【完結済】破棄とか面倒じゃないですか、ですので婚約拒否でお願いします

文字の大きさ
13 / 165

13

しおりを挟む


 ふわふわとした不可思議な感覚……。
 だけど、妙にリアルな夢を見る。

 エリルシア自身だと認識できるのに、その時々で、服装や髪色、風景が異なっていた。

 ある時は巫女とか神官みたいな衣装、ある時は今と同じようなドレスを纏っている。
 それ以外にも冒険者風だったり…まぁ冒険者風とかドレスとかだと、現在と大差ないのだけれど…その殆どで当たり前のように魔法を使っていた。
 それだけでなく、これまで引っかかりを覚えた言葉にも出会えた。

 『悪役令嬢』だの『ラジオ体操』だの……その世界……まぁ日本では魔法は使えなかったが、魔法のような道具は沢山あった。
 PCやスマホ、IHにTV……他にも電車や飛行機…。
 そしてセーラーカラーの制服だったから、中学生か高校生か、その辺りの年齢だろうと思われる。



 エリルシアはゆっくりと瞼を開いた。

「……知らない天井…ね」

 夢の中で見たアニメのワンシーンが浮かんで、思わず自分に苦笑する。
 部屋の中にはエリルシア以外いないようなので、苦笑も独り言も、気兼ねなく出来る。なんなら邪眼ポーズだって問題ない。

「あれは……何だったのかしら…夢? それとも妄想…とか…」

 エリルシアの生きる国、世界にも生まれ変わり等の概念はある。
 だが、それに即結び付ける気にはなれなかった。

 エリルシアは知らないベッドに寝そべったまま、ぼんやりと知らない天井を見つめ続ける。

「判別……魔法が使えたら夢じゃなく、前世とかだったりするのかも…」

 言葉にしてみると馬鹿らしく思えるが、エリルシアには良い方法のように思われた。

 今、生きている国、世界には魔法はない。
 正確には魔法は断絶した……そう言う方が正しい。
 ずっとずっと昔には、魔法が存在したそうだが、大きな魔法大戦が勃発し、魔法の継承がなされなくなったのだと言う。

 伝承や御伽噺としては残っているし、事実遺跡等には痕跡もあって、そこかしこに、魔法の名残と言うか残滓は、確かに存在するのだ。

 そして、エリルシアも探したり、使ったりしている魔具も、そんな遺跡等からの発掘品だ。
 魔石は今でも魔物から入手可能なので、発掘品の魔具であっても、壊れていなければ動く。
 一部は、魔紋の複写も可能になり、簡単な魔具なら作り出す事も出来るようにもなった。

 尤も、原理だのなんだのは不明のままなので、写し描くのが精一杯……気軽に製作出来る代物ではない。
 更に、手間も素材諸々も…多くが必要となるので、遺物でなくともかなり高価になってしまうも仕方ないだろう。

 魔法については、そんな環境なので試してみる価値はある。
 夢の中での感覚を思い出し、体内に意識を向ける。
 するとどうだろう…あっさりと指先に、透き通った水のボールがふよふよと浮かんでいる。

「………マジですか…」

 となると、さっきまで見ていたらしい夢は、単なる夢、妄想等ではないと言う事だ。
 思いがけない現実に、つい零れていた独り言も、出てこなくなる。

(……となるとよ?
 私のポジションって、やっぱり悪役令嬢って事よね……え~…8歳の悪役令嬢とか、マジで勘弁して貰いたいんだけど……でも該当するゲームもラノベも漫画もアニメも……心当たりがない…。
 まぁ、心当たりがなくても、お約束と言うのは不変な訳で、注意すべきところはそんなにズレないわよね、きっと…。
 うん、そうよ。
 だから路線変更はなし!
 王宮図書館と魔具保管庫の制覇に集中するのみ!
 王陛下には申し訳ないけど、私は命が惜しい。
 王子殿下とメイドさんには近づかない、これできっと勝つる!)

 エリルシアがベッドからむくりと起き上がると、同じくして扉がノックされる音がした。





∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽

そろそろ不定期更新になる予感です。
申し訳ございません><
しおりを挟む
感想 26

あなたにおすすめの小説

『悪役令嬢は、二度目の人生で無言を貫く。~処刑回避のために黙っていただけなのに、なぜか冷徹宰相様から「君こそ運命の人だ」と溺愛さています~』

放浪人
恋愛
「もう、余計なことは喋りません(処刑されたくないので!)」 王太子の婚約者エリスは、無実の罪を着せられた際、必死に弁解しようと叫び散らした結果「見苦しい」と断罪され、処刑されてしまった。 死に戻った彼女は悟る。「口は災いの元。二度目の人生は、何があっても口を閉ざして生き延びよう」と。 しかし、断罪の場で恐怖のあまり沈黙を貫いた結果、その姿は「弁解せず耐え忍ぶ高潔な令嬢」として称賛されてしまう。 さらに、人間嫌いの冷徹宰相クラウスに「私の静寂を理解する唯一の女性」と盛大な勘違いをされ、求婚されてしまい……!? 「君の沈黙は、愛の肯定だね?」(違います、怖くて固まっているだけです!) 「この国の危機を、一目で見抜くとは」(ただ臭かったから鼻を押さえただけです!) 怯えて黙っているだけの元悪役令嬢と、彼女の沈黙を「深遠な知性」と解釈して溺愛する最強宰相。 転生ヒロインの妨害も、隣国の陰謀も、全て「無言」で解決(?)していく、すれ違いロマンティック・コメディ! 最後はちゃんと言葉で愛を伝えて、最高のハッピーエンドを迎えます。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

【完結】捨てたものに用なんかないでしょう?

風見ゆうみ
恋愛
血の繋がらない姉の代わりに嫁がされたリミアリアは、伯爵の爵位を持つ夫とは一度しか顔を合わせたことがない。 戦地に赴いている彼に代わって仕事をし、使用人や領民から信頼を得た頃、夫のエマオが愛人を連れて帰ってきた。 愛人はリミアリアの姉のフラワ。 フラワは昔から妹のリミアリアに嫌がらせをして楽しんでいた。 「俺にはフラワがいる。お前などいらん」 フラワに騙されたエマオは、リミアリアの話など一切聞かず、彼女を捨てフラワとの生活を始める。 捨てられる形となったリミアリアだが、こうなることは予想しており――。

白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』

鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」 公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。 だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。 ――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの? 何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。 しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。 それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。 そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。 温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。 そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。 「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」 「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」 離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。 そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。

私を捨てた皆様、どうぞその選択を後悔なさってください 〜婚約破棄された令嬢の、遅すぎる謝罪はお断りです〜

くろねこ
恋愛
王太子の婚約者として尽くしてきた公爵令嬢エリシアは、ある日突然、身に覚えのない罪で断罪され婚約破棄を言い渡される。 味方だと思っていた家族も友人も、誰一人として彼女を庇わなかった。 ――けれど、彼らは知らなかった。 彼女こそが国を支えていた“本当の功労者”だったことを。 すべてを失ったはずの令嬢が選んだのは、 復讐ではなく「関わらない」という選択。 だがその選択こそが、彼らにとって最も残酷な“ざまぁ”の始まりだった。

なぜ、私に関係あるのかしら?

シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」 彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。 そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。 「…レオンハルト・トレヴァントだ」 非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。 そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。 「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」 この判断によって、どうなるかなども考えずに… ※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。 ※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、 ※ 画像はAIにて作成しております

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

「義妹に譲れ」と言われたので、公爵家で幸せになります

恋せよ恋
恋愛
「しっかり者の姉なら、婚約者を妹に譲ってあげなさい」 「そうだよ、バネッサ。君なら、わかるだろう」 十五歳の冬。父と婚約者パトリックから放たれた無慈悲な言葉。 再婚相手の連れ子・ナタリアの図々しさに耐えてきたバネッサは、 その瞬間に決意した。 「ええ、喜んで差し上げますわ」 将来性のない男も、私を軽んじる家族も、もういらない。 跡継ぎの重責から解放されたバネッサは、その類まれなる知性を見込まれ、 王国の重鎮・ヴィンセント公爵家へ嫁ぐことに。 「私は、私を一番に愛してくれる場所で幸せになります!」 聡明すぎる令嬢による、自立と逆転のハッピーエンド。 🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。 🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。 🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。 🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。 🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!

処理中です...