💘Purple Violet⚜️💐 堅物実直なノンケ親友への想いを、27年越しに伝えてテンパるゆるふわ一途イケメンのお話

良音 夜代琴

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番外編

六月の夢 (4/5)

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そんな叶うはずもない、夢のような夢がこんな風に叶った今。
俺が願う事なんてただひとつ、どうかこの夢が永遠に醒めませんように……ってだけだ。

なのにルスときたら、俺がしたいなら式も挙げようとか、その為なら戦おうとか、言ってくれちゃうんだもんな……。

胸に滾々と溢れる喜びに、俺は我慢できなくなってチラとルスを覗き見た。

瞬間、ルスと目が合ってしまう。

なっ……!?
なんだよ……、ルスはまさか、俺がそっぽ向いてる間もずっと俺の事見てたのか……?

真剣な眼差しのルスは、俺と目が合うと静かに口を開いた。
「しかし、式も披露もしないとなると、お前は公的には『生涯独身』になるのか……」
何やら沈鬱な顔をするルス。
そんなルスの気を逸らしたくて、俺はくだらない事を口にする。
「ん? まーな。つーかルスは俺が浮気なんてすると思うのか?」
俺がいつものように笑ってみせれば、ルスもまた笑ってくれるんじゃないかと思って。

けど、ルスは「浮気か……」と呟いたきり、考え込むように黙ってしまった。

……え……?
な、何だこの空気……。

まさか俺が知らないうちに、ルスは浮気してたとか、そんな事……あるわけねーよな?
だって、ルスだぞ?
誠実と真面目が服着て歩いてるよーな、そんなルスが……?
あるわけねーだろ?

「 ……な、何考えてんだよ……」
恐る恐る尋ねた俺の声は、情けない事にちょっと震えていた。

ルスは俺を見て、ひとつ頷くと「いや、お前が浮気するところを考えてみようとはしたんだが、想像もできなかった」と言った。

「んだよ、脅かすなよ!」
思わず突っ込む俺に、ルスが小さく首を傾げる。
「脅かしたつもりはないが、お前を不安にさせたなら謝ろう」
ルスはそう言いながら俺の手を取ろうとして……俺の両手が荷物で塞がってるのを見て、俺の後ろに垂らした金髪に手を伸ばす。

……ルス。お前、俺がさっき言ったこと、本当に分かってんだろーな?

そのまま俺の髪がルスの口元に引き寄せられるのを見て、俺は慌てて飛び退いた。
「だから、こーゆーの外でやんなって!」
「ああ。そうだったな。お前は顔も名も知られているからな」
「そーゆーお前だってこの辺じゃ十分知られてる方だかんな!?」
そうだろうか。と首を傾げるルスに、俺はため息を吐いた。
「ルスはさぁ……、どっからどこまでが天然で、どっからどこまでが計算なのか、イマイチ分かんねーんだよなぁ……」

親友だった頃は、ルスって天然だよなー、なんて微笑ましく思ってたんだけどさ。
こういう関係になってからは、なんか、時々意地悪な……ってのとはちょっと違うな。なんだろ。俺が困ってんの見て楽しそうにしてるとこあるよな。

別に、前からお互いからかったり揚げ足取ったりとか、そういうやり取りはあったけどさ。
そーゆーんじゃなくて、なんつーのかな……。俺をコントロールしたい、みたいな? 独り占めしたいみたいなとこが見え隠れするよな。
あー、……あれだ。支配欲とか独占欲ってやつか。
そりゃ友達だった頃は感じなくて当然だよな。
こーゆーのは好きな相手にしか向けねーもんな………………って、そっか……。

……気付いてしまってから、ルスが俺にそういう感情を持ってるって事実に、じわじわと身体が熱くなる。

「……もし、俺の言動が全て意図的だったとしたら、お前は俺に失望するか?」

いつもと同じ、落ち着いたルスの声。
顔を見れば、ルスは微笑んでいた。
けど、小さな黒い瞳は俺に縋るような色をしている。
「そっ、そんなの、するわけねーだろ!?」
慌てて答えた俺の言葉に、ルスの瞳が緩む。
ルスは、壮年の男らしい色気をたっぷり纏って、満足そうに口角を持ち上げた。

「そうか。ならいい」
「なっ……、なんなんだよっ、どっちなんだよ! ハッキリしろよ!!」
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