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4話
しおりを挟む「ローラ様のドレスを持ってきますね」
「ええ、お願いするわね」
ハーマンとナタリーは部屋から出て行った。私はナタリーのベッドに座り、ゆっくりと息を吐く。ルシアとも話さないといけないわね……。これからは、常に誰かと一緒に過ごすことにしましょう。マハロのことだから多分、手を出しては来ないと思うけれど……。
……いえ、油断は禁物。気をつけないとね。ここの使用人たちはみんな良い人たちだったのに、その当主であるマハロがなぜあんな人だったのか……、理解に苦しむわ……。
あ、もしかしたらマハロがポーラの元に行くのが当たり前だったから、それをフォローするためにしていた行動が、いつの間にか『普通』になっていった……?
……考えられるわね。
思考を巡らせていると、扉がノックされた。
「ローラ様、ローラ様のドレスをお持ちしました」
「ありがとう――……あら、ルシアも来てくれたの」
メイド長のルシアも、私のドレスを運んでくれたようだ。私のことを心配してくれているのか、彼女は不安そうに私を見た。
「本当にご決断されたのですね。奥様の目に、迷いを感じられませんわ」
ルシアは私よりも年上の女性で、いつもピシッとしていて格好の良いメイド長だ。そんな彼女がナタリーと一緒にドレスを運んでくれるとは……。とりあえず、今日のドレスを選んで着替えないと。ナタリーとルシアに手伝ってもらい、着替えた。
その後すぐに、屋敷の使用人たちがナタリーの部屋に押しかけて来た。
「奥様、旦那様と別れるというのは本当ですか!」
「そんなっ、やっとこの家に女神が来たと言うのに……!」
「奥様が居なくなるのなら、私たちどうやって暮らしていけば……!」
そんなことを言われて驚いた。この屋敷の使用人たちとは、割と良い関係を築けていったとは思っていたけど、ここまでとは……。
慌てたようにハーマンが来て、「奥様の邪魔をするな!」と使用人たちを叱った。思わず、クスクスと笑ってしまった。
「奥様……」
「ご、ごめんなさい……ふふっ。……ありがとう、みんな。私を支えてくれて。この三年間、あなたたちが居なければ、私はこの生活に耐えられなかったと思うわ。本当に、ありがとう……」
笑い声をどうにか抑えて、それから私のことを見つめる使用人たち全員に顔を向けて、私はゆっくりとカーテシーをした。
顔を上げてみんなを見ると、みんななぜかしんと静まり返っていて――それから、一人がこう口にした。
「奥様がこの屋敷から出ていくのであれば、私、ここ辞めます!」
「え?」
「俺も!」
「わたしも!」
全員が辞めると言い出して、私はちょっと混乱した。ナタリーが小さく微笑み、「奥様は慕われていますね」と柔らかい口調で言った。
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