教え上手な龍のおかげでとんでもないことになりました

明日真 亮

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第1章 ウェリス王立学園編

10 ルシアの魔法講座

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 今は午後の魔法の授業の真っ最中だ。実技の訓練で僕の順番が終わり、2巡目を待っている間にルシアが魔法講座を開いてくれている。
 魔法の授業中にルシアの魔法講座なんてすごく贅沢な時間だ。僕が魔力で重要なものは魔力量と答えたからルシアが若干憤慨してたけど、ルシアはまた先生のように語りだした。

『よいか。魔法を使うためには魔力が必要だ。必然的に魔力のあらゆる要素を向上させることが魔法の上達となるが、その中でも一番重要とされているものは魔力の操作だ』

〈魔力の操作……いまいちピンとこないんだけど……〉

『フン! だからお主も周りの生徒も何をすべきか分かっておらんのだ。
 よいか。お主が言ったように魔力を蓄える力である魔力貯蔵量の大きさも重要な要素だ。これは訓練で伸ばすこともできるが、生まれ持ったものが大きく影響する。また種族による違いもある。例えば龍族と人間種を比較した場合、圧倒的に龍族の方が魔力貯蔵量が大きい。そして人間種の中でもお主たち人族と獣人族を比較した場合は人族の方が魔力貯蔵量が大きい。この辺りは種族特性というやつだ。獣人族は魔力貯蔵量が小さいが元々の身体能力に優れておる。そういった種族の特性というのも徐々に覚えていけ』

〈なんか魔力貯蔵量の話になっちゃってるけど?〉

『まず魔力貯蔵量の説明をした方がお主に分かりやすいからだ。
 そこでだ。魔力貯蔵量が100の容量だとしよう。そしてマナを1日で100取り込んだとする。魔力として蓄えられるのはどれぐらいになる?』

〈それは100なんじゃないの?〉

『不正解だな。マナを魔力に変換する力が100%の効率であればそうなるが、例えばここの生徒たちを見ていると40%もあれば良い方だ。つまり魔力として蓄えられるのはよくて40。全く魔力を使わないのであれば3日で限界の100まで貯まる計算になるが、実際には身体強化や魔法を使うことで魔力が減るから魔力貯蔵量が100になることは無いだろうな』

〈そういうことか。ということは魔力操作というのは――〉

『そうだ。魔力操作が向上すると魔力変換効率も向上する。それだけではない。魔力操作が下手な者は100ある魔力を100放出して使うことも出来ないのだ。魔力を蓄えること、放出すること。どちらとも魔力操作の向上を怠っては魔法を上手く使うことはできん』

〈なるほど。そういう理由があったのか。それなら魔力操作が重要なのは当然の話だね〉

『ここでお主を褒めたことに戻ろう。なぜ火魔法の攻撃は火の球であるファイアーボールが基本となるのか。
 魔力を放出するときの形は球体が一番作りやすいのだ。球体の魔力をそのまま飛ばすこともできるが、そのときの威力を基準にすると、火の球にして使った場合は威力が数倍アップする。魔法には色んなものがあるが、属性魔法は魔力の威力向上に絶大な効果がある。
 魔力の操作が上手なものほど真球に近いものを作れるわけだが、お主のは限りなく真球に近く、魔力の密度が高く、それを作るための魔力の流れが非常にスムーズであった。
 お主の魔力操作が見事であったから褒めたし、そのまま精進せよと言ったのだ』

 はぁ~。自分では少ない魔力を上手く集めるためにきれいな球体を作ることは意識してたけど、そんなにすごいことをしてるつもりはなかったよ。

『お主の魔力操作は生徒たちの中では飛び抜けておる。いや、学園に限らず人族の中でも上位だろうな』

〈そんなに!?〉

『そうだ。お主が簡単にやっておる身体の部分強化でさえできるものが多くない。周りのものは身体全部の強化をしておるだろう? お主はそれを普通にやっておるのだから魔力操作が上達するのも当然だろう』

〈僕は魔力が少ないから、そうせざるを得なかっただけなんだけど〉

『せざるを得ないからといっても、できるかできないかは別の話だ。部分強化をしたくても魔力操作が下手なものにはできん。
 魔力操作の重要性を火魔法で説明しよう。魔力操作ができるものは魔力を球だけではなく色んな形に変えられる。例えば放出した魔力を槍の形に変えて火魔法の攻撃に使えば球よりも遥かに強い威力となる』

〈ファイアーランスの魔法だね!〉

『そうだ。魔法というものは魔力に言葉を乗せるだけで発動することができる。魔力を放出させてファイアーランスを使えば火の槍を飛ばせる。
 重要なことは適当に魔力を放出してファイアーランスを使う場合と、魔力操作により槍の形に変化させてファイアーランスを使う場合では、威力が全く異なるということだ』

〈えっ! そんなの初めて聞いたんだけど〉

『この学園でそこまで教えるのか分からんし、そのことを知っているのかも分からん。しかし魔法を使う上級者にとっては当たり前のことだぞ? 少なくとも我が見る限りお主の父親はそういう魔法の使い方をしておるはずだ。知識として理解しているのか、威力を強化するために無意識で魔力操作をしているのかまでは分からないが』

〈そうなんだ。やっぱり父上はすごいんだね!〉

『人族の中で優秀であることは間違い無いな。さて、レアンデルよ。魔法を使うために魔力操作の向上が重要であることは十分に理解できたな?』

〈うん! ものすごく勉強になったよ! 魔力操作が向上すると、大気中のマナを効率よく魔力に変換して体内に蓄えられる。そしてたくさんの魔力を具体的な形状で放出できるようになるから魔法の効果が高くなるんだね〉

『そうだ。魔法と魔力の基本をきちんと理解したようだな。どの過程においても魔力操作が重要なのだ。魔力の形状変化と魔法の発動にかかる時間を限りなく短くすることが戦闘においては重要となるのだが……
 ――まもなくお主の順番が来そうだな。よし。お主が魔力の操作を出来ていることは分かった。1段階解放することとしよう。次の的当ては今まで以上に丁寧な魔力操作を意識して行え』

〈1段階解放? なんの話?〉

『あとで教えてやろう。ほらお主の順番だぞ。魔力を集中しろ』

 ルシアが変なことを言ってるが、もう僕の順番だ。よし、今まで聞いた話を活かせるように魔力の操作をやってみるか。
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