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巣作り出来ないΩくん
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高校を卒業して、彼は大学に通いながらお義父さんの仕事を手伝うようになった。
小さいけど、特殊な機械の部品を作っている工場。
彼は、期待の跡取り息子だから……
本当は、大学でもっとたくさんのことを学んで、大学を卒業してから就職する予定だったんだって……
でも、僕が発情期事故を起こしてしまったせいで、その予定も狂ってしまった。
大学に行かずに、そのまま働くことになっていたんだけど、そこはお義父さんが許さなくて……
昼間は大学で必死に勉強して、夕方から遅くまで工場で仕事をする。
大学と仕事を両立させながら、忙しなく働く彼。
こうなってしまったのは、僕との生活があったから……
僕も、大学には行きたかったけど、養って貰っているから何も言えない。
「一緒に働く」って言ったけど、凄く嫌そうな顔をされて、その日はたくさん殴られた。
僕はこの部屋から外に出ることを許されていない。
買い物も、散歩も……
外に出るのは、マンションのベランダに洗濯物を乾す時だけ。
それ以外の時は、ベランダに出ることすら許されない。
それでも、彼と一緒に居られるんだと最初は嬉しかった。
忙しくて、疲れている彼に少しでも喜んで貰いたかった。
いつの日か、僕のことを好きになって貰えるように、家事はひと通り出来るようになった。
言われたことは、なんでも言われた通りにした。
この家では、彼が絶対のルールで、守らないと殴られる。
◎行為中は絶対に声を出さない。
◎求められたら、どんな時でも四つん這いになって受け入れる。
◎絶対にキスをしない。
◎無駄口を叩かない。
◎外に出て、誰にも会わない。
◎この部屋に住んでいるのを住人にバレてはいけない。
◎彼の命令には、何がなんでも、絶対に従う。
一緒に暮らすようになって1年が経つけど、抱いてくれるのは彼の性処理の為だけ。
僕たちは、夫夫だけど、彼にとって僕は違うらしい。
行為中は絶対に顔を見ないし、ちょっとでも喘ぎ声や苦痛で声を出してしまうと殴られる。
声を殺す為に、いつも腕を噛んだ。
痛くても苦しくても、腕を噛んで耐える。
絶対に声を出してはいけない。
腕には、痣のような歯型が幾つも出来てしまい、消えることなく残った。
発情期になると、彼に抱いて欲しくて泣きながら縋ったけど、いつも以上に不機嫌になって殴られた。
痛くて、苦しくて……でも、身体が熱くて仕方がない。
番に抱いて欲しいけど、彼は僕のことが嫌いだから……
それ以来、発情期の時は一切触ってくれない。
彼が僕を抱く時は、彼がヤリたい時だけ。
どんなに体調が悪くても、眠くて仕方ない時でも、料理を作っているときでも……
彼が「脱げ」って言ったら、どんな時でも下を脱いで、四つん這いになって脚を開く。
前戯なんてものはない。
ローションをかけられ、解してもいないアナルに一気に突っ込まれる。
何度もお腹のナカをめちゃくちゃに犯されて、イクのも我慢させられる。
夫夫でも、恋人でも、セフレでもない。
ただのオナホと同じ扱いでしかなかった。
僕たちは、番だけど番じゃない。
僕は彼が好きだけど、彼はそうじゃないから……
初めて教室で抱いてくれた時も、この部屋に一緒に住んでいる時も、キスは今まで一度もしたことがない。
「好き」だって、一度も言われたことがない。
一緒に居てくれるのはただの義務感から……
だから……僕が発情期になると、彼は今日みたいに出て行って帰って来ない。
帰って来ても、知らないΩのフェロモンの香りを付けて帰ってくる。
僕の番なのに、僕たち番なのに……
叫びたい気持ちを押し殺して、また怒られないように息を潜めて生活する。
発情期が来るのが怖くて、抑制剤をたくさん飲んで、部屋の隅で自慰をしてやり過ごすしかない。
僕なんかを助けてくれる人は誰も居ない。
寂しさと悲しさで壊れそうな日々を、ただひとりで過ごすしかなかった。
そんな日々を過ごしていたある日、彼がすごく嬉しそうに帰ってきた。
あんなに晴れやかな笑顔の彼を見るのはいつぶりだろう。
大好きだった彼の笑顔。
ずっと見たかった笑顔。
「やっと開放だ!!オレの、オレだけの本当のΩを見つけた!」
僕のことを見下しながら、彼は嬉しそうにそう告げた。
「やっとこのクズの顔を見なくて済む!お前なんて要らない。さっさと出て行け!」
冷たい声で半分笑いながら言われた。
いきなりのこと過ぎて、意味が上手に理解できなくて固まっていると殴られた。
「やっと追い出せる!お前なんて大っ嫌いだったからな!」
殺意に満ちた目で睨み付けられ、僕は言葉を失った。
でも、内心ホッとしてしまった。
これでもう怯えなくて済む。
殴られなくて済むって……内心少し安堵してしまったんだ……
それからの彼と彼の家族の行動は早かった。
新しい番が出来たから、書類上の処理をさっさと済ませ、僕との番契約を破棄する。
僕の私物は、勝手にダンボールにまとめられて実家に送り返された。
私物と言っても、殆どなにも持っていなかったから、小さめのダンボール3つ分くらいだったけど……
あとは、勝手に捨てられてしまった。
大切にしていたノートも、本も、思い出のあるぬいぐるみも……
彼は、何も覚えていないようだったけど、僕が大切にしていたイルカのぬいぐるみ……
お願いしたけど、僕に見せつけるように、ハサミでズタズタにされて捨てられてしまった……
それだけ……僕のことが、嫌いだったんだね。
気付かなくて……気付けなくて……ずっと、居続けてしまって、ごめんなさい。
強制的に番を解消されて、彼の下に僕の居場所はなくなって……
僕は当然のように、実家に帰されることとなった。
偽りの夫夫関係は、こんなにもあっさりと終わりを告げてしまった。
小さいけど、特殊な機械の部品を作っている工場。
彼は、期待の跡取り息子だから……
本当は、大学でもっとたくさんのことを学んで、大学を卒業してから就職する予定だったんだって……
でも、僕が発情期事故を起こしてしまったせいで、その予定も狂ってしまった。
大学に行かずに、そのまま働くことになっていたんだけど、そこはお義父さんが許さなくて……
昼間は大学で必死に勉強して、夕方から遅くまで工場で仕事をする。
大学と仕事を両立させながら、忙しなく働く彼。
こうなってしまったのは、僕との生活があったから……
僕も、大学には行きたかったけど、養って貰っているから何も言えない。
「一緒に働く」って言ったけど、凄く嫌そうな顔をされて、その日はたくさん殴られた。
僕はこの部屋から外に出ることを許されていない。
買い物も、散歩も……
外に出るのは、マンションのベランダに洗濯物を乾す時だけ。
それ以外の時は、ベランダに出ることすら許されない。
それでも、彼と一緒に居られるんだと最初は嬉しかった。
忙しくて、疲れている彼に少しでも喜んで貰いたかった。
いつの日か、僕のことを好きになって貰えるように、家事はひと通り出来るようになった。
言われたことは、なんでも言われた通りにした。
この家では、彼が絶対のルールで、守らないと殴られる。
◎行為中は絶対に声を出さない。
◎求められたら、どんな時でも四つん這いになって受け入れる。
◎絶対にキスをしない。
◎無駄口を叩かない。
◎外に出て、誰にも会わない。
◎この部屋に住んでいるのを住人にバレてはいけない。
◎彼の命令には、何がなんでも、絶対に従う。
一緒に暮らすようになって1年が経つけど、抱いてくれるのは彼の性処理の為だけ。
僕たちは、夫夫だけど、彼にとって僕は違うらしい。
行為中は絶対に顔を見ないし、ちょっとでも喘ぎ声や苦痛で声を出してしまうと殴られる。
声を殺す為に、いつも腕を噛んだ。
痛くても苦しくても、腕を噛んで耐える。
絶対に声を出してはいけない。
腕には、痣のような歯型が幾つも出来てしまい、消えることなく残った。
発情期になると、彼に抱いて欲しくて泣きながら縋ったけど、いつも以上に不機嫌になって殴られた。
痛くて、苦しくて……でも、身体が熱くて仕方がない。
番に抱いて欲しいけど、彼は僕のことが嫌いだから……
それ以来、発情期の時は一切触ってくれない。
彼が僕を抱く時は、彼がヤリたい時だけ。
どんなに体調が悪くても、眠くて仕方ない時でも、料理を作っているときでも……
彼が「脱げ」って言ったら、どんな時でも下を脱いで、四つん這いになって脚を開く。
前戯なんてものはない。
ローションをかけられ、解してもいないアナルに一気に突っ込まれる。
何度もお腹のナカをめちゃくちゃに犯されて、イクのも我慢させられる。
夫夫でも、恋人でも、セフレでもない。
ただのオナホと同じ扱いでしかなかった。
僕たちは、番だけど番じゃない。
僕は彼が好きだけど、彼はそうじゃないから……
初めて教室で抱いてくれた時も、この部屋に一緒に住んでいる時も、キスは今まで一度もしたことがない。
「好き」だって、一度も言われたことがない。
一緒に居てくれるのはただの義務感から……
だから……僕が発情期になると、彼は今日みたいに出て行って帰って来ない。
帰って来ても、知らないΩのフェロモンの香りを付けて帰ってくる。
僕の番なのに、僕たち番なのに……
叫びたい気持ちを押し殺して、また怒られないように息を潜めて生活する。
発情期が来るのが怖くて、抑制剤をたくさん飲んで、部屋の隅で自慰をしてやり過ごすしかない。
僕なんかを助けてくれる人は誰も居ない。
寂しさと悲しさで壊れそうな日々を、ただひとりで過ごすしかなかった。
そんな日々を過ごしていたある日、彼がすごく嬉しそうに帰ってきた。
あんなに晴れやかな笑顔の彼を見るのはいつぶりだろう。
大好きだった彼の笑顔。
ずっと見たかった笑顔。
「やっと開放だ!!オレの、オレだけの本当のΩを見つけた!」
僕のことを見下しながら、彼は嬉しそうにそう告げた。
「やっとこのクズの顔を見なくて済む!お前なんて要らない。さっさと出て行け!」
冷たい声で半分笑いながら言われた。
いきなりのこと過ぎて、意味が上手に理解できなくて固まっていると殴られた。
「やっと追い出せる!お前なんて大っ嫌いだったからな!」
殺意に満ちた目で睨み付けられ、僕は言葉を失った。
でも、内心ホッとしてしまった。
これでもう怯えなくて済む。
殴られなくて済むって……内心少し安堵してしまったんだ……
それからの彼と彼の家族の行動は早かった。
新しい番が出来たから、書類上の処理をさっさと済ませ、僕との番契約を破棄する。
僕の私物は、勝手にダンボールにまとめられて実家に送り返された。
私物と言っても、殆どなにも持っていなかったから、小さめのダンボール3つ分くらいだったけど……
あとは、勝手に捨てられてしまった。
大切にしていたノートも、本も、思い出のあるぬいぐるみも……
彼は、何も覚えていないようだったけど、僕が大切にしていたイルカのぬいぐるみ……
お願いしたけど、僕に見せつけるように、ハサミでズタズタにされて捨てられてしまった……
それだけ……僕のことが、嫌いだったんだね。
気付かなくて……気付けなくて……ずっと、居続けてしまって、ごめんなさい。
強制的に番を解消されて、彼の下に僕の居場所はなくなって……
僕は当然のように、実家に帰されることとなった。
偽りの夫夫関係は、こんなにもあっさりと終わりを告げてしまった。
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