結婚させられたくないので魔導騎士団に入団しますっ!

モー子

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本章 ――魔導騎士団の見習い団員――

18-3

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 ――全く予定と違うんですけどぉ!?
 ――これじゃぁ、脅しじゃない!?
 ――孤立したら恨むわよっ 

「うちの子がすみませぇん」

 情けない声が出てしまった。ルイスと繋がる手が僅かに震えてしまっている。だが、周りを見渡せば否定的な視線は見当たらない。逆に目を輝かせている者がちらほら見てとれる。そう言えばここにいる者達は、魔導士の中の魔導士。いわゆる魔導オタク共だ。頭のネジが1本2本も飛んだ思考でなけえば魔法を、魔導騎士団に認められるまで納めることは難しいだろう。
 危惧しなければいけないのは歓迎のし過ぎで、セレナに信者が付き纏わないかという事かもしれない。

 ――ひとまずは、大丈夫そう?

「「……おぉ」」
「「やるな~っ」」
「「愛し子何て…初めて会ったなぁ」」
「「スピカかぁ、ツンデレ可愛いなぁ~」」
「「どうやって変形するんだ? 獣人みたいな仕組みなのか?」」

 黙ってスピカの様子をみていた団員達から声があがり始める。やはりそれは否定的なものではなく、歓迎するものだった。姿を現したままのシリウスを取り囲んでいる者。ボー然とセレナを見つめる者。ジーッとセレナとルイスの繋がれた手を見つめる者。皆それぞれの反応だ。
 
 他にもがいることも伝えてあるが、見せてくれと言ってこないところは妖精の気質をよく理解しているのだろう。妖精とは元来自由で自分勝手な存在なのだから。気分を害したら攻撃してくることだってあるのだから。

「改めて、よろしくお願いしますっ」

「「おおっ 事情は分からないけど分かったぞー」」
「「今度一緒に任務いこうぜーっ」」
「「シリウス撫でていいかー」」
「「で、何でお前らはお手てつないでイチャイチャしてんだー!!」」

 ざわざわとそこにいる団員達は、談笑を始めてしまった。セレナの緊張はどこへ? なんだかすんなりい受け入れられてしまった。最後のは突っ込みだし、セレナの左手を握るルイスの力が強くなっただけだった。

 魔導騎士団に所属している魔導士たちには事情があるものが多い。驚異的な存在で在ろうセレナではあるが、味方であるならそれでいいのだろう。皆、自身が詮索されるのは好きではないのだ。

「ねぇ、ちょっといい?」

 そこに聞き慣れた変声期前の高い声が響く。兄の無事を確認し、その兄と共にそこでセレナを見つめるのはラルフだ。人の輪に囲まれていたセレナは、そこに駆け寄った。ローレンの様子も気になっていたのだ。

「ラルフ お兄さんどお?」

 セレナが視線を向けると、そこに群青色の頭が並んで下げられていた。

「「ありがとう」」

 綺麗に声が揃う。ローレンの怪我は、治療魔法が使えるセレナが向かわなければ命が繋がれたかは微妙な程、酷い状況だった。右足の太腿や脹脛が獣に噛み千切られた様に抉れ大量に出血していたし、脇腹には木材が貫通していた。引き裂かれて破れ衣類の穴から掠り傷すら見当たらないローレンの右足が見える。破れたズボンには赤黒いしみが出来ている。

 今ここでローレンが自らの足で立ち、弟と再会できたのは紛れもなくセレナにもたらされたものである。

「…魔獣に噛みつかれてからずっと麻痺していたんだが、今は何ともないよ」
「そうね、ポイズンウルフの毒だと思うし、多分もう大丈夫だと思うんだけど」

 心配そうにローレンの右足を見つめるセレナ。その傍らからルイスもセレナに倣う様にローレンの右足を眺めている。

「あぁ 多分そうだな…もう大丈夫だと分かっているんだが、毒がまわり右足の感覚が無くなっていく恐怖は、忘れられるものではないな…」
「でもその足で、女の子を守りながら逃げ切るなんて、ローレンさんは優秀なんですねっ」
「そうなんですよっ 兄さんは強くてカッコよくてすごいんですっ!! セレナさんもすごいですっ!!」

 すごいわねぇと言い合うセレナとラルフの無邪気な笑顔が眩しい。

 可愛らしい天使の見た目のラルフだが、兄のローレンはすらりと背が高く、細いが筋肉質だと服の上からも分かる程いいスタイルをしている。それに群青色の髪に真っ黒な目は少々垂れていて色気がある。顔のパーツが整って配置されていて子女の目を惹くような容姿で、甘い雰囲気を纏った美丈夫な青年だ。

「セレナさん……いえ、セレナ嬢のお蔭です」
「そんな畏まらないでっ!! ローレンさんの方が年上ですし、あたしはラルフの同僚です。呼び捨てで結構ですよ?」

 養女とはいえ貴族の令嬢であるセレナに、以前まで伯爵家の嫡男であったローレンが頭を下げながら話す。セレナはふわりと微笑みかけた。セレナの笑みに、ローレンの動きが止まった。

 柔らかく細められた瑠璃色の目は、困ったようにローレンを見つめている。

「…ではセレナと。 私の事もローレンと呼び捨てで」
「えと…じゃぁ、ローレン? あたしの治癒魔法の事は、内緒でお願いしますっ」

 呼び方を変えただけで、親しくなったようでなんだか恥ずかしいセレナである。少し年上の様だが、その上で性別は違うが、呼び捨てで呼び合うとは友の証のように思える。親しい友人が出来るのかもしれないという期待にセレナは胸を熱くしてしまっている。

「解りました内緒ですね…頬が赤く染まって可愛らしいですね セレナは」
「えと…?」
「……ちっ」
「……兄さん…」

 それまで黙っていたルイスの舌うちと、ラルフの兄への呆れが重なった。

 弟のラルフが冷ややかな視線を向ける中、ローレンはセレナ前に跪いた。セレナの右手をとってスンと鼻を引くつかせた。その様子にセレナの肩がビクリと揺れた。直ぐにでも右手を引っ込めたいが、離してくれない。セレナの匂いを嗅いでいたローレンはにっこりととろけるような笑みを浮かべている。

「セレナ、優しいくて甘くて私の好きな匂いだ……」

 ――匂い褒められたっ!?
 ――って、離してくれないんだけどぉ…

 ウットリとした声色に、セレナはどうしたものかと眉を下げた。とられてしまっている右手が何とも熱い。困ったままローレンに捉えられている右手を見ていると、その手が強引に引き抜かれセレナを背中ごと暖かい体温が包み込んだ。

「気安く触んじゃねぇ…」

 セレナの白くしなやかな手が後ろから廻された手でギュっと握りしめた。正直ほっとするのだ。
 冷たく尖った風がローレンの身体を後ろへと押しのける。空かさずセレナを抱え込んだルイスの前にどんとシリウスが腰を着いた。

 睨みつけてくる真朱色のつり目と、菫色のまん丸の目にローレンは肩をすくめた。

「この匂いを忘れない……何があってもどこにいてもあなたを助けに行くと誓う」

 いつでも頼ってほしいというローレンは機密保持の魔法契約をした後、ラルフに連行されて行ってしまった。混乱していたセレナは口をはくはくと動かすことしかできない様だ。

 その周りを触ると切れそうな風が舞っていたことに、セレナは気が付かなかった。

「……手、洗いたい」

 ポツリとルイスの腕の中から呟いたセレナは一瞬にしてその場から姿を消した。もちろんルイスとシリウスに連れられて。

―――――――――――――――――――――――――――――――――
なんだか纏まりも、内容も、文才もなくてすみません。
妄想の垂れ流しですね(;´Д`A ```
どんどんブクマが減っていく……まぁ仕方ないっすねっ
自分なりに更新していきたいと思います。
お読みいただきありがとうございますっ!!
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