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3話

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 そして、元々この国をあまり良く思っていなかった両親たちはあっという間に荷造りをして、神帝国に向かうことにした。神帝国なら、わたくしたちのことを保護してくれるだろうと……。

「さて、サクッと行こうか、サクッと!」
「……あの、本当に宜しいのですか? ここにはお父様の研究結果が……」
「ああ、大丈夫! 大事な書類はちゃんと持っているからね。それに……ふっふっふ、一番イヤな情報をわざと残していくから、ここに来た貴族たちは驚くだろうなぁ……!」

 ……お父様はくっくっくと肩を震わせて笑っていた。ちらりとお母様を見ると、お母様も何か……こう、企んでいるような笑みを浮かべていた。
 屋敷の使用人たちも全員わたくしたちについて行くと言ってくれたので、みんなで夜逃げすることになった。
 馬車に乗り込んで、みんなで移動する。

「……魔物にあったりしないかしら? 夜のほうが活発なのでしょう?」
「アリコーン様が居るから、私たちは大丈夫よ。この国のほうが怪しいでしょうけど、ユニコーンの乙女を振ったのは殿下なのですもの。殿下が何とかするわよ」

 ……魔物と殿下はどちらのほうが強いのかしら。……多分、魔物よね。馬車に乗り込んだアリコーンは、わたくしの足元ですやすや眠り始めた。……うん、この子がこんなに眠っているのなら大丈夫そうね……。

「イザベラも眠いんじゃないか? パーティーから帰ってすぐに出発だから……」
「大丈夫ですわ、お父様。……ですが、わたくしも眠くなってきたので、休んでも宜しいでしょうか……?」

 こくりとうなずくお父様とお母様に、わたくしは「おやすみなさい」と口にして目を閉じた。どのくらい眠っていたのかわからないけれど、気が付けば王国を抜け出していた。
 ……よくすんなり通ることが出来たなぁと感心していると、お母様がわたくしに視線を向けた。

「よく眠っていたわね、イザベラ。ここはもう神帝国よ」
「え、もうですか!?」

 ビックリして一気に目が覚めた。王都から神帝国までかなり遠いはずなのだけれど……。

「前もって神帝国の神殿に手紙を送っていて良かったよ。ユニコーンの乙女を歓迎しますってさ」

 わ、わたくしが眠っている間に……。そして、お父様はすっと何かを取り出した。

「紙?」
「魔法紙。テレポートの魔法が込められている。これを送ってくれたんだ。お父さん、領地のない貴族だったからね、屋敷の人たちの分ももらえたんだ」

 にこにこと笑顔を浮かべるお父様に、わたくしは目を瞬かせた。では、屋敷の使用人たちも既にここについているってワケね……。流石です、お父様。
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