オカルト研究部員の非日常な日常

秋月一花

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2章:異存

白銀の、異界 3話

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 それからもつむぎの指示で進み、どのくらい歩いたのか――……ようやく目的の人物を見つけた。さめざめと泣いている様子が視界に入り、架瑠かけるがそっと近付いていく。

「あの……よかったら、これを使ってください」

 すっとハンカチを取り出して、差し出すとさめざめと泣いていた女性が架瑠を見上げた。

 この白銀の世界の中、同じように白銀のウェーブがかった背中まである長い髪と、浅緑色の瞳を女性はびっくりしたように硬直してしまう。

「どうして、人間がここにいるの……?」
「あ、えっと初めまして。きみは、この世界の住人?」

 こくりと肯定のうなずきを返す女性。素直に答えてくれたことに内心ホッとしつつ、架瑠はさらに言葉を重ねる。

「きみの声が、聞こえたんだ」
「わたしの声……?」

 ビュゥゥゥ、と吹雪が架瑠たちを襲う。彼女はハッとしたように目を見開き、彼らから離れようとした。

「チッ、埒が明かない!」

 紬が雪かきスコップを佑心に押し付け、手のひらを上にして目を閉じる。

 彼の周りに、赤い炎が現れた。その炎は周辺の雪を溶かしていく。

「――なぁんだ、お仲間?」

 銀髪の女性はその炎を見て、どこか安堵したように目元を細めた。

「ねぇ、その炎であの家を溶かしてくれない?」

 彼女が指さした先にある家に向かい、紬はただ黙って炎を向かわせ雪を溶かす。

「――ありがとう。家に入れなくて、困っていたの。ああ、早く家に入って。このままだとまた――……」

 女性が自分を抱きしめるように二の腕を掴み、ぶるりと身体を震わせた。

 それと同時に、吹雪が再び架瑠たちを襲う。佑心を先頭に家の中に入っていく。全員が家の中に入り込み、玄関の扉をバタンッと乱暴に閉じたのは、先程の女性だった。

「……は、ぁ……」

 玄関の扉を背に、ずるずるとしゃがみ込んでまたさめざめと泣き始める彼女に、四人は顔を見合わせてから、女性に視線を注ぐ。

 再度、架瑠が自身のハンカチを差し出すと、「ありがとう」と涙を拭った。

「……あの、大丈夫ですか?」
「全然大丈夫じゃない……」

 ハンカチで目元を隠し、ぐすぐすと泣いている。茉莉が彼女に近付いて、「なにかあったのですか……?」と心配そうに話しかける。

「自分の力が、抑えられないの……」

 ぶるぶると震え出す女性。彼女の周りに雪が見え、紬が顔をしかめてパチンと指を鳴らした。

 すると、彼女の周りに舞う雪が一瞬で蒸発した。紬の炎が雪を蒸発させたのを見て、架瑠は彼を見上げる。

「あの……えっと、初めまして。おれは架瑠という名前です」

 ぎこちない笑顔を浮かべながら、彼女に自己紹介をする架瑠に、全員の視線が集まった。
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