BUDDY-0-

TERRA

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BUDDY-0-SURVIVOR

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ジョシュアの部屋は、すでに現場検証を終えた後だった。
窓は開け放たれ、外気が血の匂いを薄めている。
志麻は壁にもたれ、部屋の中央に立つスロウと鑑識の報告を聞いていた。

「今までと手口が違う。オメガばかりだったが、今回は……。」
鑑識課員が低く告げる。
「アルファの男です。しかも、内部から心臓を抉り取られている」
その言葉に、志麻のまなざしが揺らいだ。
だが、口を開かずに踵を返す。
スロウはちらりとその背を見送り、やがて鑑識を下がらせた。

部屋に残ったのは二人だけだった。
カーテンが風に揺れ、机の上に散らばったジョシュアの書類が、紙魚のように震えている。

志麻は椅子に腰を下ろした。
うつむいたまま、右手が腹に触れている。
「お前の身が危険だ。証人保護プログラムを受けろ。」
スロウの声は、いつになく低く、命令の色を帯びていた。

「そんなものに意味はない。」
志麻は静かに答える。
その声に諦念はない。
ただ、確信があるだけだった。
「どこに隠れたって、奴は俺を見つけ出す。」

スロウは何も言わなかった。
黙って志麻を見つめる。
「……俺が逃げたせいで、手口が変わった。」
風の音が、壁の時計の秒針をかき消していく。
志麻はわずかに顔を上げた。
「これからは俺の鼻だけが頼りですよね?ボス……。」
その言葉が落ちきる前に、スロウが腕を伸ばし、志麻を抱きしめた。

「いいんだ。志麻……もう事件のことは、みんなに任せろ。」
「……。」
「お前はもう、自分と……その腹の中の子のことを考えないといけない。」
「っ……。」
「担当医から聞いた。……辛かったな。」
「……っ。」

そのまま、志麻は何も言えなかった。
肩が小さく震える。
静かに、嗚咽のような呼吸が混ざり合っていく。

手元から、何かがふわりと落ちた。
小さな、白いメッセージカードだった。
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