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第2章 風の大龍穴編
33 風龍様とルシア
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砂嵐を通り抜けた先にあったものは、雄大に天高くそびえる塔だった。古い歴史を感じさせながらも、全く古びた様子を見せないその建造物は風の大龍穴に相応しい只ならぬ雰囲気を纏っていた。
「ようこそいらっしゃいました」
頭上から柔らかな声が聞こえると、目の前にフワリと降りてきた一人の男性。よく見ると頭には角が生えている。
『久しいな、ルフトリーフよ。元気にしておったか?』
「私も主も変わりなく過ごしております。クロノルシア様もお元気そうでなによりです。ところでそちらの方はどなたでしょうか」
『こやつは我の弟子みたいなもので、レアンデルという。一緒に大龍穴巡りをしておるところだ』
「はじめまして。レアンデル=アリウスと申します。よろしくお願いします」
ルシアの素振りからいって、この人は風龍様じゃなさそうだ。主というのが風龍様なんだろうな。しかし、見た目では20歳前ぐらいに見えるこの若い人も只者ではない雰囲気を纏ってるよね。しかもすごくカッコイイ顔立ちだ。
「レアンデル殿か。私はルフトリーフと申す。よろしく頼む。それではクロノルシア様、主のもとへご案内いたします」
フワリと浮かぶルフトリーフさん。えっ? 飛んで行くの?
『レアンデルよ。我の前に来い。抱えて連れて行ってやろう』
うわ~。何か恥ずかしいな……
「空を飛べないのか……やはりお主は龍族ではないのだな。クロノルシア様に抱えていただくのは忍びない。私が連れて行こう」
そう言うと空中に浮かんだルフトリーフさんにヒョイと抱きかかえられる。
「それでは行きますぞ」
ものすごいスピードで上空に昇っていくルフトリーフさんとそれについてくるルシア。抱きかかえられる僕。
ルシアに抱えてもらうより恥ずかしいんですけど!?
あっという間に塔の頂上まで飛んできた。高さにして300mぐらいあったんじゃないかな。
塔は巨大な円柱みたいな形をしていた。上に行くほど少しずつ細くなってる。頂上にある手摺りのようなところから入ることができて、抱きかかえられた僕は大きな扉の前に降ろされた。
「クロノルシア様と弟子のレアンデル殿をお連れしました」
ルフトリーフさんが扉の前で叫ぶと、扉がゆっくりと開いていく。
部屋の奥にある豪華な椅子に座っている男性がいる。浅黒い肌に銀色の髪。そして2mはありそうな身長に、服の上からでも分かる筋肉隆々な見事な肉体。その男性が立ち上がってこちらに駆け寄ってきた。
「久しぶりですな、ルシア殿! 今日はどのような用件で来られたんですかのう。吾輩が真面目にやってるかの偵察でしたらご安心くだされ。そこのリーフと一緒にバッチリやっとりますわい。ガハハハハ!」
『フッ、相変わらず元気そうだなヴァンボロスよ。ルフトリーフのことは心配しておらん。お主は細かいところを気にしないやつだからな。念のため龍脈の流れに問題が無いかを確認させてもらおう』
「これは手厳しい。しかし、ルシア殿に見てもらった方がこちらも安心できますからな。思う存分確認して、問題があったら教えてくだされ。ところで、そちらの人族の少年を紹介してくれませんかのう」
『そうであったな。我の大龍穴巡りの旅に同行させておるレアンデルだ。こやつが己の力を操るための修行も兼ねておる』
「はじめまして風龍様。レアンデル=アリウスと申します。お会いできて光栄です」
『ガハハッ。そんなに畏まらんでもよいぞ。吾輩は風の大龍穴を預かるヴァンボロスだ。この塔に特に面白いところはないがゆっくりしていくがよい』
風龍様は豪快でありながらも、くだけた感じの方のようだな。見た目は筋肉隆々のダンディなおじさんという感じだ。
「リーフよ。ルシア殿は龍脈の確認をされるゆえ、その間、レアンデルを塔の見学にでも案内せよ」
「はっ。かしこまりました」
ルシアは部屋の奥の方に行って床を触ったり、天井を見上げたりしている。おそらく龍脈に流れる自然エネルギーを確認しているんだろうな。
「それではレアンデル殿。塔の中を案内しよう。私のあとをついて参れ」
ルフトリーフさんが階段を下りていく。僕ははぐれないように急いでついていくことにした。
「この塔は風の大龍穴を見守るために作られたものだ。龍脈が重なる大龍穴は頂上の部分であるから、ここから下の階は頂上を支えるための建造物に過ぎない。とはいえ、私たちが暮らす場所であるからな。快適な居住空間を作ることが私の趣味の一つとなっている。このフロアはトレーニングルームだ」
「うわ~! ものすごく広い! トレーニングの道具がたくさん置いてある!」
「ヴァンボロス様はトレーニングが大好きでいらっしゃる。人族が使うトレーニングの道具を一通り揃えているから、なかなか充実したフロアになっているぞ」
こんなトレーニングの道具が揃っている部屋を初めて見たから、何とも比較のしようがないけど、おそらくこんなに充実したトレーニングルームはめったにないってことは分かるな。
「それでは下の階を案内しよう」
ルフトリーフさんについて階段を下りると、そのフロアには扉がついていた。ルフトリーフさんが扉を開けると、そこには脱衣場ととんでもなく大きなお風呂があり、石造りの塔のお風呂に相応しい全面大理石の浴槽は、とても高級感がありながらも落ち着いた雰囲気を醸し出している。
「この大浴場はすごいですね!!」
「私も一番気に入っている場所だ。疲れを癒すのに最高だぞ。龍族は風呂が好きなものが多いからな。ヴァンボロス様もトレーニングのあとの入浴こそが最高だと喜ばれている」
「龍族ってお風呂が好きなんですね! なるほど、だからか。ルシアの特製ログハウスにも桧の浴槽があったもんな。僕はあまり使わなかったけど」
「お主、今なんと言った」
「えっ? お風呂がすごいという話ですけど……」
「いや、そうではない。クロノルシア様のことを何と呼んだのかを聞いている」
「え~っと……ルシアと呼んでます」
「貴様!! クロノルシア様に対して何という呼び方をしているのだ! しかも貴様の師にあたる方なのだろう? いや、もはやそういうことも関係ない。なんと愚かなのだ。あの素晴らしくて尊いお方を、そして主も敬うあのお方を”ルシア”と呼ぶなど断じてあり得ん! 理由を述べよ! 貴様の返答次第ではただでは済まさんぞ!!」
うわ~、めちゃくちゃにキレてるよ。ルフトリーフさんがルシアを敬っていることは痛いほど分かったけど、呼び方でキレられてもな……ルシアからの提案でそう呼び始めただけだし。素直に説明したら納得してくれるのかな。
思いがけないところで揉め事が起きてしまい、ルフトリーフさんへの説明を必死に考えるのであった。
「ようこそいらっしゃいました」
頭上から柔らかな声が聞こえると、目の前にフワリと降りてきた一人の男性。よく見ると頭には角が生えている。
『久しいな、ルフトリーフよ。元気にしておったか?』
「私も主も変わりなく過ごしております。クロノルシア様もお元気そうでなによりです。ところでそちらの方はどなたでしょうか」
『こやつは我の弟子みたいなもので、レアンデルという。一緒に大龍穴巡りをしておるところだ』
「はじめまして。レアンデル=アリウスと申します。よろしくお願いします」
ルシアの素振りからいって、この人は風龍様じゃなさそうだ。主というのが風龍様なんだろうな。しかし、見た目では20歳前ぐらいに見えるこの若い人も只者ではない雰囲気を纏ってるよね。しかもすごくカッコイイ顔立ちだ。
「レアンデル殿か。私はルフトリーフと申す。よろしく頼む。それではクロノルシア様、主のもとへご案内いたします」
フワリと浮かぶルフトリーフさん。えっ? 飛んで行くの?
『レアンデルよ。我の前に来い。抱えて連れて行ってやろう』
うわ~。何か恥ずかしいな……
「空を飛べないのか……やはりお主は龍族ではないのだな。クロノルシア様に抱えていただくのは忍びない。私が連れて行こう」
そう言うと空中に浮かんだルフトリーフさんにヒョイと抱きかかえられる。
「それでは行きますぞ」
ものすごいスピードで上空に昇っていくルフトリーフさんとそれについてくるルシア。抱きかかえられる僕。
ルシアに抱えてもらうより恥ずかしいんですけど!?
あっという間に塔の頂上まで飛んできた。高さにして300mぐらいあったんじゃないかな。
塔は巨大な円柱みたいな形をしていた。上に行くほど少しずつ細くなってる。頂上にある手摺りのようなところから入ることができて、抱きかかえられた僕は大きな扉の前に降ろされた。
「クロノルシア様と弟子のレアンデル殿をお連れしました」
ルフトリーフさんが扉の前で叫ぶと、扉がゆっくりと開いていく。
部屋の奥にある豪華な椅子に座っている男性がいる。浅黒い肌に銀色の髪。そして2mはありそうな身長に、服の上からでも分かる筋肉隆々な見事な肉体。その男性が立ち上がってこちらに駆け寄ってきた。
「久しぶりですな、ルシア殿! 今日はどのような用件で来られたんですかのう。吾輩が真面目にやってるかの偵察でしたらご安心くだされ。そこのリーフと一緒にバッチリやっとりますわい。ガハハハハ!」
『フッ、相変わらず元気そうだなヴァンボロスよ。ルフトリーフのことは心配しておらん。お主は細かいところを気にしないやつだからな。念のため龍脈の流れに問題が無いかを確認させてもらおう』
「これは手厳しい。しかし、ルシア殿に見てもらった方がこちらも安心できますからな。思う存分確認して、問題があったら教えてくだされ。ところで、そちらの人族の少年を紹介してくれませんかのう」
『そうであったな。我の大龍穴巡りの旅に同行させておるレアンデルだ。こやつが己の力を操るための修行も兼ねておる』
「はじめまして風龍様。レアンデル=アリウスと申します。お会いできて光栄です」
『ガハハッ。そんなに畏まらんでもよいぞ。吾輩は風の大龍穴を預かるヴァンボロスだ。この塔に特に面白いところはないがゆっくりしていくがよい』
風龍様は豪快でありながらも、くだけた感じの方のようだな。見た目は筋肉隆々のダンディなおじさんという感じだ。
「リーフよ。ルシア殿は龍脈の確認をされるゆえ、その間、レアンデルを塔の見学にでも案内せよ」
「はっ。かしこまりました」
ルシアは部屋の奥の方に行って床を触ったり、天井を見上げたりしている。おそらく龍脈に流れる自然エネルギーを確認しているんだろうな。
「それではレアンデル殿。塔の中を案内しよう。私のあとをついて参れ」
ルフトリーフさんが階段を下りていく。僕ははぐれないように急いでついていくことにした。
「この塔は風の大龍穴を見守るために作られたものだ。龍脈が重なる大龍穴は頂上の部分であるから、ここから下の階は頂上を支えるための建造物に過ぎない。とはいえ、私たちが暮らす場所であるからな。快適な居住空間を作ることが私の趣味の一つとなっている。このフロアはトレーニングルームだ」
「うわ~! ものすごく広い! トレーニングの道具がたくさん置いてある!」
「ヴァンボロス様はトレーニングが大好きでいらっしゃる。人族が使うトレーニングの道具を一通り揃えているから、なかなか充実したフロアになっているぞ」
こんなトレーニングの道具が揃っている部屋を初めて見たから、何とも比較のしようがないけど、おそらくこんなに充実したトレーニングルームはめったにないってことは分かるな。
「それでは下の階を案内しよう」
ルフトリーフさんについて階段を下りると、そのフロアには扉がついていた。ルフトリーフさんが扉を開けると、そこには脱衣場ととんでもなく大きなお風呂があり、石造りの塔のお風呂に相応しい全面大理石の浴槽は、とても高級感がありながらも落ち着いた雰囲気を醸し出している。
「この大浴場はすごいですね!!」
「私も一番気に入っている場所だ。疲れを癒すのに最高だぞ。龍族は風呂が好きなものが多いからな。ヴァンボロス様もトレーニングのあとの入浴こそが最高だと喜ばれている」
「龍族ってお風呂が好きなんですね! なるほど、だからか。ルシアの特製ログハウスにも桧の浴槽があったもんな。僕はあまり使わなかったけど」
「お主、今なんと言った」
「えっ? お風呂がすごいという話ですけど……」
「いや、そうではない。クロノルシア様のことを何と呼んだのかを聞いている」
「え~っと……ルシアと呼んでます」
「貴様!! クロノルシア様に対して何という呼び方をしているのだ! しかも貴様の師にあたる方なのだろう? いや、もはやそういうことも関係ない。なんと愚かなのだ。あの素晴らしくて尊いお方を、そして主も敬うあのお方を”ルシア”と呼ぶなど断じてあり得ん! 理由を述べよ! 貴様の返答次第ではただでは済まさんぞ!!」
うわ~、めちゃくちゃにキレてるよ。ルフトリーフさんがルシアを敬っていることは痛いほど分かったけど、呼び方でキレられてもな……ルシアからの提案でそう呼び始めただけだし。素直に説明したら納得してくれるのかな。
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