大丈夫?」
 起きて早々にオレに抱き着いてきたと思うと、ベッドに押し倒してきてそのまま顔中にキスをしてくる。
「ンッ……ぅる……さぃ」
 嬉しいはずなのに、素直になることがまだできず、ついつい文句を口にしてしまう。

 海斗カイトの髪がオレの頬をくすぐるたびに、昨晩の甘い囁きがフラッシュバックしてくる。
 あの熱っぽい声で何度も「愛してる」と言われたせいで、胸の奥が今もざわついている。
 こんな風に朝から抱きつかれるなんて、まるで夢の中にいるみたいだ。
「ちぃちゃん、昨晩は素直だったのに~。まぁ、そこも可愛いんだけどね」
 チュッと音を立ててワザとキスをされるとこれ以上文句なんて言えない。
 しかも、海斗カイトがオレのことを好きでしかたないって目で見てくるから、昨晩の行為の数々を思い出してしまって顔が火照ってしかたない。
 だって、あんなに愛の言葉を囁かれるとは思ってもみなかった。
『ちぃ、大好き』
『千鶴、愛してる』
『ちぃのココ、俺のもっとって吸い付いてくるのわかる?』
『ちぃ、俺が好きって言うたびにキュって締めつけるの可愛い。ここ、気持ちいいね』
『千鶴も俺のこと好き?愛してる?』
 あの時の海斗カイトの声は、まるでオレの心を直接撫でるみたいだった。
 普段は明るくて少し軽いノリの彼が、こんなにも真剣にオレを見つめるなんて……。
 そのギャップにやられて、つい何度も「好き」って口にしてしまった。
 あんなの、反則だろ。
「…………」
 自分から素直に「好き」とか「愛してる」って言えないでいると、頭の中がぐちゃぐちゃになるくらいイジメられて、イキたいのにイかせて貰えなくて……
 泣きながら懇願して、何度も「好き」とか「愛してる」って言わされた気がする。
 でも、好きな気持ちに嘘偽りはない。
 ただ、ちょっと……言い慣れない言葉が恥ずかしいだけだ。
 海斗カイトに「好き」って言うとめちゃくちゃ嬉しそうな顔をされて、それがなんか嬉しくて……
 無意識にナカを締めつけちゃうみたいで、何度も身体を求められた。

「ちぃ、俺が珈琲淹れよっか?あと簡単な朝食作ったげる。ちぃは、まだ立てないだろ?」
 オレに覆いかぶさったままそっとヘソの下辺りをゆっくりと海斗カイトの大きな手が撫でてくる。
 昨晩、何度も突かれ、奥まで挿ってきた位置を撫でられると、ピクンッと身体が反応してしまう。
「ちぃ、可愛い。今すぐちぃのこと抱きたい……。またココまで挿れて、ナカをいっぱいにしてあげたい」
 耳元で熱っぽく囁かれると、無意識に身体が期待してしまう。
 昨晩出されたモノは、オレが気を失っている間に掻き出してくれたらしい。
 ちゃんとゴムはしていたはずなのに、後半はナカも外もベトベトになってた気がする……

「ふふっ……ちぃ、期待しちゃった?けど、今日は一緒に買い物行く約束だから、夕方までお預けね」
 チュッと触れあうだけの口付けをして、海斗カイトは早々にお湯を沸かしく行ってしまった。
 オレは、海斗カイトのことだから、1回くらいはするんだと思っていた……
「イヤだ」って文句を言っても、無理矢理1回は挿入してくるもんだと思っていた……
 それだけに、さっさとズボンだけ穿いて、ベッドから出て行ってしまった海斗カイトに驚きを隠せない。
 ポカーンと間抜けな顔で海斗カイトの後ろ姿を見送ってしまった。
 って、べ、別に期待なんてしてない!
 昨日、散々やったはずなのにまだするのかよ。って、文句を言いたかっただけで、期待なんて一切してない!
 慌てて自分の思考を振り切るように頭を左右に振って邪念を振り払う。
 そうだよ。昨晩ってか、朝方まで散々泣かされたから、これ以上ヤらなくて正解なんじゃん。
 散々奥までアレで突かれたせいで、今もなんか挿ってる感覚がある。
 さっきちょっとお腹を撫でられたせいで、昨晩どこまで挿ってたのかを思い出してナカが疼く。
 あ……ちょっと勃ってる……
 じゃなくて、ただ、色々と言いたいことがあって……
 キッチンを勝手に使われるのは何となくまだ嫌だとか……
 海斗カイトが料理なんてできるのか?とか……
 海斗カイトのためにオレが朝食を用意したかったとか……
 もっと一緒にいたかったとか……
 海斗カイトに抱きしめられながら、もうちょっとだけ寝ていたかったとか……

 べ、別に海斗カイトのためなんかじゃない!
 キッチンをアイツが触って無事なのか心配なだけ。
 心配だからオレもそろそろ起きて手伝いくらいは……
 って思って、ベッドから起き上がろうとしたが無理だった。
 海斗カイトが言っていた通り、足腰に力が入らず、立とうにも腰が抜けてしまって動けない。
 気合でどうにかしようとしたけど、立とうとしたらペタンとその場に座り込んでしまう始末だった。

「ほら、ちぃ言っただろ?俺が朝食は準備するから、ちぃはここで待ってて」
 海斗カイトに抱き上げられ、そのままベッドに戻される。
 今まで何度も抱かれたはずなのに、こんな風に立てなくなった自分が情けなくて、海斗カイトに言われるまま朝食ができるのを待った。

 キッチンから聞こえる水の流れる音が、なんだか現実感を帯びてくる。
 海斗カイトがコーヒーメーカーに水を注ぐ姿を想像すると、普段の彼の不器用さが頭をよぎる。
 あいつ、ホントに珈琲ちゃんと淹れられるのか?
 なんか不安しかないんだけど……
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