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工藤と近藤+余談
しおりを挟む「おいーす」
「おはよー」
クラスメートに挨拶しながら教室に向かう。ガヤガヤした教室の中に入り自分の席についた。
横向きながらおしゃべりしてた前の席の工藤が気付いて、手を動かして朝から下ネタで絡んでくる。
「はよー、今日も元気にやってんのか」
「下ネタ禁止ー。ちーぴーおー」
「ち?!」
Tと発音したかったが、噛んだのを訂正せずに、口元に指でバツをしながらふざけて返すとゲラゲラしだしたゲラ野郎に近づいた、やる気なく腕をクロスして突撃し膝蹴をくらわせる。
「下ネタはんたーいパーンチあんどキーーック」
ノーダメージのくせに、「もう…、だめかも知れない」とか工藤がぬかすので、席に黙って戻り、寝る姿勢で待機する。
すると案の定、聞こえてきたでかい声。
「なーーーんてなあ!ぬはははは!くらえ!…ひふふ…、かかったな。何のために右手があると思っぐは」
近藤は降りかかってきた手刀を白羽取りでとめた。
そして最後のぐはっ声は、真剣で止めた工藤の左腕を使い、こちらに向かってきた右ストレートを防御したから。
「おのれ、近藤のくせにこしゃくなああああ」
朝からでかい声で叫ぶなよ、元気かよ。
始業の音が鳴り、担任のエモっちゃんが
「はい、おっはー席ついてー」
と優しい声で言うので2人とも黙って席についた。
昼休みになった。
弁当を買いにダッシュする。
ポケットの小銭いくらあるか走りながら確認してたら落としてあんなところやこんなところまで転がっています、母さん。ぼくの昼飯代が…。
金の音に気づいた人が次つぎ拾って渡してくれます。
みんないい人です、ありがとう、あり…てめえ工藤。口パクでラッキーありがとうじゃねえんだよ。
近藤は口に手を当てパトカーのお巡りさんになりきった。
「おい止まりなさい…君止まりなさい、そこのブルーのパーカー坊主。オイ…、逃げても罪がおもくなるだけ、今なら…まだ半ギレで間に合います。捕まりたくなければ自首しなさい。ただちにコチラに返金しなさい。…素知らぬ顔で(人混みに)紛れ込もうとしても無駄です。丸見えです。隣の彼に眼鏡を返しなさい、これ以上罪を重ねるのはよしなさい。止まりなさい」
…空腹でイライラがつのりしびれを切らした近藤はそのまま、無駄な抵抗をしつづける奴の背後に、人だかりのなか忍び寄る。
タイミングを計り仕掛けた膝かっくんが、まさかの不発に終わってしまった。
奴の体幹を舐めてかかったのがあだとなった。
だがしかし、すかさず逃げの体勢をとったその背中に、咄嗟に脇に手を突っ込んで、くすぐりの刑に処すとこれが見事にきまって倒れ込むゲラ坊主から、何とか500円を奪還することに成功した。
おかげで時間をくってしまい、弁当は売り切れとなり残ってたパンになった。
うまいけど、パンも美味いけどなんで、なんであいつは弁当くってんだ。やりきれない思いでどうやって入手したのか工藤に聞くと、「交換した」と言う。
「なにと?」
「え、…お前の作った鉛筆立て」
「は?「え?」誰に、「眼鏡貸してくれたやつ」(めがね…)課題で出したやつ何で持ってんの…、持ち歩いてんの…?」
「なぜかわからないけれど、そこにあったから」
「……意味不明おまえ…。(お前もだけど、眼鏡も)」
□ □ □ □ □
余談
生徒指導のゴリ塚に捕まった工藤が、
次の日、朝登校したらタオルを頭にかぶせて寝ていた。
何となく触れないほうがいいと、第六感が告げるのでそっとしておいた。
HRも、授業始まっても変わらずかぶり続け、誰かしら突っ込むだろうという予想もむなしく、その都度先生にまでそっとされていることに気付いた。
周りにジェスチャーでコイツどうしたのと尋ねてもジェスチャーでさあ、としか返されない。
昼飯時にやっと判明したのは、髪を坊主にされたということだ。
そしてそれを見られたくないので、生えるまでかぶり続けると言っていたのに、三日で終了した。おまえほんものだなって言ってやったら、「ドッペルゲンガーはしんじない」と違う返しをされてコイツと通じ合うことは難しいと改めておもった話。
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