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番外編 オスカーのしあわせ
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学園を卒業し、俺は無事に近衛兵になれた。
王太子の結婚式の翌日、殿下が私のもとまでおいでになった。
「オスカー、久しぶり。」
周囲をうかがうと、口うるさそうな上司はいない。だから、ラファエル殿下のそばまで行った。
「昨夜はどうでした?」
「うん。リリはとっても可愛かったよ。いろいろ教えてくれてありがとう。」
殿下はキリスト教の教義をしっかり守り、結婚式の夜、やっと漢になった。そのなんだか、余裕のある話し方がしゃくに触る。
「どの体位が気に入りました?」
「普通のが1番いいよ。リリの可愛い顔がよく見えるからね。」
「そんなに可愛かったですか。」
「うん。声も可愛いし、腕を曲げて顔を隠そうとする仕草も可愛いし――」
10年来の初恋の相手がやっと手に入って幸せいっぱいで悦に入ってやがる。ちょっと、イラっとしたからいじめることにした。
「殿下は満足でしょうが、リリー嬢はどうですかねぇ。いつも同じなら飽きられますよ。」
というと焦った感じでまた色々教えて欲しいと言ってきた。
気軽に娼館に行けない身分も不自由だよなあ。
「そうそう、オスカーに頼みがあって来たんだよ。」
「喜んで。なんなりとご下命ください。」
殿下から勅令とは、俺の評価も上がるぞ。
「ミュー嬢のことなんだ。」
聞きたくない名前が出てきた。そういや、リリー嬢にヤってるとこを見られたなあ。
「リリが彼女がどうしてるか心配してるから、見てきてくれないか。」
あー、はいはい。愛しのリリー嬢の為ね。
「かしこまりました。」
にっこり笑って引き受けたが、会いたいような会いたくないような。ミューとは気は合うが、あいつは玉の輿希望だから、平民の俺に全く興味ないんだよな。まあ、俺もミューと結婚したいとは思わないが。
馬車にゆられ、ミューを保護する男爵の邸宅についた。ミューはいなかった。退学になってこの家に戻ってきたが、次の日の朝、忽然と消えていたらしい。
男爵から差し出された初めて見るデザインのカバンには見たことのない字で書かれた本が入ってた。ミューを拾った時にミューが持っていたものらしい。これを王太子妃にと渡された。ミューが出てきたらこれを口実に王宮に来る気だな。まあ、俺も何も持たずに帰るよりはいいか。
帰りの馬車でミューのカバンを調べた。見たことないものがたくさん入ってた。そういえば、あいつ、もっと文明の進んだ国から来たって言ってたな・・・・・・その言葉を呟いた時の寂しそうな顔を思いだした。
王宮に戻って、報告書を書く前に荷物だけ渡しておこうと、王太子への謁見を申し入れた。カバンを渡し、口頭で報告してると王太子妃が入ってきた。
リリー嬢に「歩き方が変」とカマをかけたら顔を赤くして「気をつけてるんだけど」と目より下を両手で隠して恥ずかしがってた。「リリ、どこか怪我したの?」と聞いてるバカがいたが、おまえだよ、犯人は。
ミューがいなかったことをリリー嬢に報告した。リリー嬢はカバンを抱きしめながら
「そう。きっと異国に戻れたのね。良かったわ。オスカー様、ありがとうございます。」
優しい笑顔でお礼を言われた。
バカップルに敬礼をして部屋をでる。
ミューのやつも自分の国に帰って幸せにやってるのかな?
俺は――
俺は、自分が命かけてもいいと思える主に出会えた。だから俺も幸せなんだろうな。
王太子の結婚式の翌日、殿下が私のもとまでおいでになった。
「オスカー、久しぶり。」
周囲をうかがうと、口うるさそうな上司はいない。だから、ラファエル殿下のそばまで行った。
「昨夜はどうでした?」
「うん。リリはとっても可愛かったよ。いろいろ教えてくれてありがとう。」
殿下はキリスト教の教義をしっかり守り、結婚式の夜、やっと漢になった。そのなんだか、余裕のある話し方がしゃくに触る。
「どの体位が気に入りました?」
「普通のが1番いいよ。リリの可愛い顔がよく見えるからね。」
「そんなに可愛かったですか。」
「うん。声も可愛いし、腕を曲げて顔を隠そうとする仕草も可愛いし――」
10年来の初恋の相手がやっと手に入って幸せいっぱいで悦に入ってやがる。ちょっと、イラっとしたからいじめることにした。
「殿下は満足でしょうが、リリー嬢はどうですかねぇ。いつも同じなら飽きられますよ。」
というと焦った感じでまた色々教えて欲しいと言ってきた。
気軽に娼館に行けない身分も不自由だよなあ。
「そうそう、オスカーに頼みがあって来たんだよ。」
「喜んで。なんなりとご下命ください。」
殿下から勅令とは、俺の評価も上がるぞ。
「ミュー嬢のことなんだ。」
聞きたくない名前が出てきた。そういや、リリー嬢にヤってるとこを見られたなあ。
「リリが彼女がどうしてるか心配してるから、見てきてくれないか。」
あー、はいはい。愛しのリリー嬢の為ね。
「かしこまりました。」
にっこり笑って引き受けたが、会いたいような会いたくないような。ミューとは気は合うが、あいつは玉の輿希望だから、平民の俺に全く興味ないんだよな。まあ、俺もミューと結婚したいとは思わないが。
馬車にゆられ、ミューを保護する男爵の邸宅についた。ミューはいなかった。退学になってこの家に戻ってきたが、次の日の朝、忽然と消えていたらしい。
男爵から差し出された初めて見るデザインのカバンには見たことのない字で書かれた本が入ってた。ミューを拾った時にミューが持っていたものらしい。これを王太子妃にと渡された。ミューが出てきたらこれを口実に王宮に来る気だな。まあ、俺も何も持たずに帰るよりはいいか。
帰りの馬車でミューのカバンを調べた。見たことないものがたくさん入ってた。そういえば、あいつ、もっと文明の進んだ国から来たって言ってたな・・・・・・その言葉を呟いた時の寂しそうな顔を思いだした。
王宮に戻って、報告書を書く前に荷物だけ渡しておこうと、王太子への謁見を申し入れた。カバンを渡し、口頭で報告してると王太子妃が入ってきた。
リリー嬢に「歩き方が変」とカマをかけたら顔を赤くして「気をつけてるんだけど」と目より下を両手で隠して恥ずかしがってた。「リリ、どこか怪我したの?」と聞いてるバカがいたが、おまえだよ、犯人は。
ミューがいなかったことをリリー嬢に報告した。リリー嬢はカバンを抱きしめながら
「そう。きっと異国に戻れたのね。良かったわ。オスカー様、ありがとうございます。」
優しい笑顔でお礼を言われた。
バカップルに敬礼をして部屋をでる。
ミューのやつも自分の国に帰って幸せにやってるのかな?
俺は――
俺は、自分が命かけてもいいと思える主に出会えた。だから俺も幸せなんだろうな。
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