5 / 95
序章
2-2
しおりを挟む
『何の為にっ……ソフィー達に寂しい思いを強いてきたというのに…くそっ!』
"ガタンっ!!"
『クソッ何でだ……うまく隠せていると……油断していた』
『旦那様、言葉遣いがなってませんよ…』
声を荒げ、机を叩いているであろう騒音が響いてくる。荒ぶるバーナードに相対している出切る執事のユニは、実に冷静に会話している。
『くそっ!!……わかっているだろう……元々上品な産まれでもないんだっ』
『…まったく…、ここにいる間だけですよ……して、ソフィア様はなんと……?』
『……』
『……』
『……はぁ』
少しの無言が続き、ため息が1つきこえた。
『ソフィーは、責任を感じている』
『寝込まれましたか……』
――母様…っ
『ああ』
『ソフィア様の事もあります。何か抜け道が…』
――母様の??
『いや…ソフィーは物心つく前から準備していた……されていたし……少々状況も違うだろう……』
『……あちら側に、最大の味方もおりましたしな』
話しが深刻になりそうな予感に、セリーナは金色の髪を耳にかけ乍ら魔具に顔を寄せた。
『ただ、まだセリーナの本当の色は知られていないはずだ』
『では、強制は逃れようもあるというものでは?』
――色?
『…だといいのだがな』
『どういうことでしょうか』
『王の前に立てば、ソフィーの魔法で守る事が難しくなる』
『では謁見すれば、すべて……暴かれてしまうと言うことですね』
『ああ。今のソフィーの魔力では王の前でまでは難しいだろう。保険かけてあるがな…。色がバレてしまう事をギリギリまで伸ばしたところで、ソフィーとヒューバートしかいないとなっていたガーランドの直系が、…色が違えどその血を引いた娘がいると知れれば、回りの馬鹿共も……五月蝿くなるだろう』
『頭の悪いかたがたは色が違えば尚の事、熱心でしょうな…ガーランドの血が欲しい方々は多いですからね』
――魔力?
――母様の?
魔具の先では、中年の男2人がため息交じりに話し込んでいる。憤りの色が見える会話だ。
『王家以外が血を混ぜたとて、無駄な事なのだがな…貴族には馬鹿が多すぎる……ソフィーも苦労したしな……』
『……左様でしたね』
『なにより、魔力の消耗が増せばソフィーの身体も心配だ』
『もっともな事ですね』
聞き耳を立てていたセリーナもはっと息をのんだ。
6歳にもならない頃分かれてそのまま、会う事も叶っていない母ソフィア・フィビー・スペンサー。母の存在はセリーナにとって何よりも大切なものだ。その母は男爵である父の治める領地の大元であり、母の実家でもある侯爵家、ガーランド侯爵家の本邸で静養をしている。
セリーナの父であるバーナード・S・スペンサー男爵は、当時第2王子であった人物と婚姻を進められている母と結ばれる為、恵まれた商才を活かし財力で王国に恩を売り、男爵の地位を得た上で母の実家の侯爵家から領地を分け与えられ、なんとか侯爵家の令嬢であった母を娶ったという結構すごい事をした人物らしい。それも、母の産む子供を侯爵家の跡取りとして迎える事を条件にだが。
――ずっと閉じ込めてたくせに、いきなり結婚させるってあんまりじゃないっ!?
――っていうか、お父様と母様は見ず知らずの人に憧れられるような大恋愛して、結婚したくせに…ずるいっ
――なんで……なんで、あたしっ!?
――外に出れないせいで、母様にだって会う事が出来ないんだしっ
――お父様なんか、どうせいつも母様のところに帰っているくせに……ずるいっ
なんだか体に熱が集まってきてしまう。怒りに身体が反応してしまっているのかもしれない。身体の熱が上がるとともに、セリーナの魔力が揺れてしまった。
”ゴトッ”
――っ!!
――しまったぁっ
『!! ……セリーナか…聞いていたか…』
高ぶったセリーナの魔力が部屋に張り詰め、魔具をとおして父の部屋に隠していた魔具の片割れを揺らしてしまったのだ。
"ガタンっ!!"
『クソッ何でだ……うまく隠せていると……油断していた』
『旦那様、言葉遣いがなってませんよ…』
声を荒げ、机を叩いているであろう騒音が響いてくる。荒ぶるバーナードに相対している出切る執事のユニは、実に冷静に会話している。
『くそっ!!……わかっているだろう……元々上品な産まれでもないんだっ』
『…まったく…、ここにいる間だけですよ……して、ソフィア様はなんと……?』
『……』
『……』
『……はぁ』
少しの無言が続き、ため息が1つきこえた。
『ソフィーは、責任を感じている』
『寝込まれましたか……』
――母様…っ
『ああ』
『ソフィア様の事もあります。何か抜け道が…』
――母様の??
『いや…ソフィーは物心つく前から準備していた……されていたし……少々状況も違うだろう……』
『……あちら側に、最大の味方もおりましたしな』
話しが深刻になりそうな予感に、セリーナは金色の髪を耳にかけ乍ら魔具に顔を寄せた。
『ただ、まだセリーナの本当の色は知られていないはずだ』
『では、強制は逃れようもあるというものでは?』
――色?
『…だといいのだがな』
『どういうことでしょうか』
『王の前に立てば、ソフィーの魔法で守る事が難しくなる』
『では謁見すれば、すべて……暴かれてしまうと言うことですね』
『ああ。今のソフィーの魔力では王の前でまでは難しいだろう。保険かけてあるがな…。色がバレてしまう事をギリギリまで伸ばしたところで、ソフィーとヒューバートしかいないとなっていたガーランドの直系が、…色が違えどその血を引いた娘がいると知れれば、回りの馬鹿共も……五月蝿くなるだろう』
『頭の悪いかたがたは色が違えば尚の事、熱心でしょうな…ガーランドの血が欲しい方々は多いですからね』
――魔力?
――母様の?
魔具の先では、中年の男2人がため息交じりに話し込んでいる。憤りの色が見える会話だ。
『王家以外が血を混ぜたとて、無駄な事なのだがな…貴族には馬鹿が多すぎる……ソフィーも苦労したしな……』
『……左様でしたね』
『なにより、魔力の消耗が増せばソフィーの身体も心配だ』
『もっともな事ですね』
聞き耳を立てていたセリーナもはっと息をのんだ。
6歳にもならない頃分かれてそのまま、会う事も叶っていない母ソフィア・フィビー・スペンサー。母の存在はセリーナにとって何よりも大切なものだ。その母は男爵である父の治める領地の大元であり、母の実家でもある侯爵家、ガーランド侯爵家の本邸で静養をしている。
セリーナの父であるバーナード・S・スペンサー男爵は、当時第2王子であった人物と婚姻を進められている母と結ばれる為、恵まれた商才を活かし財力で王国に恩を売り、男爵の地位を得た上で母の実家の侯爵家から領地を分け与えられ、なんとか侯爵家の令嬢であった母を娶ったという結構すごい事をした人物らしい。それも、母の産む子供を侯爵家の跡取りとして迎える事を条件にだが。
――ずっと閉じ込めてたくせに、いきなり結婚させるってあんまりじゃないっ!?
――っていうか、お父様と母様は見ず知らずの人に憧れられるような大恋愛して、結婚したくせに…ずるいっ
――なんで……なんで、あたしっ!?
――外に出れないせいで、母様にだって会う事が出来ないんだしっ
――お父様なんか、どうせいつも母様のところに帰っているくせに……ずるいっ
なんだか体に熱が集まってきてしまう。怒りに身体が反応してしまっているのかもしれない。身体の熱が上がるとともに、セリーナの魔力が揺れてしまった。
”ゴトッ”
――っ!!
――しまったぁっ
『!! ……セリーナか…聞いていたか…』
高ぶったセリーナの魔力が部屋に張り詰め、魔具をとおして父の部屋に隠していた魔具の片割れを揺らしてしまったのだ。
0
あなたにおすすめの小説
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
〖完結〗旦那様には出て行っていただきます。どうか平民の愛人とお幸せに·····
藍川みいな
恋愛
「セリアさん、単刀直入に言いますね。ルーカス様と別れてください。」
……これは一体、どういう事でしょう?
いきなり現れたルーカスの愛人に、別れて欲しいと言われたセリア。
ルーカスはセリアと結婚し、スペクター侯爵家に婿入りしたが、セリアとの結婚前から愛人がいて、その愛人と侯爵家を乗っ取るつもりだと愛人は話した……
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全6話で完結になります。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
三回目の人生も「君を愛することはない」と言われたので、今度は私も拒否します
冬野月子
恋愛
「君を愛することは、決してない」
結婚式を挙げたその夜、夫は私にそう告げた。
私には過去二回、別の人生を生きた記憶がある。
そうして毎回同じように言われてきた。
逃げた一回目、我慢した二回目。いずれも上手くいかなかった。
だから今回は。
助けた騎士団になつかれました。
藤 実花
恋愛
冥府を支配する国、アルハガウンの王女シルベーヌは、地上の大国ラシュカとの約束で王の妃になるためにやって来た。
しかし、シルベーヌを見た王は、彼女を『醜女』と呼び、結婚を保留して古い離宮へ行けと言う。
一方ある事情を抱えたシルベーヌは、鮮やかで美しい地上に残りたいと思う願いのため、異議を唱えず離宮へと旅立つが……。
☆本編完結しました。ありがとうございました!☆
番外編①~2020.03.11 終了
【完結済】隣国でひっそりと子育てしている私のことを、執着心むき出しの初恋が追いかけてきます
鳴宮野々花@書籍4作品発売中
恋愛
一夜の過ちだなんて思いたくない。私にとって彼とのあの夜は、人生で唯一の、最良の思い出なのだから。彼のおかげで、この子に会えた────
私、この子と生きていきますっ!!
シアーズ男爵家の末娘ティナレインは、男爵が隣国出身のメイドに手をつけてできた娘だった。ティナレインは隣国の一部の者が持つ魔力(治癒術)を微力ながら持っており、そのため男爵夫人に一層疎まれ、男爵家後継ぎの兄と、世渡り上手で気の強い姉の下で、影薄く過ごしていた。
幼いティナレインは、優しい侯爵家の子息セシルと親しくなっていくが、息子がティナレインに入れ込みすぎていることを嫌う侯爵夫人は、シアーズ男爵夫人に苦言を呈す。侯爵夫人の機嫌を損ねることが怖い義母から強く叱られ、ティナレインはセシルとの接触を禁止されてしまう。
時を経て、貴族学園で再会する二人。忘れられなかったティナへの想いが燃え上がるセシルは猛アタックするが、ティナは自分の想いを封じ込めるように、セシルを避ける。
やがてティナレインは、とある商会の成金経営者と婚約させられることとなり、学園を中退。想い合いながらも会うことすら叶わなくなった二人だが、ある夜偶然の再会を果たす。
それから数ヶ月。結婚を目前に控えたティナレインは、隣国へと逃げる決意をした。自分のお腹に宿っていることに気付いた、大切な我が子を守るために。
けれど、名を偽り可愛い我が子の子育てをしながら懸命に生きていたティナレインと、彼女を諦めきれないセシルは、ある日運命的な再会を果たし────
生まれ育った屋敷で冷遇され続けた挙げ句、最低な成金ジジイと結婚させられそうになったヒロインが、我が子を守るために全てを捨てて新しい人生を切り拓いていこうと奮闘する物語です。
※いつもの完全オリジナルファンタジー世界の物語です。全てがファンタジーです。
※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
今日結婚した夫から2年経ったら出ていけと言われました
四折 柊
恋愛
子爵令嬢であるコーデリアは高位貴族である公爵家から是非にと望まれ結婚した。美しくもなく身分の低い自分が何故? 理由は分からないが自分にひどい扱いをする実家を出て幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱く。ところがそこには思惑があり……。公爵は本当に愛する女性を妻にするためにコーデリアを利用したのだ。夫となった男は言った。「お前と本当の夫婦になるつもりはない。2年後には公爵邸から国外へ出ていってもらう。そして二度と戻ってくるな」と。(いいんですか? それは私にとって……ご褒美です!)
十六歳の妹の誕生日、私はこの世を去る。
あいみ
恋愛
碌に手入れもされていない赤毛の伯爵令嬢、スカーレット。
宝石のように澄んだ青い髪をした伯爵令嬢、ルビア。
対極のような二人は姉妹。母親の違う。
お世辞にも美しいと言えない前妻の子供であるスカーレットは誰からも愛されない。
そばかすだらけで、笑顔が苦手な醜い姉。
天使のように愛らしく、誰からも好かれる可愛い妹。
生まれつき体の弱いルビアは長くは生きられないと宣告されていた。
両親の必死に看病や、“婚約者の献身的なサポート”のおかげで、日常生活が送れるようになるまで回復した。
だが……。運命とは残酷である。
ルビアの元に死神から知らせが届く。
十六歳の誕生日、ルビアの魂は天に還る、と。
美しい愛しているルビア。
失いたくない。殺されてなるものか。
それぞれのルビアを大切に思う想いが、一つの選択をさせた。
生まれてくる価値のない、醜いスカーレットを代わりに殺そう、と。
これは彼女が死ぬ前と死んだ後の、少しの物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる