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第6章 怨恨渦巻く陰謀編
108 ネイスエル女王国を旅立つ
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「ルシア様、お待ちしておりましたぞ」
クリスタの部屋の前には女王様と宰相様が待ち構えていた。今日、来るとは言ってあったけど、時間の指定もしてなかったのにこんな身軽な対応をできる二人を尊敬するよ。
「ルシア様、レン殿。クリスタのこと、よろしく頼むのじゃ」
『うむ。しばらくの間、預からせてもらうが、呪いのことも魔法の指導も万事任せておけ』
クリスタのことをお願いする女王様。今日は母親としての気持ちが伝わってくる気がするよ。
「クリスタ、準備はできてるかえ?」
「はい。いつでも大丈夫です」
クリスタの部屋の扉が開くと、少し大きな鞄を持ったクリスタが出てきた。今までの王女様が着るような服装とは全く違って、ゆとりのあるシャツにショートパンツ。髪もまとめられていてすごく動きやすそうだ。
王女様っぽい服装も似合ってたけど、こういう服も似合うんだな。武芸を修めていると聞いてるだけあって、身体能力も高そうだ。
『それでは出発とするか』
「ルシア、ちょっと待ってよ。クリスタが持って行くものってそれだけなの?」
「はい。そうですが、何か問題があったでしょうか?」
「1か月は旅をするんだよ? 食料を持って行く必要はないけど、着替えだけでも足りないんじゃないの? 女の子なんだし」
「ですが、あまり持って行っても邪魔ですし、最低限のもので着回しますから大丈夫です」
「説明が足りてなかったのは申し訳ないけど、着替えなんてどれだけ持って行っても大丈夫なんだよ。クリスタが持って行きたいだけ持って行って大丈夫」
「どれだけでも……大丈夫……」
「クリスタの部屋に持って行きたい服ってない? 入っちゃまずいだろうから、好きなだけ持ってきて欲しいんだけど」
「いえ、入ってもらって問題ないですけど」
「それじゃ、一緒に入るから選んでくれる?」
「はい、分かりました」
クリスタの部屋に入ると、そこは王女様の部屋に相応しい大きなベッドがあり、奥の方にはクローゼットルームがある。
「収納するから持って行きたい服を出してくれる?」
「えっと、例えばここのチェストによく着る服を入れてるのですが……」
「じゃあ、それごと持って行くけどいい?」
「えっ! は、はい。それはもちろんいいですけど……」
僕は収納空間にチェストごと移動した。
「チェストごと消えたのじゃ! 収納魔法かえ? それにしてもあの量を一瞬で……」
女王様と宰相様が驚いてる。クリスタも呆気に取られているね。
「女王様、宰相様、僕が使う魔法のことは公にしないようにお願いします。クリスタ、他に持って行きたいものはない? どれだけでも何でも大丈夫だよ」
「それなら、あれとこれと……」
それから20分ほどクリスタと一緒に旅の準備を整えた。といっても持って行きたいものを片っ端から収納空間に送っただけなんだけど。
「はぁ~。レン殿も本当に規格外なのじゃな。あらためて実感したのじゃ」
「いや~、誠に驚きました。荷物はどれだけでも大丈夫というのがそのままの意味とは思いもしませんでした」
僕が荷物を収納空間に送っている間、ポカーンとしていた女王様と宰相様が口を開いた。
『それでは、旅の準備もできたようだし出発するぞ』
「そうだね。今回も空から行くの?」
『うむ。転移じゃ旅らしさが無いからな。我が二人を運ぶとしよう』
ルシアのこだわりを尊重して、5人で王宮の屋上に移動した。
『それでは龍形態になるゆえ、我から少し離れよ』
王宮の屋上には広いスペースがあり、これならギリギリだけどルシアが龍形態になれそうだ。
「これがルシア様の本当の姿かえ!? 凄まじい威圧感じゃ」
『フハハハ! 女王よ。これは我の龍形態であり、さっきまでの姿は人形態。どちらも本当の姿に違いないぞ』
久しぶりにルシアの龍形態を見た気がするけど、いきなりこの姿を見たら、それは驚くよね。
『レン、クリスタよ。我の背中に捕まれ』
「うん。クリスタから先にどうぞ。捕まりやすいところを握ったらいいよ」
「わ、分かりました。緊張しますね」
クリスタがルシアの背中を上っていく。僕もそのあとをついてルシアにつかまる。
「ルシア様、クリスタ王女をよろしくお願いします。レン殿、やはりあなたも只者では無かったですな。またいつでもネイスエルにお越しください」
「宰相様、また天ぷらを食べに来ますね!」
「喜んでご案内いたします」
宰相様が僕たちに向かって手を上げる。本当、男として魅力のある方だよな。
「ルシア様、レン殿、娘をよろしくお願いしますのじゃ!」
女王様が僕たちの方に手を振っている。
『女王よ。ネイスエルでの時間は誠に楽しかったぞ。クリスタのことは我とレンが責任を持って預かるゆえ、安心して待っていてくれ』
「女王様、僕もネイスエルの思い出は忘れません。また来たいと思います!」
「いつでも大歓迎なのじゃ! 旅の無事を祈ってるのじゃ!!」
僕たちは女王様と宰相様に見送られながら、王宮の屋上を飛び立った。次の目的地は土の大龍穴だ。
クリスタの部屋の前には女王様と宰相様が待ち構えていた。今日、来るとは言ってあったけど、時間の指定もしてなかったのにこんな身軽な対応をできる二人を尊敬するよ。
「ルシア様、レン殿。クリスタのこと、よろしく頼むのじゃ」
『うむ。しばらくの間、預からせてもらうが、呪いのことも魔法の指導も万事任せておけ』
クリスタのことをお願いする女王様。今日は母親としての気持ちが伝わってくる気がするよ。
「クリスタ、準備はできてるかえ?」
「はい。いつでも大丈夫です」
クリスタの部屋の扉が開くと、少し大きな鞄を持ったクリスタが出てきた。今までの王女様が着るような服装とは全く違って、ゆとりのあるシャツにショートパンツ。髪もまとめられていてすごく動きやすそうだ。
王女様っぽい服装も似合ってたけど、こういう服も似合うんだな。武芸を修めていると聞いてるだけあって、身体能力も高そうだ。
『それでは出発とするか』
「ルシア、ちょっと待ってよ。クリスタが持って行くものってそれだけなの?」
「はい。そうですが、何か問題があったでしょうか?」
「1か月は旅をするんだよ? 食料を持って行く必要はないけど、着替えだけでも足りないんじゃないの? 女の子なんだし」
「ですが、あまり持って行っても邪魔ですし、最低限のもので着回しますから大丈夫です」
「説明が足りてなかったのは申し訳ないけど、着替えなんてどれだけ持って行っても大丈夫なんだよ。クリスタが持って行きたいだけ持って行って大丈夫」
「どれだけでも……大丈夫……」
「クリスタの部屋に持って行きたい服ってない? 入っちゃまずいだろうから、好きなだけ持ってきて欲しいんだけど」
「いえ、入ってもらって問題ないですけど」
「それじゃ、一緒に入るから選んでくれる?」
「はい、分かりました」
クリスタの部屋に入ると、そこは王女様の部屋に相応しい大きなベッドがあり、奥の方にはクローゼットルームがある。
「収納するから持って行きたい服を出してくれる?」
「えっと、例えばここのチェストによく着る服を入れてるのですが……」
「じゃあ、それごと持って行くけどいい?」
「えっ! は、はい。それはもちろんいいですけど……」
僕は収納空間にチェストごと移動した。
「チェストごと消えたのじゃ! 収納魔法かえ? それにしてもあの量を一瞬で……」
女王様と宰相様が驚いてる。クリスタも呆気に取られているね。
「女王様、宰相様、僕が使う魔法のことは公にしないようにお願いします。クリスタ、他に持って行きたいものはない? どれだけでも何でも大丈夫だよ」
「それなら、あれとこれと……」
それから20分ほどクリスタと一緒に旅の準備を整えた。といっても持って行きたいものを片っ端から収納空間に送っただけなんだけど。
「はぁ~。レン殿も本当に規格外なのじゃな。あらためて実感したのじゃ」
「いや~、誠に驚きました。荷物はどれだけでも大丈夫というのがそのままの意味とは思いもしませんでした」
僕が荷物を収納空間に送っている間、ポカーンとしていた女王様と宰相様が口を開いた。
『それでは、旅の準備もできたようだし出発するぞ』
「そうだね。今回も空から行くの?」
『うむ。転移じゃ旅らしさが無いからな。我が二人を運ぶとしよう』
ルシアのこだわりを尊重して、5人で王宮の屋上に移動した。
『それでは龍形態になるゆえ、我から少し離れよ』
王宮の屋上には広いスペースがあり、これならギリギリだけどルシアが龍形態になれそうだ。
「これがルシア様の本当の姿かえ!? 凄まじい威圧感じゃ」
『フハハハ! 女王よ。これは我の龍形態であり、さっきまでの姿は人形態。どちらも本当の姿に違いないぞ』
久しぶりにルシアの龍形態を見た気がするけど、いきなりこの姿を見たら、それは驚くよね。
『レン、クリスタよ。我の背中に捕まれ』
「うん。クリスタから先にどうぞ。捕まりやすいところを握ったらいいよ」
「わ、分かりました。緊張しますね」
クリスタがルシアの背中を上っていく。僕もそのあとをついてルシアにつかまる。
「ルシア様、クリスタ王女をよろしくお願いします。レン殿、やはりあなたも只者では無かったですな。またいつでもネイスエルにお越しください」
「宰相様、また天ぷらを食べに来ますね!」
「喜んでご案内いたします」
宰相様が僕たちに向かって手を上げる。本当、男として魅力のある方だよな。
「ルシア様、レン殿、娘をよろしくお願いしますのじゃ!」
女王様が僕たちの方に手を振っている。
『女王よ。ネイスエルでの時間は誠に楽しかったぞ。クリスタのことは我とレンが責任を持って預かるゆえ、安心して待っていてくれ』
「女王様、僕もネイスエルの思い出は忘れません。また来たいと思います!」
「いつでも大歓迎なのじゃ! 旅の無事を祈ってるのじゃ!!」
僕たちは女王様と宰相様に見送られながら、王宮の屋上を飛び立った。次の目的地は土の大龍穴だ。
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