ーANDROIDAー 禁忌の“ココロ” 僕らは――もうどこにも存在しない 【完結】

ゆずたこぽんず

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4.目覚めト希望

32_最後のお願い

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「なあ……明美とゼロワンを返してくれないか……」
「誰が返すものか!!全て、私のものだ!!」
「お前は……俺にはなれねえよ。 違う世界の明美も、同じものにはなれねえ……思い出せ、お前は未来の俺が作り上げた、アンドロイドだろ!!」

 暗闇が、視界を覆って――明美でさえ、その闇に飲み込まれて行く。

「くくくっ!!そんなのやってみなければ分からないだろう――!!」
「じゃあ、やってみたらいいさ……」
「ハハッ……自ら死を選ぶか!!なら、遠慮なく……!!」

 俺は、ポケットからスマホを取り出した。 スマホのライトは、うっすらと辺りを照らし出し……俺は、目の前に現れたディスカトーテの動きをとらえた。

 すかさず、やつの胴体部分を無理やり開き、中に手を突っ込んで……格納された石を取り外した。

「が……!!なぜ……!!私の動力部が……!!あぁああぁ!!誰か……私の石を、取り返せ……!!」
「お前には、無理だ……自分で作り上げた大切な仲間たちを、全て消し去るようなやつに……俺を名乗る資格はないよ」

 俺は、ひどく悲しさを覚えた。 ディスカトーテに放った言葉は、そっくりそのまま自分に返す言葉のようだ。 いま……目の前で、未来で自分が作り上げたアンドロイドの光を奪ってしまったのだから。

『ディスカトーテなんかに負けないで』
 
 ゼロツーの最後の言葉すら、伝える事が叶わなかった……。

「…………くそっ、なんで……こんなに悲しいんだ」

 目の前で笑う明美が、静かにこちらに向かって歩いてきた。 同時に……ゼロワンの姿もその隣に並ぶように姿を表した。

「蓮斗……あなたが亡くなった日から、この子は既に壊れてしまっていた……止めてくれて、ありがとう……」
「レント……様……おかげで、私も意識を取り戻せました、ありがとうございます」
「ゼロワン……それと、明美……?」

 目の前の明美から聞こえる声は、俺の知っているいつもの明美の声ではない。 大人になった彼女の声だ。

「結局俺は、明美を助けることができたのか……?」

 唇を震わせながら、静かに俺は呟いた。 問いかけた言葉の答えを聞くのが怖かった。 幼なじみだった明美の姿も形も全て変わってしまっていたのだから。

「…………ここにいる私は、若き頃の明美の体を借りて出てきた記憶の残当に過ぎないわ」

 母性溢れる声で、痛む心を落ち着かせるように……大人の明美は少し寂しそうな顔をしながら、ゆっくりと語っていた。 

「おれは……一体どうしたらいい……?もう、辛くて、悲しいんだ……明美を救うことだけしか考えなくて……全部を犠牲にして……」

 ディスカトーテとひとつになる前のアグレーが、言っていた言葉が……胸に突き刺さる。

「正義のための犠牲って何なんだよ……俺は……皆を犠牲にして、ここまでたどり着いたんだ……」
「いいのよ蓮斗……全ては、彼女たちが望んでやったこと……あなたは悪くない……悲しい思いをさせて、ごめんね……蓮斗」
「こうなったことには、私にも責任がアリマス……本当にごめんなさい、レント様」

 二人はそっと、俺の手を握りしめた。 ほんのり温もりのある手と――対照的に氷のように冷たい手……その温度差に、俺の手は震え続けた。

「なんで、お前らが謝るんだよ……誰も悪くないから……もっと悔しいんだ」
「ふふっ……優しいね、蓮斗は……」
「レント様はいつでも優しかったですよ~~!」

 明美と、ゼロワンはニコニコと笑っていた。 ほんの一瞬だけ、このままこの空間に居続けてもいいんじゃないか――と、錯覚してしまうほど。

「さて……そろそろ……この体も本当の明美に返してあげないとね」
「そうですね……」
「蓮斗……私の最後のお願い、聞いてくれる……?」

 改めて、大人の明美が、俺の手を握りしめた。 おれは小さく頷いて……それを見た彼女は、また、にっこりと微笑んだ。

「私を現実の世界で目覚めさせて――この世界を終わらせ……そして、同じ未来を繰り返さないで」
「……ははっ、なんだよそれ、メチャクチャ……」
「そのスマホが……解除コードです……ワタシの胸へかざせば……現実世界の明美の……コールドスリープは解除されます」

 スッと、ゼロワンが胸元にあったモニターを指差した。 俺は、ゆっくりとスマホを取り出し、モニターへと近づけていく……。

「ゼロワンも……消えちゃうのか……?」
「はい、ワタシも、消えます……サヨウナラ、藤ケ谷蓮斗様……」
「…………っ!!」

――カチャン
 モニターに、スマホが当たる音が小さく響いた――瞬間……目の前の世界はガラガラと崩れていく。

 俺の体は粒子となって分解され――壊れていく世界の残像を見続けていた。
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