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4.目覚めト希望
31_サヨナラ
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遥か天高い塔の上……風の唸る音を聞きながら、俺はこの世界を眺めた――賑やかだと思われた都市部は、それほど大きくは見えず。 ただ遠くに見えるオブジェクトで構成された広大な自然が大半を占めていた。
ゼロファイブが消えた湖は、太陽光に照らされ、コバルトブルーの色を放っていた。 鉄の燃えたような匂いが、未だに空に漂って……ゼロスリーの寂しげな顔を思い出す。
そして――ゼロフォーはもういない。 遥か塔の上から、自力で降りる事も叶わない。 隣に残されたゼロツーと共に、研究室の中まで進むしか……もう道は残されていなかった。
「ゼロスリー……、ゼロフォー……、ゼロファイブ…みんな、皆いなくなっちゃった……ううっ」
ゼロツーの姿は、初めて会った時よりも随分とボロボロになり果てていた。 それでも懸命に、機械的反応だと……泣きながらも、彼女は前へ進んでいた。
「早く、レント……こっちはパスコードを解除出来たから、そっちにそれをかざして」
「あぁ……」
扉の横に取り付けられた機械へ、持っていたスマホをかざす。 ガチャリ、と音がして……扉の鍵が開いた。
「ねぇ……レント、ここでサヨナラだよ……この先は……君一人で行かないとだね……へへ、僕のバッテリーも、もうないんだ……」
「ゼロツー……」
「僕ね……こうなる前、すごく冷たい人間だった。 人と、どうして接していいか知らなかったの……でも、明るくて陽気なアグレー博士が大好きだった」
「……それって、前の……記憶?」
「そう……僕の記憶の元は……未来組織への意識提供者から受け継いだもの……君が抱きしめてくれた時、本物の人間になれたって思ったんだ、だから……ありがとう、藤ヶ谷蓮人……」
ゼロツーは、静かに呟いて……ぽたぽたと涙を流している。 彼女のバッテリー残量はたった1%……もう、自分の力で体を動かすことも、充電する事もできない。
「お願い、僕らが大好きだったアグレー博士……ディスカトーテなんかに負けないでって……伝えて欲しいよ……」
ゼロツーは、カクリと頭を下げ……ゆっくりと瞳から光が失われて行った。 地面へ倒れ込んだアンドロイドはもう、ピクリとも動かない。 俺は静かに、スマホをポケットにしまい込んだ。
「もうめちゃくちゃだ。 こんな未来――俺はぜったい、許さねえ……」
俺は、扉に手をかけた。 思いっきり息を吸い込んで、フーッと勢いよく吐き出す。 何が出来るわけでもない……でも、俺が進まなければ、未来は絶対に変わらない。
勢いよく、両手でドアを開いた。 左右にスライドされたドアは、スッと音を立て壁の端にぶつかった音が室内に鳴り響いた。
「何だ……これ……」
部屋の中は真っ暗で、ゲーム画面がバグったように、バーコードの波が流れ、ぐるぐると渦巻いている。 ごくりと喉を鳴らしながら、一歩、また一歩と中へ足を踏み入れた。
「ヤァ……まったく、君も図太いねぇ……でも、迎えに行く手間が省けたよ」
「ディスカトーテ!!」
「さあ、見てごらん……私の最愛の妻――明美が完成する様を……!!」
もうこの空間の中では、時空が歪んでいるように、明美の身体が宙に浮いていた。 目の前で眠っている明美は……粒子化して、分解され、ゆっくりその身体が成長していく。
機械同士がぶつかり合ていた、記憶の中で見た――眠る前の明美の姿となって行った。
「明美のシグナルを送信します……明美のシグナルを送信します……明……美」
「おい、目を覚ませよ、ゼロワン!! 本当のお前は何処に行ったんだよ!!お前は、確かに明美と似てたけど……まったく違う存在だろ!!」
俺は、大声で空間の中で叫び声を上げた。 もう真っ暗で、足元さえ見えない――目の前で浮く大人の明美が……ゆっくりと目を開いて、その唇は微かに動いていた。
「アッハハハハ!そうだ、目を覚ませ……!! 私の明美ヨ!!」
「蓮……斗……ザザッ……ここ、どこなの!?……ザザザッ……レントさ…ま……」
俺は頭がおかしくなりそうだった。 目の前に見えている明美は大人で、声は幼馴染の明美そのもの……そして、時折ノイズが入り混じり、ゼロワンの声が聞こえて来る。 たった一人の存在なのに、3つもの意識が目の前で入れ替わって、壊れた人形のように繰り返し声を発しているのだ。
「なあ、ディスカトーテ、これが本当にお前が求めていた事なのか!?」
「ハッハハハハ!当たり前だろう!!最後に私がこの体を捨て、お前の中で、お前として意識を芽生えさせれば――全てが私の物になるのだ!!」
ディスカトーテはゲラゲラと高らかに笑い声を放っていた。
ゼロファイブが消えた湖は、太陽光に照らされ、コバルトブルーの色を放っていた。 鉄の燃えたような匂いが、未だに空に漂って……ゼロスリーの寂しげな顔を思い出す。
そして――ゼロフォーはもういない。 遥か塔の上から、自力で降りる事も叶わない。 隣に残されたゼロツーと共に、研究室の中まで進むしか……もう道は残されていなかった。
「ゼロスリー……、ゼロフォー……、ゼロファイブ…みんな、皆いなくなっちゃった……ううっ」
ゼロツーの姿は、初めて会った時よりも随分とボロボロになり果てていた。 それでも懸命に、機械的反応だと……泣きながらも、彼女は前へ進んでいた。
「早く、レント……こっちはパスコードを解除出来たから、そっちにそれをかざして」
「あぁ……」
扉の横に取り付けられた機械へ、持っていたスマホをかざす。 ガチャリ、と音がして……扉の鍵が開いた。
「ねぇ……レント、ここでサヨナラだよ……この先は……君一人で行かないとだね……へへ、僕のバッテリーも、もうないんだ……」
「ゼロツー……」
「僕ね……こうなる前、すごく冷たい人間だった。 人と、どうして接していいか知らなかったの……でも、明るくて陽気なアグレー博士が大好きだった」
「……それって、前の……記憶?」
「そう……僕の記憶の元は……未来組織への意識提供者から受け継いだもの……君が抱きしめてくれた時、本物の人間になれたって思ったんだ、だから……ありがとう、藤ヶ谷蓮人……」
ゼロツーは、静かに呟いて……ぽたぽたと涙を流している。 彼女のバッテリー残量はたった1%……もう、自分の力で体を動かすことも、充電する事もできない。
「お願い、僕らが大好きだったアグレー博士……ディスカトーテなんかに負けないでって……伝えて欲しいよ……」
ゼロツーは、カクリと頭を下げ……ゆっくりと瞳から光が失われて行った。 地面へ倒れ込んだアンドロイドはもう、ピクリとも動かない。 俺は静かに、スマホをポケットにしまい込んだ。
「もうめちゃくちゃだ。 こんな未来――俺はぜったい、許さねえ……」
俺は、扉に手をかけた。 思いっきり息を吸い込んで、フーッと勢いよく吐き出す。 何が出来るわけでもない……でも、俺が進まなければ、未来は絶対に変わらない。
勢いよく、両手でドアを開いた。 左右にスライドされたドアは、スッと音を立て壁の端にぶつかった音が室内に鳴り響いた。
「何だ……これ……」
部屋の中は真っ暗で、ゲーム画面がバグったように、バーコードの波が流れ、ぐるぐると渦巻いている。 ごくりと喉を鳴らしながら、一歩、また一歩と中へ足を踏み入れた。
「ヤァ……まったく、君も図太いねぇ……でも、迎えに行く手間が省けたよ」
「ディスカトーテ!!」
「さあ、見てごらん……私の最愛の妻――明美が完成する様を……!!」
もうこの空間の中では、時空が歪んでいるように、明美の身体が宙に浮いていた。 目の前で眠っている明美は……粒子化して、分解され、ゆっくりその身体が成長していく。
機械同士がぶつかり合ていた、記憶の中で見た――眠る前の明美の姿となって行った。
「明美のシグナルを送信します……明美のシグナルを送信します……明……美」
「おい、目を覚ませよ、ゼロワン!! 本当のお前は何処に行ったんだよ!!お前は、確かに明美と似てたけど……まったく違う存在だろ!!」
俺は、大声で空間の中で叫び声を上げた。 もう真っ暗で、足元さえ見えない――目の前で浮く大人の明美が……ゆっくりと目を開いて、その唇は微かに動いていた。
「アッハハハハ!そうだ、目を覚ませ……!! 私の明美ヨ!!」
「蓮……斗……ザザッ……ここ、どこなの!?……ザザザッ……レントさ…ま……」
俺は頭がおかしくなりそうだった。 目の前に見えている明美は大人で、声は幼馴染の明美そのもの……そして、時折ノイズが入り混じり、ゼロワンの声が聞こえて来る。 たった一人の存在なのに、3つもの意識が目の前で入れ替わって、壊れた人形のように繰り返し声を発しているのだ。
「なあ、ディスカトーテ、これが本当にお前が求めていた事なのか!?」
「ハッハハハハ!当たり前だろう!!最後に私がこの体を捨て、お前の中で、お前として意識を芽生えさせれば――全てが私の物になるのだ!!」
ディスカトーテはゲラゲラと高らかに笑い声を放っていた。
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