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・Day6/Chapter3 散らし花

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 声にならない叫び声があがった。
 目の前が真っ白になり、内側から強烈な波が青年を襲った。
 がくがくと震えが止まらない。力が入らなくて、そのまま、青年は床の上に崩れ落ちた。そのとき、中を突いた男が、青年の中からこぼれおちた。
「あー、あ、ああ……」
 まだ、びゅくびゅくと勢いなく、青年の前からはそれが放出されている。
「早いな」
 男の瞳は青年へと注がれている。
「俺ので突かれただけで、これとは。……本当にほしかったのだな」
 揶揄である。
 この男は、青年が、手で限界まで、こじ開けられるよりは、まだこちらのほうがいいと選んだことを理解していた。
「ほら、いつまで寝ている。立て」
 男が、青年の腕を掴んだ。
 そのままねじ上げて、力のない、青年の内側へと突き立てる。
「ひぃっ、う、あ、あああ、あ」
 先ほどのように一気に突き上げるのではなく、ゆっくりと奥を暴かれていく感覚に青年は、うめいた。
「これくらいでいいか」
 腰が止まった。
 だが、ここから先が、地獄だった。
 ずるりと身を引いた男が激しく内部を打ち付けてくる。
「う、あ、あ、ああっ、だ、だ、だめだっ、い……っ、う、し、し、しぬからぁっ」
 男に突かれるたびに、青年の前から透明な液体が小さく水を噴き上げていく。
 下半身がどろりと溶けてしまったかのように熱くて、何がなんだか、もうわかりはしない。鮮明な感覚のかわりに強烈な愉悦そのものが青年を襲ってくる。
「も、もう、だ、だめ、やだっ」
「お前が欲しがったんだろ?」
 男が笑った。それでも、行為を止めるつもりはないらしい。激しく中をえぐるたびに、青年の臀部と男の玉がぶつかりあって、乾いた音を立てた。
「あー、あ、あ、あ、い、いく、いくぅ、も、いくからああ、やあっ……あ、あ」
「そうか、いけ」
 低く命令すると、男は腰を巧みにつかって、青年のなかのしこりの位置をねらって深くえぐった。
「ひぎぃっ!!」
 鋭い悲鳴をあげて、青年の肉体が大きく震えあがった。
 前からは何も出てこなかった。それでも、青年は到達の上にきていた。
「ああ、よくしまるな」
 男の肉欲を締め上げて、その熱量と質量を感じ、それによって、青年は到達をとげたのだ。
「はあ、あー……あ、……! だ、だめ、な、なんで、うごいてっ」
 崩れ落ちそうになった青年を支えると、男はまだあふれるばかりの質量で、青年を刺し貫く。
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