BUDDY-0-

TERRA

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不完全な世界の中で

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薄暗い地下室の空気は、淀んで重苦しかった。
コンクリートの冷たさが全身を包み込み、閉ざされた密室の感覚が黒川の意識をぼんやりと揺らす。
彼はじりじりと目を開けたが、視界はぼやけていた。
手首と足首は強固に拘束され、動かそうとしてもぴくりとも動かない。
口には硬質な口枷がはめられ、声すら漏らせなかった。

耳を澄ませば、かすかに自分の荒い呼吸音だけが響く。
外界の音は完全に遮断されている。
防音処理が施されたこの空間には、もはや時間も方角も存在しなかった。

薄明かりの中、壁際に設置された監視カメラの黒いレンズが不気味に彼を見据えている。
逃れようがない、閉じ込められた牢獄。
その静謐は異様な緊張を生み、胸の内の恐怖がじわじわと広がった。

黒川は手足の拘束に無力感を抱きながらも、必死に記憶を辿ろうとした。
だが答えは浮かばず、ただ混乱と不安が押し寄せるだけだった。
ここはどこなのか、なぜ自分がこんなところにいるのか。
思考は絡まり、出口のない迷路に迷い込んだかのようだった。

時間がどれほど経ったのか、感覚が麻痺していく中で、重い鉄扉が静かに開く音が響いた。
まるで世界が動き始めたかのように。

静寂を破り、ゆっくりと一人の男が姿を現した。
白崎裁。
彼の整った顔立ちは光の影に際立ち、鋭い目つきが黒川を冷たく見下ろしていた。

白崎は言葉を発さず、ただ淡々と歩み寄り、拘束された黒川の手首を少し緩める。
だが口枷は外さなかった。
自由に語ることは許されない、絶対的な主従関係の象徴のように。

白崎は低く、冷静な声で言った。
「君はここで、選ぶことができる。」

その言葉は呪いのように黒川の胸に響いた。

地下室の壁に取り付けられた監視モニターが一斉に点灯し、隣室の映像が映し出される。
画面には二人の男が映っていた。

一人は拘束され、顔を歪めて激しく泣き叫んでいる。
もう一人はその男を支配し、暴力的な行為を繰り返していた。

薄暗い映像越しに伝わる彼らの苦痛と絶望。
言葉にならない叫びが、黒川の心を深くえぐり取った。

黒川はその異様な空気に圧倒されながらも、目を逸らせなかった。
自分がここにいる意味、これから何を強いられるのか、すべてが分からずにいた。

冷えきった地下室で、時間だけが過ぎていく。
選択は迫り、逃れられぬ現実が彼を締め上げていた。

黒川の胸の奥で、静かな決意が芽生え始めていた。
戻ることの許されない、選択の部屋で。
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