999本のバラを君に

恋桜苺

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その2 ~野バラ~

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その2 ~野バラ~

 学校にはギリギリ間に合った。というかギリギリつくことができた。というのもあいつは運動部らしく体力はとてもあり、加速が凄く人間業では無いだろうという速度で走るあいつは、少し鍛えていた程度の俺には姿をギリギリ捉えながら走るのが大変なくらいだった。いや、むしろ何度も見失って迷いかけた。そして最初置いていかれたと思っていたがその後しっかり戻ってきてくれてなんとかなったのだ。あのまま置いていかれたら今ここにはいなかった。というかあいつがいなくなった後進もうとした方向はどうやら逆方向だったらしくとても驚いた。
 そんな俺でも学校まで来れたのは時々後ろを振り向き俺の事を見ては、大丈夫か、あともう少しだ、頑張れなどの掛け声もくれたからだ。それに俺のペースに合わせてくれた。まあ元はといえば止まって話をしていた俺達が悪いんだけどな。あいつはきっと全力で走ったらとっても速いんだろうな。それも俺が追いつけないくらいには。まあ当たり前か。去年はほとんど家から出ていなかったもんな。体力なんてものはミノムシ程度になっている気しかしない。
「つ…疲れた。」
 校長室に行って挨拶をした後クラスへ行った。校長先生は想像通り禿げていた。どの学校もそんなジンクスみたいたものが無いだろうか?それが俺の前の学校だったら「校長先生は大体どこかが禿げている」だった。クラスへ行って中を見るとなんという偶然か、あいつがいた。まるで漫画のようだなと苦笑しつつも知った顔がある事に安心した。向こうは最初全く俺に気付かなく。10分ほど俺はクラスメイトと雑談や挨拶をしている事が出来た。
「紫苑ってなんか可愛い名前だよな。」
「そうか?そこまで可愛くはないと思うが。」
「まあ見た目が可愛いとはかけ離れているしな。」
「それは知ってる。というか男に可愛いと思われても何も嬉しくねえ。」
「それもそうだな。でもあそこに男子でも可愛いと思えるやつが1人いるけどな。」
 そう言って指を指した先にはあいつがいた。クラスで見たあいつはとても人気者で慕われているようだった。別次元にいる人。俺とは別の世界の住人、そう思わせるようなキラキラしたオーラがあって正直眩しかった。それにまるで磁石でもあるのか周りに沢山人がいるのだ。磁石…いや、マタタビ?などとそんな事を考えていると向こうも気付いたのかはっとして、犬だったら尻尾をブンブン振っているんだろうな、と思えるような顔で突進してきた。そうまるで小型犬の戯れ付く時と同じような感覚で、
「しーおーんーー!!」
「ぐえっ!」
 流石に重さは小型犬の何倍もあるのでわー可愛いなとはならない。むしろ突進された腹が痛い。
「まさか同じクラスになっているとはな!本当に奇跡みたいだよな!いや、奇跡だな!これから2年間宜しくな!!」
「分かった、分かったからとりあえず離れろ!」
「片栗くん、紫苑くんと知り合いだったの?」
 俺はその隙になんとか剥がせないかと片栗と格闘する。しかし話に答えつつも全く力が緩む気配がなかった。こんな見た目しておいてこいつ握力と腕力がとても強い。まさに萌えないギャップ。
「まあそんな感じー。今日朝に知り合ったんだよな。そうそう聞いてくれよー。紫苑ってば道をなー…」
 とのように、どんな人にも同じテンションでわいわい話している。1人になっている子にも話を振ったりしてみんなで楽しめるようにしている。おかげでクラスの中に1人になっている人がいないというとても珍しい光景を見れた。そして新しく来た俺に当然だとでも言うように話を振ってくる。
 あれが天性の才能ってやつなのかなと思うくらいだ。瞬時に1人でいたり話に混ざってこれない人を見つけ出して話をふる。そしてその子と気が合いそうな人と話させてみるなどのこともしているこれを天性の才能と言わなくて一体何になるんだろうか。
 あいつがもし前の学校にいたら、いや、そんな事は今考えることじゃないな。せっかく新しい学校に来たんだから心機一転楽しまなくては!
 ーーパンパン!
 いつの間にか入ってきていた男性が手を叩いて言った。
「おい、そろそろ席につけー!!HRとか始めるぞー!」
 バラバラとまるで机にビー玉を置いた時のようにクラスメイトがそれぞれの席へと散ってった。えーと俺の席は、あ、すぐそばだった。良かった窓際でとても暖かく丁度いい。
「はい、それじゃあ挨拶。起立、礼、着席。えーとそれじゃあHR始めるぞ。」
 どうやら担任だったようだ。マンガなどによく登場していそうな中年の小太りした男性で、お腹周りのシャツのボタンがとても飛ばないか心配になった。いや実際1つ飛んでいるな。真ん中に1つ開いている部分があった。
「オレがこのクラスの担任となった新井だ、担当教科は地理だ。そしてさっそくだが新年度1度目のテスト始めるぞ。準備しろー。」
 いきなりそんなことを言われるととは全く思ってもおらず、最初は自己紹介じゃないのかと疑問に思った。そしてテストか。テスト…ん?テスト?筆箱持ってきたっけ?と不安に駆られカバンの中をガサゴソ探してみるが無い。ほかの所を探してみてもない。やばい無い。とても慌てていると、
「紫苑筆箱忘れたのかよー。しょーがない。貸してやるよ。」
「あ、ありがとう。えっと…。」
 お礼を言おうと後ろを向くとそこにはあいつが笑顔で座っていた。
「いやーまさか席まで近いとは。もうこれは運命だな。ほい、シャーペンと、消しゴム。」
 嬉しいような嬉しくないような運命だな。そうそう、こいつは優しくもあったな。テスト後に知った事だったが、接点も全くなかったやつにも筆記用具を貸していたらしい。その結果自分の筆記用具が無くなって担任に借りていた。そして先生に借りていた鉛筆をあいつはテスト前に使うほうでは無い方を削っていたが一体こいつは何をするつもりだったのだろう。いや、テスト中に後ろでコロコロ…カラカラ…ととても鉛筆を転がしている音がした。まさかだけど鉛筆の運任せなんてことはないよな。…無いよな!?流石に高校生にもなってそんな人がいたら衝撃的すぎるぞ!?
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