999本のバラを君に

恋桜苺

文字の大きさ
3 / 17

その3 ~多輪咲のバラ~

しおりを挟む
その3 ~多輪咲のバラ~

 結論から言おう。テストは全然余裕だった。元の学校がそれなりに偏差値の高い学校だったため難無く問題を解いていくことが出来た。それに進級おめでとうという意図が込められているらしくそこまで難しい問題もなかった。
 どうやら後ろの奴も簡単だったようでテスト後に、
「片栗くんー。テストどうだった?私はダメダメー。」
「ふっふっふ、聞いて驚くなよ!余裕だとも!この僕にかかればこの程度の問題。大人の手をひねるようなものだよ!あ、紫苑はどうだった?」
 まったり空を見ていて、あ、あの雲昨日食べたオムライスの形に似てるななどと思っていると、友達とまだ返ってきていないテストの話で盛り上がっていたあいつが話しかけてきた。相変わらず人を会話に混ぜるのが上手いな。とりあえず答えておこう。そして間違いを指摘しておきたい。
「余裕だったよ。あと、お前。大人の手をひねるようなものだよって言ったがあれ、間違ってるぞ。本来は赤子の手をひねるだから。そんなんでテスト本当に大丈夫なのか?」
「げっ…。まあ今のはちょっとした間違いって事で。ほら、人は誰しも間違えるんだよ。紫苑ももし点数低かったら僕が教えたげるからねー。」
「おーおー。それは楽しみにしとくわ。」

ーー次の日
「はい、昨日のテスト返すぞ。名簿番号一番から取りに来い。一番…」 
 この学校テストの採点早いなと感動しつつテストを見ると思った通りほぼ満点に近いものが多かった。
「うーん。やっぱりこの部分凡ミスするな。そろそろなんとかしないとな。」
 などとテストの結果を見ながらここはやっぱりこの公式で、いやでもこっちでもなどとと悩んでいると、前で叫び声を上げているあいつがいた。
「おー、どうだった?」
「あー…うん…あははははは」
 きっと昨日は運が悪かったんだなーと後ろでズーンとした雰囲気で座っていた。運?テストに運は関係ないだろ。いや、ちょっと待て、よく考えると昨日テスト中に無駄にコロコロという音がよく聞こえてきたな。まさか、鉛筆で…。
 頑なにテスト用紙を見せまいとしている片栗の事をクラスメイトととある男子が押さえもう1人がテスト用紙を取る。
「あ!お前らそれはダメだって!!ちょっ、返せよな!!」
 ぴょんぴょん飛びながら必死に返してもらおうと頑張っているが全く届いていない。
「見たら返すから大丈夫だぞー。さてさて片栗くんの点数ご発表ー。どれどれ…。あーうん、どんまい。」
 最初は楽しそうにテストを見ていた奴の顔が段々暗くなっていき最終的に慰めた。その様子からなんとなく察しがついた。
「点数。低かったんだな。」
「そうだよ!畜生!!あー昨日あんな大見得切った自分が恥ずかしい!!穴があったら入りたい!!」
 と目を潤ませつつ顔を真っ赤にするものでまるで女子かと思ってしまった。
「でも赤点は流石にいってないだろ?」
「…点数見れば分かる。」
 ぶすっという効果音が付くような顔をしながらテスト用紙を渡された。
「どれどれ?…。」
 まさに絶句とはこの事を言うのではないかと思った。
「…低いだろー!笑いたきゃ笑えよ!!昨日は運が悪かったんだ!俺が運がいい時は凄いんだからな!!」
 わああん!!と言いながら足をバタバタさせてる様子を見ながら。こいつよく進級出来たな。いや、そもそもよく入学できたなと思った。
「今度、勉強教えてやるよ。」
 俺はプライドが許さない!と言うと思っていたが返ってきた反応は違った。
「よろしく頼む。」
 こいつにはプライドはあるのだろうか。それを知りたくなった日だった。
 いやきっとプライドはあるんだろう。次の日に頬に涙のあとがあった。それがテストの点が低く泣いたのかは俺には分からなかったが。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

昔「結婚しよう」と言ってくれた幼馴染は今日、僕以外の人と結婚する

子犬一 はぁて
BL
幼馴染の君は、7歳のとき 「大人になったら結婚してね」と僕に言って笑った。 そして──今日、君は僕じゃない別の人と結婚する。 背の低い、寝る時は親指しゃぶりが癖だった君は、いつの間にか皆に好かれて、彼女もできた。 結婚式で花束を渡す時に胸が痛いんだ。 「こいつ、幼馴染なんだ。センスいいだろ?」 誇らしげに笑う君と、その隣で微笑む綺麗な奥さん。 叶わない恋だってわかってる。 それでも、氷砂糖みたいに君との甘い思い出を、僕だけの宝箱にしまって生きていく。 君の幸せを願うことだけが、僕にできる最後の恋だから。

美澄の顔には抗えない。

米奏よぞら
BL
スパダリ美形攻め×流され面食い受け 高校時代に一目惚れした相手と勢いで付き合ったはいいものの、徐々に相手の熱が冷めていっていることに限界を感じた主人公のお話です。 ※なろう、カクヨムでも掲載中です。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

君に望むは僕の弔辞

爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。 全9話 匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意 表紙はあいえだ様!! 小説家になろうにも投稿

『定時後の偶然が多すぎる』

こさ
BL
定時後に残業をするたび、 なぜか必ず同じ上司が、同じフロアに残っている。 仕事ができて、無口で、社内でも一目置かれている存在。 必要以上に踏み込まず、距離を保つ人―― それが、彼の上司だった。 ただの偶然。 そう思っていたはずなのに、 声をかけられる回数が増え、 視線が重なる時間が長くなっていく。 「無理はするな」 それだけの言葉に、胸がざわつく理由を、 彼自身はまだ知らない。 これは、 気づかないふりをする上司と、 勘違いだと思い込もうとする部下が、 少しずつ“偶然”を積み重ねていく話。 静かで、逃げ場のない溺愛が、 定時後から始まる。

2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~

青ムギ
BL
「俺は、生涯お前しか愛さない。」 その言葉を言われたのが社会人2年目の春。 あの時は、確かに俺達には愛が存在していた。 だが、今はー 「仕事が忙しいから先に寝ててくれ。」 「今忙しいんだ。お前に構ってられない。」 冷たく突き放すような言葉ばかりを言って家を空ける日が多くなる。 貴方の視界に、俺は映らないー。 2人の記念日もずっと1人で祝っている。 あの人を想う一方通行の「愛」は苦しく、俺の心を蝕んでいく。 そんなある日、体の不調で病院を受診した際医者から余命宣告を受ける。 あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。 ーもういっそ秘密にしたまま、過ごそうかな。ー ※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。 表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。

黄色い水仙を君に贈る

えんがわ
BL
────────── 「ねぇ、別れよっか……俺たち……。」 「ああ、そうだな」 「っ……ばいばい……」 俺は……ただっ…… 「うわああああああああ!」 君に愛して欲しかっただけなのに……

王様の恋

うりぼう
BL
「惚れ薬は手に入るか?」 突然王に言われた一言。 王は惚れ薬を使ってでも手に入れたい人間がいるらしい。 ずっと王を見つめてきた幼馴染の側近と王の話。 ※エセ王国 ※エセファンタジー ※惚れ薬 ※異世界トリップ表現が少しあります

処理中です...