教え上手な龍のおかげでとんでもないことになりました

明日真 亮

文字の大きさ
109 / 131
第6章 怨恨渦巻く陰謀編

107 アクアたちのお見送り

しおりを挟む
「はあ~。もう何か疲れたよ。リラックスするつもりのお風呂で、とんだ試練が待ち構えてた……」

 僕とルシアはお風呂から出て、休憩スペースで休んでいた。

『アクアたちもお主に気を遣って水着とやらを纏っていたではないか。裸が恥ずかしいと言っていたのだから、何も問題は無かっただろう?』
「それはそうなんだけど、そもそも女性とお風呂に入るっていうのが普通じゃないんだよ。小さい頃は母上やリル、それにフランともお風呂に入ってたけど、今の年齢で入るのはちょっとね……」
『人族の思考はややこしいな。風呂は裸でいいだろうに。まあ、種族で考え方が違うのは当然だがな。
 ところで明日からの予定だが、明日の朝、王宮に向かって10時にはテルスゲア大陸に向かうぞ。昼食はユレアードの町で食べたいからな』

 食事が基準の出発っていうのがルシアらしいよね。

『明日からはクリスタの解呪も進めていく』
「そういえば解呪の方法って、解呪の魔法じゃなくて、時空間魔法で元に戻すつもりなの?」
『そうだ。以前も説明したように解呪の魔法では呪い自体は解けても、3か月の時間をかけて阻害した魔力を一瞬で元に戻すことはできない。だから時空間魔法で”呪いがかけられる前の状態”まで戻す。それが確実だ』
「やっぱりそうだったんだね。でも一人の人間を3か月前の状態に戻すのってものすごく大変じゃないの?」
『可能かどうかだけで言うと、我の魔力量ならば一気に3か月前に戻すこともできるのだ。しかし、それはクリスタの身体や精神の状態を考えれば望ましくない。
 今回は呪いと魔力阻害の部分だけに範囲を絞って時間を戻す。様子を見ながら少しずつ戻していくのが最善だ。
 障壁魔法の使い方はレンが主体となって指導してやれ』

 本当、ルシアって細かいところまで考えたうえで、物事を進めてるよね。見習わないといけないな。

「分かったよ。障壁魔法は僕が教えるよ。それじゃ明日に備えて部屋で休むね」

 僕は神殿に用意してくれたゲストルームに戻って休むことにした。部屋もゆっくりと休めるようにお香が焚いてあったり、花が飾られたりしている。みんな色んな準備をしてくれて本当にありがたいな。

 僕はアクアたちの心遣いに感謝しながら、深い眠りについた。



「ルシア様! お名残り惜しいですが、大龍穴の確認が無事に終わることを祈っております。料理も修行を積んでおきますので、いつでもお越しください。お待ちしております」

 みんなで朝食を食べたあと、アクアがルシアの両手を握って、目に涙を浮かべて見送ってくれている。

『アクアよ。大変世話になったな。料理にも心遣いにも感謝しておる。落ち着いたらまた寄らせてもらう。
 眷属の者たちも世話になった。これからもアクアのことを頼んだぞ』
「「ありがとうございます、ルシア様!!」」

 横から見ていてすごくいいシーンだ。眷属のみんなもルシアにお礼を言われて感無量という感じだな。僕もみんなにお礼を言わなくちゃ。

「本当にお世話になりました。アクア、水の加護をありがとう。眷属のみんなも修行に付き合ってくれてありがとう。これからも強くなれるように頑張るよ!」

 水の大龍穴に来れて本当によかったな。たくさんのことを学べたよ。本当、みんなに感謝だ。

「レン。ルシア様に指導していただけるなんて、本当に光栄なことなんだからね。しっかりと修行しなさいよ」
「分かってるよ。しっかりと修行もするし、アクアたちから教えてもらったことも忘れないよ」
「それならいいわよ。それとあなたもここに来たかったらいつでも来ていいんだからね……。か、勘違いしないでよ! ウェンディたちがあなたのことを気に入ってるから言ってあげてるのよ! たまには顔を出さないとウェンディたちが寂しがるでしょうが。分かったの!?」
「そ、そうだね。分かったよ。ありがとう。また遊びに来るよ」
「分かればいいのよ! それじゃ元気でね」

「「レン様も頑張ってくださ~い!!」」

『それでは行くぞ、レンよ』
「うん!」

 アクアと眷属のみんなが見送ってくれたことがとても嬉しくて、心が温かくなった。よし! もっと頑張るぞ!!



「……って、もう王宮じゃん」
『わざわざ泳いでくる必要はなかろう。転移したぞ』

 確かにね。それはそうなんだけど、見送ってくれてたから泳いで行くのかと思ってたよ。

 転移してきた場所は以前も来た宰相様の私室。この部屋って謁見の間やクリスタの部屋とほどよい距離にあるから、使い勝手がいいよね。宰相様にしたら迷惑だろうけど。

『あちらにクリスタの反応があるぞ。向かうとしよう』
「ああ、確かに。……って勝手に転移してきて王宮をうろついていたら不審者だよ!」
『気にする必要はあるまい。女王はすでに気付いておるはずだ。クリスタのところに着くころにはベルスたちも来るだろう』

 そうだと思うけどさ。礼儀として気を遣うじゃない。人族としてはさ。

 僕たちは宰相様の私室を出て、クリスタの部屋へと向かった。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?

碧井 汐桜香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。 まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。 様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。 第二王子?いりませんわ。 第一王子?もっといりませんわ。 第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は? 彼女の存在意義とは? 別サイト様にも掲載しております

【完結】姉に婚約者を奪われ、役立たずと言われ家からも追放されたので、隣国で幸せに生きます

よどら文鳥
恋愛
「リリーナ、俺はお前の姉と結婚することにした。だからお前との婚約は取り消しにさせろ」  婚約者だったザグローム様は婚約破棄が当然のように言ってきました。 「ようやくお前でも家のために役立つ日がきたかと思ったが、所詮は役立たずだったか……」 「リリーナは伯爵家にとって必要ない子なの」  両親からもゴミのように扱われています。そして役に立たないと、家から追放されることが決まりました。  お姉様からは用が済んだからと捨てられます。 「あなたの手柄は全部私が貰ってきたから、今回の婚約も私のもの。当然の流れよね。だから謝罪するつもりはないわよ」 「平民になっても公爵婦人になる私からは何の援助もしないけど、立派に生きて頂戴ね」  ですが、これでようやく理不尽な家からも解放されて自由になれました。  唯一の味方になってくれた執事の助言と支援によって、隣国の公爵家へ向かうことになりました。  ここから私の人生が大きく変わっていきます。

婚約破棄? めんどくさいのでちょうどよかった ――聖女もやめて、温泉でごくらくしてます

ふわふわ
恋愛
婚約破棄を告げられた聖女リヴォルタ・レーレ。 理由は、「彼女より優秀な“真の聖女”が見つかったから」。 ……正直、めんどくさい。 政略、責任、義務、期待。 それらすべてから解放された彼女は、 聖女を辞めて、ただ温泉地でのんびり暮らすことを選ぶ。 毎日、湯に浸かって、ご飯を食べて、散歩して。 何もしない、何も背負わない、静かな日常。 ところが―― 彼女が去った王都では、なぜか事故や災害が相次ぎ、 一方で、彼女の滞在する温泉地とその周辺だけが 異様なほど平和になっていく。 祈らない。 詠唱しない。 癒やさない。 それでも世界が守られてしまうのは、なぜなのか。 「何もしない」ことを選んだ元聖女と、 彼女に“何もさせない”ことを選び始めた世界。 これは、 誰かを働かせなくても平和が成り立ってしまった、 いちばん静かで、いちばん皮肉な“ざまぁ”の物語。

「魔法を使わない魔術師を切り捨てた国は、取り返しのつかない後悔をする

藤原遊
ファンタジー
魔法を使わない魔術師は、役に立たない。 そう判断した王国は、彼女を「不要」と切り捨てた。 派手な魔法も、奇跡も起こさない。 彼女がしていたのは、魔力の流れを整え、結界を維持し、 魔法事故が起きないよう“何も起こらない状態”を保つことだけだった。 代わりはいくらでもいる。 そう思われていた仕事は、彼女がいなくなった途端に破綻する。 魔法は暴走し、結界は歪み、 国は自分たちが何に守られていたのかを知る。 これは、 魔法を使わなかった魔術師が、 最後まで何もせずに証明した話。 ※主人公は一切振り返りません。

【完結】クビだと言われ、実家に帰らないといけないの?と思っていたけれどどうにかなりそうです。

まりぃべる
ファンタジー
「お前はクビだ!今すぐ出て行け!!」 そう、第二王子に言われました。 そんな…せっかく王宮の侍女の仕事にありつけたのに…! でも王宮の庭園で、出会った人に連れてこられた先で、どうにかなりそうです!? ☆★☆★ 全33話です。出来上がってますので、随時更新していきます。 読んでいただけると嬉しいです。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

《完》わたしの刺繍が必要?無能は要らないって追い出したのは貴方達でしょう?

桐生桜月姫
恋愛
『無能はいらない』 魔力を持っていないという理由で婚約破棄されて従姉妹に婚約者を取られたアイーシャは、実は特別な力を持っていた!? 大好きな刺繍でわたしを愛してくれる国と国民を守ります。 無能はいらないのでしょう?わたしを捨てた貴方達を救う義理はわたしにはございません!! ******************* 毎朝7時更新です。

処理中です...