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本章 ―大好きだけどちょっと面倒な人―
24、大好きだけど面倒な人
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到着した場所はどこかの部屋らしい。普通の一般的な部屋だ。その部屋には魔方陣あるだけで、あとは小さなチェストと椅子が何脚かあるくらいで転移用の部屋と思われる。
キョロキョロと見渡せば、窓の向こうには王城を囲っている壁が見えた。壁にかかっている絵画や置かれている調度品が高価そうに感じられるが気にしてはいけない。大体の予測はつく。
――お城の中、だよね…
王城のどこからしいがよく解らない。
「すまんなセレナ…どうしてもお前に会いたい奴がいてな…」
「えっと…?」
「あぁ、怪しい奴ではないぞ いやなことがあれば、断っていいから それと、この部屋を出て部屋に入るまでは発言は禁止だ 頼むな」
「……? はい」
話しかけてくれたアレクサンドロは、いつものアレクサンドロだ。近くにはアレクサンドロの契約妖精ノームの気配もする。いざとなれば星獣を呼ぶまではノームに力を貸してもらう事も可能だ。
――アレクさんのノームにおかし貢いどいてよかったっ
ノームは地の妖精で力が上位の存在だ。だが結局はスピカたち地の星獣の下位にあたるのだ。しかも星獣の姫が手ずから作った菓子を贈っている。アレクサンドロがいる状態で争い事にはなら無いだろうが、もしそうなった時は力を貸してくれるだろう。もちろんアレクサンドロがまかり間違ってセレナを害することに手を貸しても、ノームはアレクサンドロに力を貸さないだろう。そうなった時はこの先一生アレクサンドロに手をかす妖精はいなくなるのだ。
手を引かれるまま上質な絨毯が敷かれた廊下に出た。エスコートされる様に促され足を進めると、装飾された白い大きめの扉の前でアレクサンドロの足が止まった。
――客間かな…?
――誰に会わせられるのかな
――妖精仲間とか?
――いやいや、治療の依頼って事も…
「魔導騎士団1番隊隊長アレクサンドロ・グレンジャーだ 失礼する」
アレクサンドロが自らドアノブを回し、部屋へ招き入れられた。見目麗しい高級そうな家具が並ぶ部屋の中にはお仕着せの侍女が2人待っていた。傍らには最近仕立てられたらしいドレスがかけられていて、化粧台にいくつかのお飾りが並べられている。脇にある四角い物入れには化粧や髪飾りが入っているのだろう。
「「お待ちしておりました」」
すました表情でお辞儀をした侍女2人がセレナへと手を伸ばす。セレナの眉間に深い皺が寄った。「すまない」「すまない」と呟きながらアレクサンドロから侍女へと受け渡されたセレナ。アレクサンドロは入ってきた扉とは小さめの扉から部屋を出て行ってしまった。どうやらここは前室の様だ。隣の部屋で誰かが待っているのだろう。
――なんなのっ!?
――嫌な予感しかしないんだけどっ
「「失礼いたします」」
「触らないでっ」
部屋に待機していた侍女がセレナの身に着けている服に手を伸ばしてくる。どうやらこれから会う人の為に着替えをしなければならないらしい。だが、丁重にお断りした。セレナの様子に侍女たちは困惑の表情を浮かべているが、知った事ではない。
「……その、正装するようにと」
弱弱しく侍女が諌めてくるがセレナは睨み返した。侍女達は黙って俯いてしまったが、しょうが無い事なのだ。
「私は正式な魔導騎士団の団員です。騎士服が正装ですので」
「畏まりました」と、侍女の1人が会釈をしてさがった。隣の部屋に報告に行った様だ。侍女たちのメイド服は王宮勤めの意匠ではない。これから会うのは上位の者だろうが、王族では無いようだ。
――なぜ、従うと思ったのかな?
――魔導騎士団員なんだから、騎士服が正装でしょうっ
――あんまりひどいと……、全力で逃げるけど!?
――あたしに無理強いしたら、星獣達が暴れちゃうんだから勘弁してくれないかなぁ…
事情が全く分からないが、もし騙し討ちの様な事があって自分が悲しめば星獣達は確実に怒るだろう。先代の星獣の姫への仕打ちはひどく、憤った星獣達が大変だったとお爺様が洩らしていた事があるのだ。怒気に沸いた星獣達は国をも亡ぼす勢いだったと。だが、先代のカーラ大叔母様が寛大だった為に星獣を諌めてくれただけなのだと。
――だからこそ、あたしは悪い感情を押さえる教育を受けてきたんだもの…
――何事も深呼吸して、状況確認…
――大丈夫
――ここであたしは1人じゃないんだから
現状、身の危険を感じるほどではない。だが、事情が分からないのでどうにも心が落ち着かないのだ。何か怪しいし、腑に落ちないのだ。
――う~ん…
――なんだか慌ただしいなぁ
――アレク隊長の先導だから怖いことは無いんだろうけど、何なんだろう?
用意されていたドレスに着替えて身支度をされてしまえば、鏡に映る自分はセレナではなくなってしまう。そう魔導騎士団のセレナではなく、ガーランド侯爵家縁りのスペンサー男爵令嬢のセリーナに戻されてしまうのだ。
――全く……
――着替えるわけないじゃないっ
――どういう事なの!?
*
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到着した場所はどこかの部屋らしい。普通の一般的な部屋だ。その部屋には魔方陣あるだけで、あとは小さなチェストと椅子が何脚かあるくらいで転移用の部屋と思われる。
キョロキョロと見渡せば、窓の向こうには王城を囲っている壁が見えた。壁にかかっている絵画や置かれている調度品が高価そうに感じられるが気にしてはいけない。大体の予測はつく。
――お城の中、だよね…
王城のどこからしいがよく解らない。
「すまんなセレナ…どうしてもお前に会いたい奴がいてな…」
「えっと…?」
「あぁ、怪しい奴ではないぞ いやなことがあれば、断っていいから それと、この部屋を出て部屋に入るまでは発言は禁止だ 頼むな」
「……? はい」
話しかけてくれたアレクサンドロは、いつものアレクサンドロだ。近くにはアレクサンドロの契約妖精ノームの気配もする。いざとなれば星獣を呼ぶまではノームに力を貸してもらう事も可能だ。
――アレクさんのノームにおかし貢いどいてよかったっ
ノームは地の妖精で力が上位の存在だ。だが結局はスピカたち地の星獣の下位にあたるのだ。しかも星獣の姫が手ずから作った菓子を贈っている。アレクサンドロがいる状態で争い事にはなら無いだろうが、もしそうなった時は力を貸してくれるだろう。もちろんアレクサンドロがまかり間違ってセレナを害することに手を貸しても、ノームはアレクサンドロに力を貸さないだろう。そうなった時はこの先一生アレクサンドロに手をかす妖精はいなくなるのだ。
手を引かれるまま上質な絨毯が敷かれた廊下に出た。エスコートされる様に促され足を進めると、装飾された白い大きめの扉の前でアレクサンドロの足が止まった。
――客間かな…?
――誰に会わせられるのかな
――妖精仲間とか?
――いやいや、治療の依頼って事も…
「魔導騎士団1番隊隊長アレクサンドロ・グレンジャーだ 失礼する」
アレクサンドロが自らドアノブを回し、部屋へ招き入れられた。見目麗しい高級そうな家具が並ぶ部屋の中にはお仕着せの侍女が2人待っていた。傍らには最近仕立てられたらしいドレスがかけられていて、化粧台にいくつかのお飾りが並べられている。脇にある四角い物入れには化粧や髪飾りが入っているのだろう。
「「お待ちしておりました」」
すました表情でお辞儀をした侍女2人がセレナへと手を伸ばす。セレナの眉間に深い皺が寄った。「すまない」「すまない」と呟きながらアレクサンドロから侍女へと受け渡されたセレナ。アレクサンドロは入ってきた扉とは小さめの扉から部屋を出て行ってしまった。どうやらここは前室の様だ。隣の部屋で誰かが待っているのだろう。
――なんなのっ!?
――嫌な予感しかしないんだけどっ
「「失礼いたします」」
「触らないでっ」
部屋に待機していた侍女がセレナの身に着けている服に手を伸ばしてくる。どうやらこれから会う人の為に着替えをしなければならないらしい。だが、丁重にお断りした。セレナの様子に侍女たちは困惑の表情を浮かべているが、知った事ではない。
「……その、正装するようにと」
弱弱しく侍女が諌めてくるがセレナは睨み返した。侍女達は黙って俯いてしまったが、しょうが無い事なのだ。
「私は正式な魔導騎士団の団員です。騎士服が正装ですので」
「畏まりました」と、侍女の1人が会釈をしてさがった。隣の部屋に報告に行った様だ。侍女たちのメイド服は王宮勤めの意匠ではない。これから会うのは上位の者だろうが、王族では無いようだ。
――なぜ、従うと思ったのかな?
――魔導騎士団員なんだから、騎士服が正装でしょうっ
――あんまりひどいと……、全力で逃げるけど!?
――あたしに無理強いしたら、星獣達が暴れちゃうんだから勘弁してくれないかなぁ…
事情が全く分からないが、もし騙し討ちの様な事があって自分が悲しめば星獣達は確実に怒るだろう。先代の星獣の姫への仕打ちはひどく、憤った星獣達が大変だったとお爺様が洩らしていた事があるのだ。怒気に沸いた星獣達は国をも亡ぼす勢いだったと。だが、先代のカーラ大叔母様が寛大だった為に星獣を諌めてくれただけなのだと。
――だからこそ、あたしは悪い感情を押さえる教育を受けてきたんだもの…
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――大丈夫
――ここであたしは1人じゃないんだから
現状、身の危険を感じるほどではない。だが、事情が分からないのでどうにも心が落ち着かないのだ。何か怪しいし、腑に落ちないのだ。
――う~ん…
――なんだか慌ただしいなぁ
――アレク隊長の先導だから怖いことは無いんだろうけど、何なんだろう?
用意されていたドレスに着替えて身支度をされてしまえば、鏡に映る自分はセレナではなくなってしまう。そう魔導騎士団のセレナではなく、ガーランド侯爵家縁りのスペンサー男爵令嬢のセリーナに戻されてしまうのだ。
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