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歓迎会は支店長の長い挨拶から始まり、乾杯の頃はビールは少し温くなっていた。

誰も聞いていないのに、よくあれだけ話せるなと呆れながら見ていたが、視線の先は彼だった。

丁度支店長を見ているように見える私の視線の先に、彼は座っていてくれたのだ。

なんという幸せ!

彼も支店長の話が退屈らしく、テーブルの下で携帯を何回も見ている。

彼女のメールかな?

そう考えると胸が痛む。

かんぱーいと皆でグラスを上げ、歓迎会が始まった。

私の横に座った中年の、お世辞にもダンディとは言えない課長が、彼氏はいるの?とか、この支店で好みの人はいる?とか、東京の研修生活で彼氏は出来たの?とか、凄い勢いでセクハラしてくる。

30分は我慢したけど、限界が来た。

すいませんと言って、トイレに向かった。

ふー、トイレの中で息を吐き捨てる。

あー、いつまでいるの、あの課長、、、もうそろそろ我慢の限界だよ。

また、あの席に座るのか。

帰りたくない。

私はゆっくり化粧直しをした。

いやいや席に戻ると、席がガラッと変わっていじゃないか。

しかも私の席はそのままで、彼が隣りに座っていた。

こんな事ってあるんだ、しばらく席にもどるのを躊躇ってしまい、足が動かなかった。

彼が私の名前を呼び、手招きして椅子を引いてくれたから私はやっと、その席に歩いて行く事が出来た。

彼は、課長大丈夫だった?と笑いながら聞き、私に飲み物を持って来てくれた。

ワイン、焼酎、酎ハイ?別の物が良い?

ワインの赤をお願いしますと答えて、こんなラッキーな事あるの?と心の中で呟いていた。


彼との会話は本当に楽しく、時間なんかどっかに行ってしまう。

酔ってしまい、会話はほとんど憶えていなかった。

歓迎会は終わり、酔った私はタクシーで家に帰った。
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