教え上手な龍のおかげでとんでもないことになりました

明日真 亮

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第5章 ネイスエル女王国編

72 王都のハンターギルド

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「ここがネイスエル女王国があるローネレウス大陸か! 空から見ると、本当に島でいっぱいだね!」

 飛行しているルシアの背中から見下ろすと、そこにはローネレウス大陸と大陸を取り囲むような多くの島々が見えてきた。
 ローネレウス大陸は大陸というよりも、とっても大きな島という感じにも見える。島と言うには大きすぎるからやっぱり大陸なんだろうけど。

『今回の大龍穴巡りは、魔道具の有効期間である1週間を目安に計画を立てるぞ。
 大龍穴の確認に1日、お主の水中での修行に2日、グルメに3日という割り振りにする。魔道具が壊れるタイミングが分からないから1日は予備日だな』
「グルメの割合が一番多いんだね……。食事って水中で食べることもあるの?」
『魚じゃあるまいし、そういう食事は想定しておらんぞ』
「それだったら、魔道具が使える間は大龍穴と修行に割り振って、グルメはそれが終わってからでもいいんじゃないの?」
『もちろん、そういう割り振りもできるのだが、我にも考えがあるのだ。まずは王都で泊まるところを確保する。美味い料理が食べられるところがベストだ。それからお主の修行を行う。水中行動に慣れたら大龍穴に向かうとしよう』
「分かった。ルシアに任せるよ」

 僕たちはローネレウス大陸の中央にある王都へと向かった。そして王都付近に近づくと、人の目から目立たない場所に下りて、そのまま町の中に入ることにした。



「うわ~! たくさんの水路があって、太陽の光でキラキラしてるよ! ネイスエル女王国の王都はとてもきれいな町だね!」

 ネイスエル女王国の王都クラルマイヤ。水の都とも呼ばれ、ネイスエル女王国で最も美しい町だ。授業で習うのと自分の目で見るのでは全然違うよ。

『ネイスエル女王国について教えておこう。ネイスエル女王国に住む者は主に魚人族だ。魚人族は獣人族同様に色々な種族がいる。鮫の魚人やイカの魚人など様々だ。そして魚人族は人族よりも魔力が多い傾向にある。特に人魚は魔力の量がとても多い』
「学園の授業でネイスエルの女王様は人魚だって習ったよ」
『そうだ。ネイスエルの女王は代々人魚が受け継いでいる。そして人魚は女性しかいない。だからネイスエルは女王国というわけだ。人魚は長命で数が多くない種族だ。参考までにだが、獣人族の子どもは男親の見た目を受け継ぐが、魚人族は両親のどちらかの見た目を受け継ぐ。しかし人魚から生まれる子どもは必ず人魚となる』

 人魚か。授業では習ったけど、もちろん実際に会ったことはない。ネイスエルにいる間に会う機会があるかな。

「とりあえず泊まるところを探さないといけないけど、どこがいいのか全然分からないから、ハンターギルドに行ってみない? 受付の人におすすめを聞いてみるのはどうかな?」
『それでいいぞ。料理が美味しい宿を聞いてくれ』

 僕たちは近くにいた人にハンターギルドの場所を教えてもらって、町の中心街へと向かった。初めて魚人族の人と話したけど、丁寧にギルドの場所を教えてくれて、すごく親切な人だった。魚の魚人ということは分かったけど、種族までは判別できなかったね。僕には獣人族より見た目で判断するのが難しかったよ。

『ハンターギルドはここのようだな』

 僕たちは町の中心街にあるハンターギルドに到着した。

「帝国のギルドと比べると随分小さな建物に感じるね。帝国の建物はウェスタール王国と比べても異常な豪華さだったけど」
『獣人族はハンターを目指すものが多く、魚人族は少ないのではないか? 想像でしかないが』
「とりあえず入ってみよう」

 石造りの2階建ての建物にはハンターギルド王都支部の看板が掲げられている。扉を開けて入ってみると、誰もいない……。とりあえず、人を呼ばないとどうしようもないな。

「ハンターのレンと申しますが、どなたかいらっしゃいませんか?」

「は~い! お待ちくださ~い!」

 奥の方から声が聞こえると、バタバタとこちらに魚人の女性が走ってきた。

「お待たせしました。ハンターギルド王都支部、受付のジェマです。すみません、今日は受付が1人休んでしまっていてご迷惑をおかけしました。何かクエストをお探しですか?」

 そうか。1人お休みだから忙しいんだろうな。でも受付不在はまずいと思いますよ。

「いえ、今日はクエストを受注しにきたのではなくて、ネイスエルに初めて来ましたので、拠点となる宿を確保したいのです。どこかおすすめの場所はないでしょうか。できれば食事が美味しいところがいいのですが」

 きちんとルシアの要望は伝えておいたよ。

「そうでしたか。ネイスエルは観光産業が盛んですが、特に王都のクラルマイヤは観光地として人気がありますので、人族の方も多くいらっしゃいます。観光目的の人族の方に人気のホテルなどはいかがでしょうか」
『美味しいものを提供しているところであればどこでも構わん。強いて言えば、美味しい海産物が食べられるところがよい』
「なるほど。それでは海鮮料理が自慢の旅館があります。設備などは少し古いですが、新鮮な魚介類がとても美味しいので評判ですよ」
『そこがよい。場所を教えてくれ』

 はい、ルシアなら即決だよね。

 僕たちは受付のジェマさんに教えてもらった旅館にダッシュで向かい、部屋の状況を確認すると2部屋空いていたのですぐに押さえてもらった。
 そこで昼食を食べたんだけど、刺身がこれでもかと乗せられた海鮮丼が絶品だった。海に囲まれたローネレウス大陸と周囲の島々で取れる海の幸は最高だね!

 お昼ご飯のあとは、海での修行。水棲魔物との戦闘か。どういう感じなのか不安もあるけど、少し楽しみだな。
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