悪役令嬢 エタった小説の主役の座をヒロインから奪い返します!

青井りか

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たぁんたぁたたーん、葬送行進曲です。私どうなる?

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 マヤ(恵都けいと先輩)に呼び出され、図書室に行く。いつもの奥の書棚から顔を出して、こっちこっちと指を曲げて私を呼ぶのでそこまで行った。

「ありちゃん、残念なお知らせがあります」
「なんでしょ」
「ありちゃんの死体が発見されました」
 えー!
 死体発見ってどういうことよ!
「連休が終わったのに出勤してこないから会社の人が見に行ったら死んでたんだって。転んで頭打ったのが原因みたい。地方ニュースでやってたよ」
 どうりで。恵都先輩は現世と行ったり来たりしてるのに、私はずっとこの世界のままなわけだ。

「小説どうなりました?」
「ちゃんと書いたよ。あとは弾劾裁判を残すのみ」
「え、それは回避の予定じゃ・・・・・・」
「でも、ないと話が終わらないよ。」
「次に現世に戻ったら、『アリアは現世に戻りました』って小説に書いて下さい。」
「でも身体は燃やされて埋葬されてるから帰る身体がないんじゃない?」
「弾劾裁判で国外追放された私はどうなっちゃうんですか?先輩、私の幸せも考えてください」
 頑張ってみるわー、って言ってたけど、あの人、ここまで話むちゃくちゃにしてるし、この間のこと、ルイの誤解を解いてくれてないでしょ。信用できないよ。


 ランチを食べる気になれず、エリンさんと別れて一人先にダンスルームに来た。でもダンスも練習する気になれない。隅っこに座り込んでたらルカが来た。
「アリア嬢、練習しないの?アリア嬢?」
 私が立つ気なさそうなので、ルカは隣りに座ってきた。
「私、死んだの」
「え?」
 そりゃ驚くわな。意味わからんこと言い出したら。

「なんかね、お願いされて転生してアリアを演じてるやってるんだけど、本体死んで埋葬されて帰るとこないの。本当のアリアはどうしてるの?私と入れ替わってるわけでもないのならどうなっちゃうの?だいたいアリアは公爵家に生まれて、何不自由なく、でも公爵令嬢としての厳しいマナーやたくさんの知識を持つよう育てられてて、10歳の時にルイに見初められて婚約して、そしたら今度は国外に対しても通ずる女性になるように王妃教育も受けなきゃいけなくなって、王立学院に入学しても自分の周りに来るのは「王太子の婚約者」と仲良くしたいお嬢様ばかりで婚約者のルイは腹黒でしょ。学院のみんなにはいい顔してるのにアリアには辛くあたってたんだと思うし実際生徒会の仕事もおしつけてたし、アリアに友達いないの、ルイに依存してるの、腹黒大魔王の誘導調教結果に違いないじゃん。それなのにルイがマヤと浮気されたんじゃその喪失感は計り知れないものがあったと思わない!」
 胸につかえてたものをルカに吐き出した。

「ごめんね。よく分からなかった。アリア嬢も辛い思いしてるんだね」
「はあ。もうどうしていいか分からない」
 未来さきが見えなくて辛い。
「アリア嬢は頑張ってるよ。見る人は見てるから大丈夫。僕もアリア嬢が頑張ってるとこちゃんと見てるからね」
「ありがとうございます」
 でもその言葉をルイから言って欲しいんだよね。そして、こう思ってしまうところがルイに支配されてるんだと感じる、
「僕も完璧な兄上と比べられて辛い思いをしてるよ。でも僕は僕だから出来る範囲で頑張ってるよ」
 眉目秀麗、成績優秀、スポーツ万能、小説ならこの言葉を並べるだけで完璧人間が作れるのだ。現実は努力が必要。でも、どんなに努力しても小説に書いたたった四文字の熟語に勝つことが出来ない。ここが小説の中だから。
「アリア嬢も予餞会の時に兄上から手を差し出されたらすぐそっちの手をとったじゃない。どうしても兄上には敵わないんだよなあ」
 はい。その節は失礼しました。

 ぐうぅぅぅ

 ぎゃ、お腹がなった。
 赤い顔してたら、ルカが立ち上がって
「アリア嬢、ご飯食べてないの?一緒に食堂に行こう。ご馳走してあげるよ」
 手を差し伸べてくれた。
 その手をとろうとしたら

 ジリリリリリ

 チャイムがなった。
 僕っていつもこうなんだよな、と嘆くルカが可愛くて笑ってしまった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

     弾劾裁判まであと1日 次回最終回


横ですが
鬱の人に「頑張って」「頑張ろう」は禁句です。
「辛かったね」「頑張ったね」と声をかけましょう。

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