221 / 281
・屋敷編
Mon-7
しおりを挟む
「ともかく、こういう腐り切った場所にはうんざりだ!」
青年のことば、うなづいて滝田が言う。
「それは俺も同感だ。だから、それに関しては少し俺も何か協力しないとな。っていっても、成績の数字を誤魔化すとか、隠密的になにかを……っていうのは、俺も、今あぶりだされたら、いっかんのおわりだから、そういうのは出来ないけれど」
「つまり、俺に、稼げって言いたいのか」
「端的にいうと――そうだな」
悪魔め、と青年は小さく言った。
「まあ、一番の悪魔を倒すっていう共通の目的があるだろう。俺たちは仲間だ」
「どうだかな」
「言っただろう。俺も協力はする、と」
「期待していいんだか、悪いんだか」
滝田を一瞥すると、青年はさっと屋敷の中へ戻っていった。
✿
太陽が、水平線に沈み始めるころから、消えゆく陽光にうってかわって、妖しげに灯された光によって、屋敷の表情が変わる。
「急遽、メンバーが変わる」
使用人たちの間で共有された今日の演目に、追加変更されるものがあった。
「用意をはやくしろ。ご主人さまを失望させるな。お客さまを待たせるな」
使用人頭が、てきぱきと配下に指示をはじめる。廊下は走りまわる使用人たちの足音に満たされる。
青年のことば、うなづいて滝田が言う。
「それは俺も同感だ。だから、それに関しては少し俺も何か協力しないとな。っていっても、成績の数字を誤魔化すとか、隠密的になにかを……っていうのは、俺も、今あぶりだされたら、いっかんのおわりだから、そういうのは出来ないけれど」
「つまり、俺に、稼げって言いたいのか」
「端的にいうと――そうだな」
悪魔め、と青年は小さく言った。
「まあ、一番の悪魔を倒すっていう共通の目的があるだろう。俺たちは仲間だ」
「どうだかな」
「言っただろう。俺も協力はする、と」
「期待していいんだか、悪いんだか」
滝田を一瞥すると、青年はさっと屋敷の中へ戻っていった。
✿
太陽が、水平線に沈み始めるころから、消えゆく陽光にうってかわって、妖しげに灯された光によって、屋敷の表情が変わる。
「急遽、メンバーが変わる」
使用人たちの間で共有された今日の演目に、追加変更されるものがあった。
「用意をはやくしろ。ご主人さまを失望させるな。お客さまを待たせるな」
使用人頭が、てきぱきと配下に指示をはじめる。廊下は走りまわる使用人たちの足音に満たされる。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
610
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる