999本のバラを君に

恋桜苺

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その8 ~一重のバラ~

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その8 ~一重のバラ~

 体育祭も無事に終わり次の行事は文化祭だと、みんなで盛り上がっていた頃何人かはグロッキー状態だった。1週間前テストがあり、昨日全ての教科が返却されたのだ。中には赤点を取ったらしく追試に追われる人がいた。もちろん後ろの席で死んでいるあいつも。
「なんでテストなんかあるんだー!」
「それぞれの学力を知るためだろ。」
「知ってるよ!もー紫苑のバカ!」
「バカじゃねえよ、今回のテスト学年1位に言うことがそれか!?」
 そう今回はちょうど得意な部分ばかりで1位だったのだ。それに体育祭があったからといって勉強に手は抜いていない。
「ごめんなさい!勉強教えて下さい!」
「じゃあ今日から放課後勉強な。」
「まじで!?教えてくれんだ!ありがとう!!」
 花が咲いたかのような笑顔でこっちを見てくる。というか今日の放課後からで大丈夫なのかよ。そしてその笑顔やめろ、眩しい。…物理で、
「おい後ろで鏡反射させて光を送ってくんな眩しい。」
「えへへー。つい!」
 あの体育祭以来俺の人気も高まったようで今はクラスの中心にあいつといるような状況になっている。そんな立場がむず痒くて、でも嬉しくて、とても幸せだなと思う。前だったら話しかけてもらえるだけで嬉しかったのに今は並んで一緒に話せている事実がとても夢のようだ。

ーー放課後
 やばいやばい、清掃場所で色々あって遅れた。遊んでいた1人がバケツにホウキをぶつけてバケツの中の水を全てこぼしたのだ。しかもそれが運悪く階段で片付けるのにとても時間がかかってしまった。なのでダッシュで教室に戻る。ドアの前で息を落ち着けて中に入ろうとドアに手をかける。
 するとドアの窓からあいつが見えた。何かを考えているのか、いつにも無く真面目な顔で外を見ていた。その顔が、その風景がどこか手の届かないような遠くにあるような、そして消えてしまうような気がして俺はドアを勢いよく開けた。
「遅れてごめんな!掃除場所で色々あってさ!」
 そう言って笑いながらドアを開けると、ドアを開けた時ビクッとなっていたあいつがいつもの様に笑って、
「遅いよー。今度ジュース1本奢りな!」
「ええー、ご堪忍を。」
 そんな事を話しながら勉強を始める。こいつは傍にいる。きちんと目の前にいて触れられると認識しながら。いなくなったりなんかしない。そう信じないととても不安で不安で手が震えそうになってしまいそうになった。
 いつも見せない真面目な顔は芸術品のようで勉強を教えると言って良かったと心の底から思った。そしてそんな顔が見れたことがとても嬉しかった。あれ?最近こいつの事ばっか考えていないか?勉強をしていてもこいつにこう教えたら覚えるかなとか、今何しているだろう、どんな事を考えているだろうと。
ーーこいつの事好きなんじゃないか
 あれ?と俺はなにかに気付いた。もしかして俺はこいつの事を好き?いやいや、友達的な意味でだろ。でも、こいつが他の奴と話している時胸のあたりがモヤモヤしたのはなんなんだ?なにかをする度に教えたい、話したいと思うのは何故だ?
ーー好きだから
 そうか、こいつの事好きなんだ。これを恋と呼ぶのかは分からないがきっと恋なのだろう。恋だと気付くとその事実がすっと自分に入っていくのが分かった。きっとみんなこんな感じなのだろう。気付いたら好きになっていてどうしょうもない。
 今まで恋を知らなかったがこんなに心が暖かくなるものだなんて。もう少し早く知れれば良かった。一緒にいるだけで胸が暖かくなる。ああ…やっぱり
「好きだな。」
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