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巣作り出来ないΩくん
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懐かしいけど悲しくて、ずっと前のコトのはずだけど苦しくて……
叫びたくなる夢。
誰かに『助けて』って、助けを求めたくなる夢。
涙も枯れ果てて、泣くことすら忘れてしまった。
生きることも諦めて、ただ死ねる時を待っていた時の夢。
もうずっと前のことなのに、未だに夢に出てくる。
発情期が近付くと、嫌でもあの時のことを思い出してしまう。
忘れちゃいけない。って……
僕がどんな存在なのか……
僕に価値なんてないんだよ。って、ちゃんと思い出させるような夢。
寝ながら泣いていたのか、目を覚ますと、頬に涙の跡が出来ていた。
シーツを汚さないために、手の甲で涙を拭い、広く清潔なベッドの上で寝返りを打つ。
隣には焦茶色の少し硬い短髪の男性が、幸せそうに眠っている。
今の僕にとって、大好きな人。
こんな僕を引き取ってくれた、優しい人。
僕のことを、『好き』だと言ってくれた、大切な人。
彼の寝顔を見ているだけで、安心できる。
「…………」
起こさないように黙って彼の寝顔を眺めていると、寝ぼけながらも僕のことを大切そうに抱き締めてくれた。
「ん...…ゆき、……もっとおいで」
彼の胸に自分からも擦り寄せ、彼のニオイを胸いっぱい吸い込んで、彼の存在を確認する。
このしあわせが、夢じゃありませんように……
この温もりが、夢じゃありませんように……
祈るように、彼に抱き付いて、また眠りについた。
次は、幸せな夢だといいなぁ……
この時間が、夢じゃなければいいなぁ……
彼が僕を引き取ってくれた日から、僕は幸せだった。
彼の側に居させて貰えた日から、幸せだった。
『運命の番』なんて、お伽話だと思っていたから……
彼が言う『運命の番』というのが、本当なのかわからないけれど、彼はこんな汚い僕のコトをそう言ってくれる。
誰にも好まれない、誰にも愛して貰えない、誰にも……必要とされない僕だけど……
そんな僕でも、とても大切にしてくれる。
また捨てられるのが怖くて、もうひとりになるのが怖くて、番になることを拒み続けている僕なのに……
番がいたことも、家族からも捨てられたことも……
彼には全部知られてしまっている。
知っていて、僕を側に置いてくれる。
僕みたいな出来損ないなのに「番になろう」って、言ってくれる。
彼の番になりたい。
優しい彼に愛してもらいたい……
でも、番になった瞬間また嫌われるんだと思う。
彼が、あの人とは違うとはわかっているけど、不安を拭い去ることができない。
また殴られる日々が始まるんじゃないかって……
怒鳴られる日々が始まるんじゃないかって……
捨てられて、今度こそ……誰にも見付けて貰えなくなるんじゃないかって……
僕のフェロモンのニオイは、人を不快にさせてしまうから……
彼にも「臭い」って、言われるのが怖くて仕方がない。
発情期の度に、不快にさせているんじゃないかって、不安でしかたない。
少しでも匂いを抑えたくて、抑制剤を飲むのが止められない。
抑制剤をいっぱい飲んでいるのに、彼の側にいると効き目が薄くて、彼を求めるように発情期が訪れてしまう。
嫌われたくないのに……
捨てられたくないのに……
自分の身体なのに、全く言うことを聞いてくれない。
発情期なんて、無くなって欲しいのに……
彼のニオイに包まれたくてしかたがない。
彼は、すっごくいっぱい服を持っていて、すっごくいいニオイがする。
触り心地の良い生地や、色とりどりの服、シャツも上着も帽子も沢山持っている。
寝室の隣に、わざわざ衣装部屋として小さな部屋を作っているくらい、たくさんの服。
クローゼットにはいつも綺麗に並べられていて、僕の本能を誘惑してくる。
これで、巣を作ったら綺麗なのだろうなぁ……
彼の服で巣を作ればしあわせだよ。
彼の匂いに包まれるのは幸せだろうなぁ……
彼のニオイに包まれたら……彼の服に包まれたら……しあわせになれるよ。
でも、僕みたいなダメなヤツが巣を作っても、喜んでくれないだろうけど……
むしろ、また怒られて嫌われるだけだと思う。
巣なんて、作らない方がまだ好きでいて貰える。
まだ、彼の側に居させて貰える。
叫びたくなる夢。
誰かに『助けて』って、助けを求めたくなる夢。
涙も枯れ果てて、泣くことすら忘れてしまった。
生きることも諦めて、ただ死ねる時を待っていた時の夢。
もうずっと前のことなのに、未だに夢に出てくる。
発情期が近付くと、嫌でもあの時のことを思い出してしまう。
忘れちゃいけない。って……
僕がどんな存在なのか……
僕に価値なんてないんだよ。って、ちゃんと思い出させるような夢。
寝ながら泣いていたのか、目を覚ますと、頬に涙の跡が出来ていた。
シーツを汚さないために、手の甲で涙を拭い、広く清潔なベッドの上で寝返りを打つ。
隣には焦茶色の少し硬い短髪の男性が、幸せそうに眠っている。
今の僕にとって、大好きな人。
こんな僕を引き取ってくれた、優しい人。
僕のことを、『好き』だと言ってくれた、大切な人。
彼の寝顔を見ているだけで、安心できる。
「…………」
起こさないように黙って彼の寝顔を眺めていると、寝ぼけながらも僕のことを大切そうに抱き締めてくれた。
「ん...…ゆき、……もっとおいで」
彼の胸に自分からも擦り寄せ、彼のニオイを胸いっぱい吸い込んで、彼の存在を確認する。
このしあわせが、夢じゃありませんように……
この温もりが、夢じゃありませんように……
祈るように、彼に抱き付いて、また眠りについた。
次は、幸せな夢だといいなぁ……
この時間が、夢じゃなければいいなぁ……
彼が僕を引き取ってくれた日から、僕は幸せだった。
彼の側に居させて貰えた日から、幸せだった。
『運命の番』なんて、お伽話だと思っていたから……
彼が言う『運命の番』というのが、本当なのかわからないけれど、彼はこんな汚い僕のコトをそう言ってくれる。
誰にも好まれない、誰にも愛して貰えない、誰にも……必要とされない僕だけど……
そんな僕でも、とても大切にしてくれる。
また捨てられるのが怖くて、もうひとりになるのが怖くて、番になることを拒み続けている僕なのに……
番がいたことも、家族からも捨てられたことも……
彼には全部知られてしまっている。
知っていて、僕を側に置いてくれる。
僕みたいな出来損ないなのに「番になろう」って、言ってくれる。
彼の番になりたい。
優しい彼に愛してもらいたい……
でも、番になった瞬間また嫌われるんだと思う。
彼が、あの人とは違うとはわかっているけど、不安を拭い去ることができない。
また殴られる日々が始まるんじゃないかって……
怒鳴られる日々が始まるんじゃないかって……
捨てられて、今度こそ……誰にも見付けて貰えなくなるんじゃないかって……
僕のフェロモンのニオイは、人を不快にさせてしまうから……
彼にも「臭い」って、言われるのが怖くて仕方がない。
発情期の度に、不快にさせているんじゃないかって、不安でしかたない。
少しでも匂いを抑えたくて、抑制剤を飲むのが止められない。
抑制剤をいっぱい飲んでいるのに、彼の側にいると効き目が薄くて、彼を求めるように発情期が訪れてしまう。
嫌われたくないのに……
捨てられたくないのに……
自分の身体なのに、全く言うことを聞いてくれない。
発情期なんて、無くなって欲しいのに……
彼のニオイに包まれたくてしかたがない。
彼は、すっごくいっぱい服を持っていて、すっごくいいニオイがする。
触り心地の良い生地や、色とりどりの服、シャツも上着も帽子も沢山持っている。
寝室の隣に、わざわざ衣装部屋として小さな部屋を作っているくらい、たくさんの服。
クローゼットにはいつも綺麗に並べられていて、僕の本能を誘惑してくる。
これで、巣を作ったら綺麗なのだろうなぁ……
彼の服で巣を作ればしあわせだよ。
彼の匂いに包まれるのは幸せだろうなぁ……
彼のニオイに包まれたら……彼の服に包まれたら……しあわせになれるよ。
でも、僕みたいなダメなヤツが巣を作っても、喜んでくれないだろうけど……
むしろ、また怒られて嫌われるだけだと思う。
巣なんて、作らない方がまだ好きでいて貰える。
まだ、彼の側に居させて貰える。
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