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#010 映像配信の効果
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5代目の仙元さんはアラフィフのおじさま。
7代目の榊さんは、ほぼ俺と同年代。
多分10代とか、若くして召喚されたのだろう。
エンゲルトさんは20代前半ぽい若者だ。
用意された別室は、少人数向けのこぢんまりした談話室だった。
こぢんまりとは言っても、それでも王城であるわけだから、それなりだ。
ただ、元は辺境伯領の領主館だったこの王城は、華美では無い。むしろ重厚で格調を感じさせる。
相手グループには二人も元神子がいる。
尊いとされる召喚者の皆様でも、今回が初来訪である故、俺達だけにしてもらえるわけでは無い。
ラグンフリズ王国側からしてみたら、実質この国に加護を与えている神子は俺という事になっている。
つまりは俺は国家の要人だ。
だから、まだ本人達が名乗っているだけの段階に近く、具体的に裏が取れていない今は、俺と、お三方だけにすることは出来ないという事。
ただ、俺が認めている以上、過去の神子様である事が真実と想定した上で遇する。
であるから、その格の高さ故、ホスト役として王族のエルンスト様が同席している。
また、室内には近衛騎士が数名控えている。
「先ほどは失礼しました」
ほぼ同時に俺とエンゲルトさんが頭を下げ合った。
ミランの纏う空気が強ばったのを感じる。
エンゲルトさんは、俺が元の世界で付き合った3人のうち、唯一の同性の恋人だった咲本君だった。
恋人と言っても、キスすらした事が無かったんだけど。
告白されて、承諾して、数回デートしたくらい。
頑張って手を繋いできたけど、通りすがりのJKに「えっ?」て顔されたのを見て慌てて放したよね。
可愛かった。うん。
転生してエンゲルトさんになったとのこと。
見た目はガイジンのイケメンだけど中身は日本人で俺の親しい人、と言う事になる。
「本当に咲本君?…でも、こっちの世界で生まれ育ったんだよね?その…20年以上?え?どう言う計算?」
「時間軸も違うらしいんです。俺は元の世界で48歳の時に事故で死んだんです。こちらの世界では今21歳です」
「うわっ、わかっ」
「実は、『異世界人保護機構』は、転生者のサポートもしておりまして」
仙元さんが言った。
「エリオットは、ほぼ物心付いた時から転生者という自覚があったらしいんですが、中には結構成長してから、ある時突然に前世の記憶が蘇って混乱を来す人も居るんですよ。
そういう人の相談役のようなこともしています。
メインは召喚者の人権を守ることなんですけどね。かくいう我々も、自分への扱いの不当性を感じて居た頃、この組織の存在を知って、相談に行ってみたのがきっかけでして。
その後やはり当事者の一人として、いつの間にか役員になってしまいました」
榊さんが笑いながら続けた。
「昨年、ガヌ公国で行われたコモ王国との会談を、大陸一体にライブ配信したじゃ無いですか。
アレを見てエリオットは、勇気を振り絞って我々の元を訪れて、何とかあなたに会うことは出来ないだろうかと、相談を持ちかけてきたんですよ。
知り合いなのだと。是非伝えたいことがあるのだと切実に訴えてきて」
俺は頷いた。
「咲本光太朗君なら、確かに元の世界では知り合いでした。というか、親しい間柄でした」
「はい。私は前世、神子様と同じ職場で働いて居ました」
そこで俺は、まずその場のホスト役を務めるエルンスト様に、彼の前世を、俺との関係性込みで紹介した。
彼はそつなく王弟であるエルンスト様に挨拶をする。
そして俺はマクミランを紹介した。この世界での伴侶として。
エンゲルトさんこと咲本君は、殊更丁寧にマクミランに挨拶をした。
微妙にマクミランを纏う空気が硬い。
多分、気づいたんだろうな。咲本君が元の世界で俺と一時期付き合っていた相手だったこと。
「あのガヌ公国での会談を見て、実のところ俺は『ああ、やっぱり三倉先輩だな』と思いました」
エルンスト様に促されて、整然と着席したあと、徐に彼が語り始めた。
「きっと、あの契約を成し遂げられなかったことをとても悔いていると。いや、むしろそれを心の十字架にして、自分を苦しめているんだろうなと」
テーブルの上に置かれた茶器類を前に、少し視線を落としてから俺を見た。
「だから、あのとき…あなたが失踪したあと現場がどうなったのかを伝えなくてはならないと、そう思って。それで異世界人保護機構に駆け込み、仙元さんや榊さんに同行を許可してもらった次第です」
あのあと。
俺がドタキャン状態で放り出してきてしまった重要な契約。
きっと、きっと、みんなに甚大な迷惑をかけた。
どれ程の被害を出したのだろうか。
聞くのが怖い…。
俺は思わず自分の膝を覆うチュニックをギュッと握りしめた。
おそらくかなり緊張した表情をしていただろうと思う。
「結論から言えば、おそらく先輩が想像しているよりも、果てしなく大事になったのだと思います」
絶望的な気持ちで思わず目を上げると、エンゲルトさんは苦笑しながら、俺を落ち着かせようとして掌をこちらに向けた。
「あ、ご心配なく。契約自体はあの後無事に成立しています。最初は先方も少しご不快そうだったのですが、あの後の騒動では逆に少し気遣ってもらったくらいで」
契約が無事成立の言葉を聞いて、一気に俺の体から力が抜けた。
思わず両手で顔を覆って、大きく息をつきながら、その勢いのままテーブルに突っ伏してしまった。
「ああ、ああ、…ゴメン。きっとみんなが頑張ってくれたんだよね。もうホント、どれだけの迷惑かけたんだろうと思うと…、なんて言って良いのか…」
「いえあの…多分、先輩が想像しているのとは“大事”の種類は違うと思いますけども」
え?
どう言う意味?
7代目の榊さんは、ほぼ俺と同年代。
多分10代とか、若くして召喚されたのだろう。
エンゲルトさんは20代前半ぽい若者だ。
用意された別室は、少人数向けのこぢんまりした談話室だった。
こぢんまりとは言っても、それでも王城であるわけだから、それなりだ。
ただ、元は辺境伯領の領主館だったこの王城は、華美では無い。むしろ重厚で格調を感じさせる。
相手グループには二人も元神子がいる。
尊いとされる召喚者の皆様でも、今回が初来訪である故、俺達だけにしてもらえるわけでは無い。
ラグンフリズ王国側からしてみたら、実質この国に加護を与えている神子は俺という事になっている。
つまりは俺は国家の要人だ。
だから、まだ本人達が名乗っているだけの段階に近く、具体的に裏が取れていない今は、俺と、お三方だけにすることは出来ないという事。
ただ、俺が認めている以上、過去の神子様である事が真実と想定した上で遇する。
であるから、その格の高さ故、ホスト役として王族のエルンスト様が同席している。
また、室内には近衛騎士が数名控えている。
「先ほどは失礼しました」
ほぼ同時に俺とエンゲルトさんが頭を下げ合った。
ミランの纏う空気が強ばったのを感じる。
エンゲルトさんは、俺が元の世界で付き合った3人のうち、唯一の同性の恋人だった咲本君だった。
恋人と言っても、キスすらした事が無かったんだけど。
告白されて、承諾して、数回デートしたくらい。
頑張って手を繋いできたけど、通りすがりのJKに「えっ?」て顔されたのを見て慌てて放したよね。
可愛かった。うん。
転生してエンゲルトさんになったとのこと。
見た目はガイジンのイケメンだけど中身は日本人で俺の親しい人、と言う事になる。
「本当に咲本君?…でも、こっちの世界で生まれ育ったんだよね?その…20年以上?え?どう言う計算?」
「時間軸も違うらしいんです。俺は元の世界で48歳の時に事故で死んだんです。こちらの世界では今21歳です」
「うわっ、わかっ」
「実は、『異世界人保護機構』は、転生者のサポートもしておりまして」
仙元さんが言った。
「エリオットは、ほぼ物心付いた時から転生者という自覚があったらしいんですが、中には結構成長してから、ある時突然に前世の記憶が蘇って混乱を来す人も居るんですよ。
そういう人の相談役のようなこともしています。
メインは召喚者の人権を守ることなんですけどね。かくいう我々も、自分への扱いの不当性を感じて居た頃、この組織の存在を知って、相談に行ってみたのがきっかけでして。
その後やはり当事者の一人として、いつの間にか役員になってしまいました」
榊さんが笑いながら続けた。
「昨年、ガヌ公国で行われたコモ王国との会談を、大陸一体にライブ配信したじゃ無いですか。
アレを見てエリオットは、勇気を振り絞って我々の元を訪れて、何とかあなたに会うことは出来ないだろうかと、相談を持ちかけてきたんですよ。
知り合いなのだと。是非伝えたいことがあるのだと切実に訴えてきて」
俺は頷いた。
「咲本光太朗君なら、確かに元の世界では知り合いでした。というか、親しい間柄でした」
「はい。私は前世、神子様と同じ職場で働いて居ました」
そこで俺は、まずその場のホスト役を務めるエルンスト様に、彼の前世を、俺との関係性込みで紹介した。
彼はそつなく王弟であるエルンスト様に挨拶をする。
そして俺はマクミランを紹介した。この世界での伴侶として。
エンゲルトさんこと咲本君は、殊更丁寧にマクミランに挨拶をした。
微妙にマクミランを纏う空気が硬い。
多分、気づいたんだろうな。咲本君が元の世界で俺と一時期付き合っていた相手だったこと。
「あのガヌ公国での会談を見て、実のところ俺は『ああ、やっぱり三倉先輩だな』と思いました」
エルンスト様に促されて、整然と着席したあと、徐に彼が語り始めた。
「きっと、あの契約を成し遂げられなかったことをとても悔いていると。いや、むしろそれを心の十字架にして、自分を苦しめているんだろうなと」
テーブルの上に置かれた茶器類を前に、少し視線を落としてから俺を見た。
「だから、あのとき…あなたが失踪したあと現場がどうなったのかを伝えなくてはならないと、そう思って。それで異世界人保護機構に駆け込み、仙元さんや榊さんに同行を許可してもらった次第です」
あのあと。
俺がドタキャン状態で放り出してきてしまった重要な契約。
きっと、きっと、みんなに甚大な迷惑をかけた。
どれ程の被害を出したのだろうか。
聞くのが怖い…。
俺は思わず自分の膝を覆うチュニックをギュッと握りしめた。
おそらくかなり緊張した表情をしていただろうと思う。
「結論から言えば、おそらく先輩が想像しているよりも、果てしなく大事になったのだと思います」
絶望的な気持ちで思わず目を上げると、エンゲルトさんは苦笑しながら、俺を落ち着かせようとして掌をこちらに向けた。
「あ、ご心配なく。契約自体はあの後無事に成立しています。最初は先方も少しご不快そうだったのですが、あの後の騒動では逆に少し気遣ってもらったくらいで」
契約が無事成立の言葉を聞いて、一気に俺の体から力が抜けた。
思わず両手で顔を覆って、大きく息をつきながら、その勢いのままテーブルに突っ伏してしまった。
「ああ、ああ、…ゴメン。きっとみんなが頑張ってくれたんだよね。もうホント、どれだけの迷惑かけたんだろうと思うと…、なんて言って良いのか…」
「いえあの…多分、先輩が想像しているのとは“大事”の種類は違うと思いますけども」
え?
どう言う意味?
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