32 / 35
4.目覚めト希望
32_最後のお願い
しおりを挟む
「なあ……明美とゼロワンを返してくれないか……」
「誰が返すものか!!全て、私のものだ!!」
「お前は……俺にはなれねえよ。 違う世界の明美も、同じものにはなれねえ……思い出せ、お前は未来の俺が作り上げた、アンドロイドだろ!!」
暗闇が、視界を覆って――明美でさえ、その闇に飲み込まれて行く。
「くくくっ!!そんなのやってみなければ分からないだろう――!!」
「じゃあ、やってみたらいいさ……」
「ハハッ……自ら死を選ぶか!!なら、遠慮なく……!!」
俺は、ポケットからスマホを取り出した。 スマホのライトは、うっすらと辺りを照らし出し……俺は、目の前に現れたディスカトーテの動きをとらえた。
すかさず、やつの胴体部分を無理やり開き、中に手を突っ込んで……格納された石を取り外した。
「が……!!なぜ……!!私の動力部が……!!あぁああぁ!!誰か……私の石を、取り返せ……!!」
「お前には、無理だ……自分で作り上げた大切な仲間たちを、全て消し去るようなやつに……俺を名乗る資格はないよ」
俺は、ひどく悲しさを覚えた。 ディスカトーテに放った言葉は、そっくりそのまま自分に返す言葉のようだ。 いま……目の前で、未来で自分が作り上げたアンドロイドの光を奪ってしまったのだから。
『ディスカトーテなんかに負けないで』
ゼロツーの最後の言葉すら、伝える事が叶わなかった……。
「…………くそっ、なんで……こんなに悲しいんだ」
目の前で笑う明美が、静かにこちらに向かって歩いてきた。 同時に……ゼロワンの姿もその隣に並ぶように姿を表した。
「蓮斗……あなたが亡くなった日から、この子は既に壊れてしまっていた……止めてくれて、ありがとう……」
「レント……様……おかげで、私も意識を取り戻せました、ありがとうございます」
「ゼロワン……それと、明美……?」
目の前の明美から聞こえる声は、俺の知っているいつもの明美の声ではない。 大人になった彼女の声だ。
「結局俺は、明美を助けることができたのか……?」
唇を震わせながら、静かに俺は呟いた。 問いかけた言葉の答えを聞くのが怖かった。 幼なじみだった明美の姿も形も全て変わってしまっていたのだから。
「…………ここにいる私は、若き頃の明美の体を借りて出てきた記憶の残当に過ぎないわ」
母性溢れる声で、痛む心を落ち着かせるように……大人の明美は少し寂しそうな顔をしながら、ゆっくりと語っていた。
「おれは……一体どうしたらいい……?もう、辛くて、悲しいんだ……明美を救うことだけしか考えなくて……全部を犠牲にして……」
ディスカトーテとひとつになる前のアグレーが、言っていた言葉が……胸に突き刺さる。
「正義のための犠牲って何なんだよ……俺は……皆を犠牲にして、ここまでたどり着いたんだ……」
「いいのよ蓮斗……全ては、彼女たちが望んでやったこと……あなたは悪くない……悲しい思いをさせて、ごめんね……蓮斗」
「こうなったことには、私にも責任がアリマス……本当にごめんなさい、レント様」
二人はそっと、俺の手を握りしめた。 ほんのり温もりのある手と――対照的に氷のように冷たい手……その温度差に、俺の手は震え続けた。
「なんで、お前らが謝るんだよ……誰も悪くないから……もっと悔しいんだ」
「ふふっ……優しいね、蓮斗は……」
「レント様はいつでも優しかったですよ~~!」
明美と、ゼロワンはニコニコと笑っていた。 ほんの一瞬だけ、このままこの空間に居続けてもいいんじゃないか――と、錯覚してしまうほど。
「さて……そろそろ……この体も本当の明美に返してあげないとね」
「そうですね……」
「蓮斗……私の最後のお願い、聞いてくれる……?」
改めて、大人の明美が、俺の手を握りしめた。 おれは小さく頷いて……それを見た彼女は、また、にっこりと微笑んだ。
「私を現実の世界で目覚めさせて――この世界を終わらせ……そして、同じ未来を繰り返さないで」
「……ははっ、なんだよそれ、メチャクチャ……」
「そのスマホが……解除コードです……ワタシの胸へかざせば……現実世界の明美の……コールドスリープは解除されます」
スッと、ゼロワンが胸元にあったモニターを指差した。 俺は、ゆっくりとスマホを取り出し、モニターへと近づけていく……。
「ゼロワンも……消えちゃうのか……?」
「はい、ワタシも、消えます……サヨウナラ、藤ケ谷蓮斗様……」
「…………っ!!」
――カチャン
モニターに、スマホが当たる音が小さく響いた――瞬間……目の前の世界はガラガラと崩れていく。
俺の体は粒子となって分解され――壊れていく世界の残像を見続けていた。
「誰が返すものか!!全て、私のものだ!!」
「お前は……俺にはなれねえよ。 違う世界の明美も、同じものにはなれねえ……思い出せ、お前は未来の俺が作り上げた、アンドロイドだろ!!」
暗闇が、視界を覆って――明美でさえ、その闇に飲み込まれて行く。
「くくくっ!!そんなのやってみなければ分からないだろう――!!」
「じゃあ、やってみたらいいさ……」
「ハハッ……自ら死を選ぶか!!なら、遠慮なく……!!」
俺は、ポケットからスマホを取り出した。 スマホのライトは、うっすらと辺りを照らし出し……俺は、目の前に現れたディスカトーテの動きをとらえた。
すかさず、やつの胴体部分を無理やり開き、中に手を突っ込んで……格納された石を取り外した。
「が……!!なぜ……!!私の動力部が……!!あぁああぁ!!誰か……私の石を、取り返せ……!!」
「お前には、無理だ……自分で作り上げた大切な仲間たちを、全て消し去るようなやつに……俺を名乗る資格はないよ」
俺は、ひどく悲しさを覚えた。 ディスカトーテに放った言葉は、そっくりそのまま自分に返す言葉のようだ。 いま……目の前で、未来で自分が作り上げたアンドロイドの光を奪ってしまったのだから。
『ディスカトーテなんかに負けないで』
ゼロツーの最後の言葉すら、伝える事が叶わなかった……。
「…………くそっ、なんで……こんなに悲しいんだ」
目の前で笑う明美が、静かにこちらに向かって歩いてきた。 同時に……ゼロワンの姿もその隣に並ぶように姿を表した。
「蓮斗……あなたが亡くなった日から、この子は既に壊れてしまっていた……止めてくれて、ありがとう……」
「レント……様……おかげで、私も意識を取り戻せました、ありがとうございます」
「ゼロワン……それと、明美……?」
目の前の明美から聞こえる声は、俺の知っているいつもの明美の声ではない。 大人になった彼女の声だ。
「結局俺は、明美を助けることができたのか……?」
唇を震わせながら、静かに俺は呟いた。 問いかけた言葉の答えを聞くのが怖かった。 幼なじみだった明美の姿も形も全て変わってしまっていたのだから。
「…………ここにいる私は、若き頃の明美の体を借りて出てきた記憶の残当に過ぎないわ」
母性溢れる声で、痛む心を落ち着かせるように……大人の明美は少し寂しそうな顔をしながら、ゆっくりと語っていた。
「おれは……一体どうしたらいい……?もう、辛くて、悲しいんだ……明美を救うことだけしか考えなくて……全部を犠牲にして……」
ディスカトーテとひとつになる前のアグレーが、言っていた言葉が……胸に突き刺さる。
「正義のための犠牲って何なんだよ……俺は……皆を犠牲にして、ここまでたどり着いたんだ……」
「いいのよ蓮斗……全ては、彼女たちが望んでやったこと……あなたは悪くない……悲しい思いをさせて、ごめんね……蓮斗」
「こうなったことには、私にも責任がアリマス……本当にごめんなさい、レント様」
二人はそっと、俺の手を握りしめた。 ほんのり温もりのある手と――対照的に氷のように冷たい手……その温度差に、俺の手は震え続けた。
「なんで、お前らが謝るんだよ……誰も悪くないから……もっと悔しいんだ」
「ふふっ……優しいね、蓮斗は……」
「レント様はいつでも優しかったですよ~~!」
明美と、ゼロワンはニコニコと笑っていた。 ほんの一瞬だけ、このままこの空間に居続けてもいいんじゃないか――と、錯覚してしまうほど。
「さて……そろそろ……この体も本当の明美に返してあげないとね」
「そうですね……」
「蓮斗……私の最後のお願い、聞いてくれる……?」
改めて、大人の明美が、俺の手を握りしめた。 おれは小さく頷いて……それを見た彼女は、また、にっこりと微笑んだ。
「私を現実の世界で目覚めさせて――この世界を終わらせ……そして、同じ未来を繰り返さないで」
「……ははっ、なんだよそれ、メチャクチャ……」
「そのスマホが……解除コードです……ワタシの胸へかざせば……現実世界の明美の……コールドスリープは解除されます」
スッと、ゼロワンが胸元にあったモニターを指差した。 俺は、ゆっくりとスマホを取り出し、モニターへと近づけていく……。
「ゼロワンも……消えちゃうのか……?」
「はい、ワタシも、消えます……サヨウナラ、藤ケ谷蓮斗様……」
「…………っ!!」
――カチャン
モニターに、スマホが当たる音が小さく響いた――瞬間……目の前の世界はガラガラと崩れていく。
俺の体は粒子となって分解され――壊れていく世界の残像を見続けていた。
0
あなたにおすすめの小説
アガルタ・クライシス ―接点―
来栖とむ
SF
神話や物語で語られる異世界は、空想上の世界ではなかった。
九州で発見され盗難された古代の石板には、異世界につながる何かが記されていた。
同時に発見された古い指輪に偶然触れた瞬間、平凡な高校生・結衣は不思議な力に目覚める。
不審な動きをする他国の艦船と怪しい組織。そんな中、異世界からの来訪者が現れる。政府の秘密組織も行動を開始する。
古代から権力者たちによって秘密にされてきた異世界との関係。地球とアガルタ、二つの世界を巻き込む陰謀の渦中で、古代の謎が解き明かされていく。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
サイレント・サブマリン ―虚構の海―
来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。
科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。
電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。
小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。
「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」
しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。
謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か——
そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。
記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える——
これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。
【全17話完結】
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる