君を守るために、演じ切ってみせよう。

秋月一花

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2話

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 シャーロットがパーティー会場から出ていって既に三日が経過している。恐らく、現在は馬車で南の国に向かっていることだろう。シャーロットの家族たちも、南の国に行くように言ってはみたが、公爵はそれを断った。
 そして本日はそんな公爵がリンジーの元に訪れていた。

「――天気の良い日が続きますね」

 公爵はそう切り出してきた。リンジーはすっと視線を空に向ける。確かに晴れの日が続いていた。

「そうですね」

 リンジーと公爵は、リンジーの執務室でお茶を飲みながら話をする。公爵はお茶を一口飲んでから小さく息を吐いた。

「――恐らく、あと一週間もすればシャーロットは南の国につくでしょう。リンジー殿下には感謝と同時に、申し訳ないと思っております」
「公爵?」
「シャーロットは何も知らずに南の国で暮らすでしょう。いずれ来る日に、我々のことを恨むかもしれませんが……」
「それでも、シャーロットが生きてくれることが俺の望みですから」

 腐りきったこの国は、もう終焉まで時間がないだろう。
 レジスタントがクーデターの準備をしていることを知ったのはもう何年も前になる。悪行の数々を犯して来た国王、それに付き従う貴族。平民たちの不満は増すばかりの国。……人数を集め、武器を集め、……恐らく、まもなく始まるであろうクーデターを思い、リンジーはお茶を飲む。

「……殿下は、本当にシャーロットを愛してくれていたのですね。親としては嬉しい限りですが……」
「ええ、愛していました。愛しているからこそ、彼女は俺と命運を共にすることはないと判断しました。穏やかで優しく、平民たちからも慕われている彼女を追放したことで、国民の不満は更に高まったでしょう。恐らく、近いうちにクーデターが起きると思います。俺は最期まで王族としてこの城に残るつもりです」

 この事態を招いたのは国王並びに貴族だ。無論、貴族の中でも平民に慕われている人たちも居る。公爵家のシャーロットがそうであったように。

(俺と共にこの国と命運を共にする必要はないだろう……)

 幼い頃からリンジーの婚約者として育ったシャーロット。妃教育を受けながらも、慈善活動にも力を入れていた。あのパーティーの日に、問答無用で南の国に向かわせたのは、南の国は優しい人が多く、暖かく過ごしやすいと聞いていたからだ。もちろん、シャーロットの生活の基盤は整えている。南の国の知り合いに、彼女のことを頼んでいた。

「シャーロットが生きていてくれさえいれば、俺は満足です」

 シャーロットがリンジーのことを恨んでも構わない。恨まれなくても、リンジーのことを忘れて幸せに暮らしても構わない。むしろ、自分のことを忘れて、幸せな日々を過ごして欲しいとリンジーは目を伏せた。
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