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・地下室調教編(Day7~)

三日目 1-2

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「くそ、何している!?」
 もう一人の使用人が叫ぶ。
 青年は、彼の目の前にしゃがみこんで奉仕するふりをして、そのすきをねらって、彼に体当たりをくらわせた。ひるんだすきに、二人の使用人の間をするぬけて、入口へと走り出した。
 地下室を出て、廊下へとでる。
 目の前に長い階段が、現れる。これを登りつめれば、出口があるはずだ。
「おい! 待て!」
 ふたりが必死に青年を追いかけてくる。青年はといえば、彼らに「待て」といわれて待つような心境には、あいにくない。二日間も、地下室にとじこめられていた人間とは思えない俊敏な動きで、階段を上り出した。
 心臓がばくばくと高鳴る。
 官能の作用によって、心拍が上がるとの違って、こうやって、自分の身体を使って、動かして、自分で道を切り抜けようというのは、かなり気分がいい。
 青年は、階段を上り詰めた。目の前に鉄の扉が待っていた。そっと、ドアノブを押せば、ーー開いた。
「っ!」
 彼が、出たのは屋敷の裏側に位置する場所だった。室内だが、どこか薄暗く、倉庫のようになっていて、積まれた段ボールがあちこちで山になっていた。
「やはり、こちらへ逃げてくると思ったよ」
 声がして、青年は、さっと近くの物陰に身を隠そうとした。だが、彼は目ざとかった。
「俺を覚えてくれてはないのかい?」
 黒服。この屋敷に絶対忠誠を誓う使用人の制服だ。それを身にまとった人物が、現れた。青年は、そっとその身をさらした。
「滝田」
 彼の名を呼べば、ビンゴだった。
「何故、ここに?」
 青年の問いに、彼は、笑みを浮かべた。彼が笑うと、くしゃっと顔全体がつぶれるような笑い方になる。
「何故って、隙を見つけて走って逃げるなら、真っ先に一番近い階段から逃げるだろうなと思って。ここにいれば、きみと話せる」
 滝田が答えたかと思えば、もう二人は、扉の向こう側にまで追いかけてきたらしい。どんどんと扉を叩く音に、青年は、どきりとした。
「静かに。あまり声を立てないでくれ」
 滝田は言った。
「大丈夫。向こう側からは開けられない。ただし、こちら側からは開く。わかるね?」
 なるほど、と青年は、首を縦に振った。
 つまり地下室へ派遣されていたのは三人組だったのだ。二人が、地下室へと行き、一人が扉の前で待つ。
「普段、使用人が利用しているのは奥の階段からだ。倉庫とつながっている扉の向こうにひとがいなければ、こちらは開かない。少し、移動しよう。ひとに聞かれるとまずいから」
 本当に、この男を信用してもいいのだろうか。迷う青年であったが、先に行ってしまう滝田を追うため、青年も小走りになった。
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