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しおりを挟む計画は順調に進んでいった。ローズマリーは本当に良くしてくれた。レジスタントのリーダーは着実に仲間を増やしていったし、国民たちの不満は増えていったし、極めつけは心優しき公爵令嬢を公開婚約解消だ。さらに問答無用で国から追い出した。そのため、国民のリンジーへの評価は下がり、クーデターの日を早めたようだ。
(シャーロット、どうか君だけは、無事でいて欲しい)
そう願って目を伏せる。
そして、それからどのくらいの時間が経ったのかわからない。日に日に減っていく牢屋に入った人たち。一日に一回は確実に公開処刑を行っているようだ。それだけ、国民たちは王族や貴族を憎んでいると言うことだ。
……さらに数日が経ち、ついにリンジーの番になった。
公開処刑の場所まで連れていかれ、断頭台に押し付けられる。
(――これだけの人々が、王族の死を望んでいる)
リンジーは何も言わなかった。ただただ、憎悪で満ち溢れている国民たちの視線を感じ取り、目を伏せる。刑が執行されるその一歩手前、凛とした声が響いた。
「お待ちください、お願いします……!」
その声がシャーロットのものだと気付いた時、リンジーは反射的に顔を上げていた。民衆をかき分けるように近付いて来る彼女の姿を目視した彼は、「近付くな!」と声を上げる。
「なぜです、なぜなのですか、リンジー殿下! どうして私に、共に死ねと言ってくださらないのですか!?」
運命を共にする覚悟だとシャーロットが口にする。ならば共に死ねばいいと民衆がシャーロットを断頭台へと運んだ。南の国に居るはずの彼女がなぜここに居るのか、そしてリンジーと共に命運を共にしようとするのかがわからず、リンジーはただ、シャーロットを見つめていた。
「――なぜ、戻って来たんだ。君は、君だけは生き延びるべきだったのに!」
声を荒げるリンジーに、シャーロットはゆっくりと首を横に振った。
「いいえ、リンジー殿下。私もこの国と……あなたと命運を共にしたいのです。私は、あなたを愛しているから」
「シャーロット……」
「国民たちよ! これで満足か!? お前たちもこの国の王族と変わらない! 私利私欲のために公開処刑するなど、下衆の極みである! 覚えておきなさい、我ら王族、貴族の死を! 誇り高き死を! その目に焼き付けなさい!」
そう言ってシャーロットは瓶を取り出した。リンジーに顔を向けて、優しく微笑むと、シャーロットはその瓶の蓋を開け、中身をぐっと飲み干す。
「やめろ、やめてくれ、シャーロット! 死ぬべきなのは俺であって、君ではない!」
「――いつかまた、巡り合いましょう……」
シャーロットが倒れるのと同時に、ギロチンの刃が落とされた。
その瞬間を見ていた人々は、王族を処刑することで自分たちのこれまでの憂さを晴らしていたことに気付き、叫び出す。自分たちが、あれほど嫌っていた王族と同じことをしていることに発狂したのだ。
のちに、このクーデターはシャーロットの悲劇と名付けられた。
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