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序章
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先日から、自分の身におこったことをかいつまんで説明し終え、続けて魔導騎士団の門をたたくにあたってセリーナは身分を少し偽ることとなっており、その際に出された条件の説明を始めた。
まず名前は、セリーナと名のらない。仮の名をセレナ・スペンサーとする。出生届から存在がばれてしまったガーランド家直系の娘セリーナは、母譲りの病弱で表には出れないことし、今もスペンサー領で静養している事になっている。セレナはソフィアの産んだ娘ではなく、セリーナの話し相手として遠縁から養女にしていた事となった。ガーランドの遠縁としたのは、セレナの占星魔法が万が一、人目に触れてしまった際のいい訳にもなるからだ。
そして、養女であるセレナは15歳となり自立の為、育ててもらった恩を返す為、魔導騎士団に入団する事にしたのだという事になる。
セレナとしての設定は出来上がったとはいえ15歳で成人とされるこのクラーワ王国では、新成人の貴族は成人のあいさつの為登城しなければならないとされている。所謂社交界デビュー、テビュタントだ。それは成人した年から翌年の間とされているが、何らかの理由により翌々年まで伸ばすことができる。
セリーナは病弱を理由に翌々年まで伸ばすことにしているのでセリーナに与えられたセレナとしての期限は2年とされたのだ。養女セレナの成人の登城も、セリーナと共に予定している事とした。
貴族が親のいない子を実子の遊び相手として養子に迎え、成人後自立の為に支援するという事はわりとよくあることなのだ。遠縁といえ縁があれば実子の遊び相手とは関係なく養子にすることも多い。むかしは政略結婚などを強要される事もあったが、恋愛結婚が主流となっている現在はそれもなく、貴族籍の継承権や相続権は与えられないが悪評が発つ事がなければ家名や、そういう身分用に設けられた姓を名乗らせてもらえる。養子からしてみれば育ててもらった恩を名を売ることで返すことができるのだ。
以上が、魔導騎士団に入団するための条件として父に開示された内容だと伝えた。本当の色に関しては誰にも語れないので沈黙だ。自身でさえ知らなかったのだから、幼馴染であるルードヴィヒでも知らないことだろう。何よりうそをついているわけではない。
フムフムと、顎に手を当て頷きながら聞いていたラジットの脇で、スピカと遊びながらも話を聞いていたらしいルードヴィヒは真朱色の目にセリーナを映している。小さな姿のスピカは飽きてしまったのか、テーブルの上で主の腕に寄りかかり居眠りを始めようとしている。
「では、これからはセレナと呼ぼう。どちらにせよ魔導騎士団内では登録の時以外は、姓を名乗ることはない。『王立魔導騎士団所属、セレナ』という肩書になるからね 改めてよろしくセレナ」
「よろしくお願いしますっ」
笑顔になるセリーナ、改めセレナ。セレナは、傍らに座るルードヴィヒに目を向け眉を下げ口を開いた。幼馴染の顔はなぜか不機嫌に見える。
「…だから、ルーもセレナって呼んでね?」
「………んだか、ヤダな」
唇を尖らせるルードヴィヒに、呆れたように諭す様にラジットが口を開いた。
「セレナ、この調子では説明していないだろうが、身分的にルードヴィヒも呼名をルイスと変えている。カークス家は何かと有名だからなのだが…ルイス、お前も呼名を変えているだろうが」
「だってよぉ…何か他のヤツと一緒でつまんねぇなって…」
ぷくりとふくれるルーの頬をつつきながら、しょうがないなとセレナは笑う。
――そう言えばこいつは、父親だけでなく身内認定した者に対してはベッタリと甘いのだ
――普段は、無口キャラなのにコレだもんなぁ
――そう考えると、ラジットさんのことは身内扱い……気に入ってるんだろうなぁ
「フフッじゃぁ、セリーナの時はリーナだったから、……レナでどお?」
「レナか……わかったっ」
ルイスの早変わりに、ラジットは呆れた視線を向ける。その視線に気が付かずに、セレナはルイスの真朱色の目を見つめた。
「ねぇ。ルーはルイスだし、このままルーって呼んでてもいいでしょ?」
「……リーナは…レナは、ルーでいいぞっ」
「ふふっ」
セレナの大きな瑠璃色の目が、優しく弧を描く。言葉を挟まないでいたスピカは、ふわりと浮かび上がるとルードヴィヒの顔の前で、しょうがない子だと呟いた。その様子にスピカの頭を突いてやろうとルードヴィヒが指を伸ばすが、それをスピカはふわりと避けセレナの金色の頭の上に乗っかった。傍から見ればルードヴィヒが1人で手遊びしているようだ。その様子を考えるように見ていたラジットが、ポツリと呟いた。
「で、1ついいかな?」
「……はい?」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ラジット → ラジット・ニコラウス 46歳 魔導騎士団団長 セリーナの両親、ルードヴィヒの父リーベルタスと知り合い。バーナードとリーベルの学生時代、魔導騎士団からの派遣で魔法の教鞭をとっていた。勝手に師匠扱いされ、色々と尻ぬぐいさせられていた。基本面倒見がいいので面倒くさがるけれど、本心では苦ではない。
茶髪に黒目、浅黒い肌。成人男性にしては小柄。無属性の魔法を使い身体強化・肥大など、体を変化させて戦う。全属性使える。
レナ → セレナのルードヴィヒ専用の愛称
ルー → ルードヴィヒのセレナ専用?の愛称
ルイス → ルードヴィヒの魔導騎士団内の愛称
まず名前は、セリーナと名のらない。仮の名をセレナ・スペンサーとする。出生届から存在がばれてしまったガーランド家直系の娘セリーナは、母譲りの病弱で表には出れないことし、今もスペンサー領で静養している事になっている。セレナはソフィアの産んだ娘ではなく、セリーナの話し相手として遠縁から養女にしていた事となった。ガーランドの遠縁としたのは、セレナの占星魔法が万が一、人目に触れてしまった際のいい訳にもなるからだ。
そして、養女であるセレナは15歳となり自立の為、育ててもらった恩を返す為、魔導騎士団に入団する事にしたのだという事になる。
セレナとしての設定は出来上がったとはいえ15歳で成人とされるこのクラーワ王国では、新成人の貴族は成人のあいさつの為登城しなければならないとされている。所謂社交界デビュー、テビュタントだ。それは成人した年から翌年の間とされているが、何らかの理由により翌々年まで伸ばすことができる。
セリーナは病弱を理由に翌々年まで伸ばすことにしているのでセリーナに与えられたセレナとしての期限は2年とされたのだ。養女セレナの成人の登城も、セリーナと共に予定している事とした。
貴族が親のいない子を実子の遊び相手として養子に迎え、成人後自立の為に支援するという事はわりとよくあることなのだ。遠縁といえ縁があれば実子の遊び相手とは関係なく養子にすることも多い。むかしは政略結婚などを強要される事もあったが、恋愛結婚が主流となっている現在はそれもなく、貴族籍の継承権や相続権は与えられないが悪評が発つ事がなければ家名や、そういう身分用に設けられた姓を名乗らせてもらえる。養子からしてみれば育ててもらった恩を名を売ることで返すことができるのだ。
以上が、魔導騎士団に入団するための条件として父に開示された内容だと伝えた。本当の色に関しては誰にも語れないので沈黙だ。自身でさえ知らなかったのだから、幼馴染であるルードヴィヒでも知らないことだろう。何よりうそをついているわけではない。
フムフムと、顎に手を当て頷きながら聞いていたラジットの脇で、スピカと遊びながらも話を聞いていたらしいルードヴィヒは真朱色の目にセリーナを映している。小さな姿のスピカは飽きてしまったのか、テーブルの上で主の腕に寄りかかり居眠りを始めようとしている。
「では、これからはセレナと呼ぼう。どちらにせよ魔導騎士団内では登録の時以外は、姓を名乗ることはない。『王立魔導騎士団所属、セレナ』という肩書になるからね 改めてよろしくセレナ」
「よろしくお願いしますっ」
笑顔になるセリーナ、改めセレナ。セレナは、傍らに座るルードヴィヒに目を向け眉を下げ口を開いた。幼馴染の顔はなぜか不機嫌に見える。
「…だから、ルーもセレナって呼んでね?」
「………んだか、ヤダな」
唇を尖らせるルードヴィヒに、呆れたように諭す様にラジットが口を開いた。
「セレナ、この調子では説明していないだろうが、身分的にルードヴィヒも呼名をルイスと変えている。カークス家は何かと有名だからなのだが…ルイス、お前も呼名を変えているだろうが」
「だってよぉ…何か他のヤツと一緒でつまんねぇなって…」
ぷくりとふくれるルーの頬をつつきながら、しょうがないなとセレナは笑う。
――そう言えばこいつは、父親だけでなく身内認定した者に対してはベッタリと甘いのだ
――普段は、無口キャラなのにコレだもんなぁ
――そう考えると、ラジットさんのことは身内扱い……気に入ってるんだろうなぁ
「フフッじゃぁ、セリーナの時はリーナだったから、……レナでどお?」
「レナか……わかったっ」
ルイスの早変わりに、ラジットは呆れた視線を向ける。その視線に気が付かずに、セレナはルイスの真朱色の目を見つめた。
「ねぇ。ルーはルイスだし、このままルーって呼んでてもいいでしょ?」
「……リーナは…レナは、ルーでいいぞっ」
「ふふっ」
セレナの大きな瑠璃色の目が、優しく弧を描く。言葉を挟まないでいたスピカは、ふわりと浮かび上がるとルードヴィヒの顔の前で、しょうがない子だと呟いた。その様子にスピカの頭を突いてやろうとルードヴィヒが指を伸ばすが、それをスピカはふわりと避けセレナの金色の頭の上に乗っかった。傍から見ればルードヴィヒが1人で手遊びしているようだ。その様子を考えるように見ていたラジットが、ポツリと呟いた。
「で、1ついいかな?」
「……はい?」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ラジット → ラジット・ニコラウス 46歳 魔導騎士団団長 セリーナの両親、ルードヴィヒの父リーベルタスと知り合い。バーナードとリーベルの学生時代、魔導騎士団からの派遣で魔法の教鞭をとっていた。勝手に師匠扱いされ、色々と尻ぬぐいさせられていた。基本面倒見がいいので面倒くさがるけれど、本心では苦ではない。
茶髪に黒目、浅黒い肌。成人男性にしては小柄。無属性の魔法を使い身体強化・肥大など、体を変化させて戦う。全属性使える。
レナ → セレナのルードヴィヒ専用の愛称
ルー → ルードヴィヒのセレナ専用?の愛称
ルイス → ルードヴィヒの魔導騎士団内の愛称
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