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閑話②
閑話 ――ある休日②――
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街に降りると、最近見馴れた街並み。通い馴れてきた商店が開店の準備をしている光景が目につく。その脇を通り抜け見えた、お目当てのカフェは既に賑わっている様だ。そこから楽しそうな話声が聞こえてくる。
赤みがかったレンガ調の四角い造りの可愛らしいお店。店内はガヤガヤと人が賑わっている。セレナは店内を見渡し賑わっている席を避け、テラスへ向かった。テラス席にでると丁度陽の光が差し心地よさそうだ。
隣とに敷地の境に植えられた木々の脇のゆったりとした席に着くと、テーブルに置かれたメニューを眺める。
「ルーは、どれにする?」
「んーあんま甘くないのがいいけど、レナが食いたいもんでいいぞ」
「やったぁっ」
思った通りのルイスの返答にセレナはにんまりと笑みを作る。
セレナとルイスは幼い頃から幾度も食事を共にしてきた。互いの食事を味見し合うのも、良くある事だ。そこでふたりの中で暗黙の了解ができていた。食事のメニューはルイス優先。スイーツはセレナの意見が優先なのだ。
今日のパンケーキは朝食で食事扱いだったが、ルイスの中ではスイーツの括りなのだろう。満面の笑みで喜ぶセレナに、ルイスは真朱色のつり目を細め笑い返した。ふよふよと漂う透明の羽を生やした妖精姿の乙女が楽しそうに二人の頭上で旋回している。
「えっと……じゃあねぇ……」
メニューと睨めっこするセレナの真剣な様子に、ルイスも笑みを浮かべて横から覗き込む。セレナの金髪の上から一緒にメニューを覗き込む小さな妖精も、スイーツのメニューには興味津々のようだ。
『スピカは、どれがいいと思う?』
『姫っ 1つは、フルーツたくさんのったやつにしない? 』
『そうねっ…ああっ! でも、ミックスもいいけど、ベリーのとマンゴーのもいいわね…悩むわぁ』
『じゃぁ先にもう1個を決めてから悩みましょ?』
『1つは、苦味の強いビターショコラマウンテンバナナのせにしようた思うんだけど……』
『そうねっルーにはそれくらいが丁度良さそうね……姫っ姫っレモン風味のヨーグルトチーズソースシトラスのせってのもいいんじゃない? 』
『あっほんと、それも甘さ控えめかあ…しかも、チーズを生地に練り込んであってスフレパンケーキだってっいいねっ美味しそうっ!!』
『悩むわねぇ』
『悩むわねぇ』
“ゴンッ!!”
金髪の娘と妖精が揃って眉間にしわを寄せて悩んでいるところへ、その音が響いた。そして続く音。
“きゅるるるるるるぅ”
視線を向ければ節くれだった手で自らの腹をなでるさするルイスがテーブルに額を乗せていた。
「腹減った…」
「あはははっ ごめんごめん」
給仕を読んで頼んだものはビターショコラマウンテンのシトラスのせと、季節のフルーツヨーグルトチーズパンケーキホイップ増し増しだった。メニューの端にあったミックスサンドと、珈琲とカフェラテも忘れてはいない。
給仕が注文い受け去ってからも、まだメニューを眺めて唸る二人にルイスは呆れた声をかける。
「…んな何個も食えねぇだろ………んなら、土産にしてもらえば? 」
「……そっかぁ、そうだよねっ スピカもおうちでゆっくり食べたいよねっ… お土産買って行こうか」
『あら、ここでも少しもらう予定だけど、嬉しいわっ』
いい子いい子とまるで小さな子供をあやすように褒めるようにスピカがルイスのボサボサの朱色の髪を撫でる。その光景をセレナも優しい目で楽しそうに微笑んで見つめていた。ではお土産は何にするかと再び盛り上がっていたところへミックスサンドが届く。ルイスが半分以上を、残りをセレナ。そして、ルイスの懐に潜り込んだスピカが『味見よっ』とサンドイッチにも少しだけ齧り付く。
他から姿が見えないスピカは、人の目がある処で食事をすることはあまりない。空中で食べ物が突然消えたら騒ぎになってしまうだろう事は簡単に想像できる。妖精の仕業だと言っても妖精自体、珍しいのだ。人が集まり、悪い奴がいれば妖精を捕まえようとつけ回される可能性もある。表で見えないところ裏社会では捕まえた妖精は、闇で高値が付くとも言われているのだ。もちろんそんな輩は簡単に蹴散らせるだろうが、少々面倒なのだ。
そもそも大気に溶ける魔力を糧にする星獣達は食事は必要ない。だが味覚はしっかりある。なので、個々の楽しみとして食事を口に運ぶのだ。その為に人と契約する妖精がいる位なのだから、星獣や妖精の食欲も侮れないものだ――。
そして今まではセレナと2人では難しいかったが、ルイスが一緒だとこうして隠れてスピカが味見するくらいはできるのだ。
サービスでついてきたグラスの水をルイスが飲み干すと、パンケーキが2つと飲み物が一緒に運ばれてきた。
「美味しそうっ!!」
『かわいいっ』
「食いもんにかわいさは関係あん…のか…あるんだな…」
一斉に向いた2人からの厳しい視線にルイスは失言をすぐに訂正した。暫くパンケーキを楽しんでいると、通りの向こうから品のいいワンピースを身に纏ったお嬢様が歩いてくる。傍らには、付き人のように淡い色の綿のシャツに同色ベストとトラウザーを合わせた男性ふたりも一緒だ。
とっても見覚えがある面子だ。3人が目に入ると、あからさまにルイスの眉間に皺が寄ってしまう。
「チッ……」
そして大きく吸った空気を、一気に口から吐き出した。
「あらっ セレナっ!!」
「「セレナさんとルイスっ」」
小さな白い手を口の高さであわせ、目をキラキラさせる黒髪のお嬢様ミネルバは、こちらに駆け寄ってくる。その後ろで双子のように声を揃えたミネルバの弟であるティモシーと獣人のラルフも、ゆったりと歩いてこちらに来るようだ。
当たり前のように同じテーブルの席に着き3人は各々のパンケーキを頼む。
「こんなところでセレナと会えるなんてっ これはもう運命ね!! ちょっとそこの給仕、こちらの注文もお願いしますわ」
「ミニー、さっき振りね?」
会えて嬉しいと笑い合う娘ふたり。ミネルバ達は普段着なので一度部屋に戻って身支度を整えたのだろう。ただよく見れば魔導騎士団のマントは腕に抱えている。それに引き換えセレナ達は仕事着のままだ。
それに納得のいかないミネルバは、この後一緒に買い物にいこうとセレナを誘っている。楽しそうに嬉しそうに受け答えをするセレナはその誘いを断ることは出来ないだろう。
「へぇ…ルイスも彼女と一緒ならこんな店くるんだなぁ…」
「……」
感心した様に呟いたのはウルフ。その表情は満面の笑みだ。セレナと共に行動する事で、ルイスの魔導騎士団の中でも印象が変わってきていた。他人との行動を避け、寡黙でいて、膨大な魔力と魔法を使い、何を考えているか判らなかった――切れたら何をするかわからない奴――だったのが、今ではただの世話好きで心配性のセレナの騎士の様な人。即に同じ勤務体の団員はそんな認識である。
「普段は、甘いもの食べないのになっ」
「……」
呆れた顔を向けるのはルイスの従弟という事になっているティモシー。チラリと2人を見た後ルイスは何でもない様にフォークをとった。5人に囲まれれば他から見えないとテーブルの中央に陣取ったスピカに向かって、切り分けた彼女の体半分ほどの大きさのパンケーキを差し出し。自分も残りのパンケーキを口に運んだ。
『ありがとっ ルー』
恵美を向け礼を言うスピカにあた間を人さし指でぐりぐりと撫でるルイス。ルイスに応える気がないのだとラルフ達が諦めたように息を吐くと、ポツリと低い声が聞こえてくる。
「これは、甘くないぞ…」
ポツリと返答したルイスは黙々とパンケーキを口に運ぶ。そして、半分食べたところでフォークを置いた。ミネルバと楽しくおしゃべりしながらも聞き耳を立てていたセレナは、おかしそうにルイスの目の前にある皿と自分の皿を入れ替えた。
「あははっ 確かに、ルーは甘いもの得意じゃないから珍しいでしょっ でもねっ特別に甘いソースは別添えにしてもらったんだよっ」
自分の前にセレナから廻ってきたパンケーキをまたスピカに分けてから黙々と食べ始めるルイス。今度はフルーツたっぷりなのでそれもスピカの為に分けて皿の端に置いてある。
『あらっ このヨーグルトソースも甘すぎなくていいわねっ』
「……そうだな」
スピカの声にルイスは静かに答える。そんな様子を目にしながらウルフとティモシーも自分の頼んだパンケーキを口に運んだ。
『あら、ラルフだっけ? 貴方のはタルトなのねっ』
「あ…ああそう 僕もあんまり甘いの得意じゃなくってね……僕もソース別添えっての? してもらえばよかったかな…」
タルトにのせられたベリーをつまんでスピカに渡しながら、ラルフが言うとそのさらにヨーグルトソースのパンケーキがひとかけら置かれた。
「……食ってみろ」
「あっ ありがとう」
驚いた顔でルイスを見た後ラルフは分け与えられたそれを口に運ぶ。その味に満足してラルフが頷くのを見ると、次はティモシーの皿にヨーグルト味のパンケーキが乗った。その様子についついラルフ達の顔に笑みが浮かんでしまう。
「食え」
「ティム うまいよっ」
こちらも驚いた顔だが、食べる前に動いた口は違う言葉を発する。
「何でラルには『食ってみろ』でオレには『食え』なんだよっ」
「……食わないのか」
「食うけどっ」
ルイスに分け与えられた分を口にはこびティモシーは自分の皿をルイスの前に持ち上げた。
「食え」
「……甘いのは遠慮する…」
甘党のティモシーの皿には甘そうなソースがたっぷりかかったパンケーキが乗っていた。
「くくっ…」
「ふふっふふふっ」
賑やかな食事を終え席を立つ5人。人前ではと姿を消したスピカはルイスの頭の上で眠ってしまっている。
「ではそういうことで、これからセレナの服を買いに行きますっ」
「行きますっ」
「「……行くのか」」
「……」
「男共っ! さっさと付いて来なさいっ」
「ルー行くよ―!!」
颯爽と歩くミネルバの隣を楽しそうにセレナが付いて行く。
「ルイス達は、元々は何しに来たの?」
「………レナの買い物」
「結局、荷物持ちなんだな」
そんな日常
―――――――――――――――――――――――――――――――――
待っていた方いたらすみません(;´Д`A ```
予約投稿したら、日にち間違えてましたっ!!
年末に向けて何が忙しいんだかわかんないけどバタバタと忙しくなってきました。
気がついたらいろいろやらねばならない…やばいです。
年内の投稿は、少々遅れがちになるかもです。
赤みがかったレンガ調の四角い造りの可愛らしいお店。店内はガヤガヤと人が賑わっている。セレナは店内を見渡し賑わっている席を避け、テラスへ向かった。テラス席にでると丁度陽の光が差し心地よさそうだ。
隣とに敷地の境に植えられた木々の脇のゆったりとした席に着くと、テーブルに置かれたメニューを眺める。
「ルーは、どれにする?」
「んーあんま甘くないのがいいけど、レナが食いたいもんでいいぞ」
「やったぁっ」
思った通りのルイスの返答にセレナはにんまりと笑みを作る。
セレナとルイスは幼い頃から幾度も食事を共にしてきた。互いの食事を味見し合うのも、良くある事だ。そこでふたりの中で暗黙の了解ができていた。食事のメニューはルイス優先。スイーツはセレナの意見が優先なのだ。
今日のパンケーキは朝食で食事扱いだったが、ルイスの中ではスイーツの括りなのだろう。満面の笑みで喜ぶセレナに、ルイスは真朱色のつり目を細め笑い返した。ふよふよと漂う透明の羽を生やした妖精姿の乙女が楽しそうに二人の頭上で旋回している。
「えっと……じゃあねぇ……」
メニューと睨めっこするセレナの真剣な様子に、ルイスも笑みを浮かべて横から覗き込む。セレナの金髪の上から一緒にメニューを覗き込む小さな妖精も、スイーツのメニューには興味津々のようだ。
『スピカは、どれがいいと思う?』
『姫っ 1つは、フルーツたくさんのったやつにしない? 』
『そうねっ…ああっ! でも、ミックスもいいけど、ベリーのとマンゴーのもいいわね…悩むわぁ』
『じゃぁ先にもう1個を決めてから悩みましょ?』
『1つは、苦味の強いビターショコラマウンテンバナナのせにしようた思うんだけど……』
『そうねっルーにはそれくらいが丁度良さそうね……姫っ姫っレモン風味のヨーグルトチーズソースシトラスのせってのもいいんじゃない? 』
『あっほんと、それも甘さ控えめかあ…しかも、チーズを生地に練り込んであってスフレパンケーキだってっいいねっ美味しそうっ!!』
『悩むわねぇ』
『悩むわねぇ』
“ゴンッ!!”
金髪の娘と妖精が揃って眉間にしわを寄せて悩んでいるところへ、その音が響いた。そして続く音。
“きゅるるるるるるぅ”
視線を向ければ節くれだった手で自らの腹をなでるさするルイスがテーブルに額を乗せていた。
「腹減った…」
「あはははっ ごめんごめん」
給仕を読んで頼んだものはビターショコラマウンテンのシトラスのせと、季節のフルーツヨーグルトチーズパンケーキホイップ増し増しだった。メニューの端にあったミックスサンドと、珈琲とカフェラテも忘れてはいない。
給仕が注文い受け去ってからも、まだメニューを眺めて唸る二人にルイスは呆れた声をかける。
「…んな何個も食えねぇだろ………んなら、土産にしてもらえば? 」
「……そっかぁ、そうだよねっ スピカもおうちでゆっくり食べたいよねっ… お土産買って行こうか」
『あら、ここでも少しもらう予定だけど、嬉しいわっ』
いい子いい子とまるで小さな子供をあやすように褒めるようにスピカがルイスのボサボサの朱色の髪を撫でる。その光景をセレナも優しい目で楽しそうに微笑んで見つめていた。ではお土産は何にするかと再び盛り上がっていたところへミックスサンドが届く。ルイスが半分以上を、残りをセレナ。そして、ルイスの懐に潜り込んだスピカが『味見よっ』とサンドイッチにも少しだけ齧り付く。
他から姿が見えないスピカは、人の目がある処で食事をすることはあまりない。空中で食べ物が突然消えたら騒ぎになってしまうだろう事は簡単に想像できる。妖精の仕業だと言っても妖精自体、珍しいのだ。人が集まり、悪い奴がいれば妖精を捕まえようとつけ回される可能性もある。表で見えないところ裏社会では捕まえた妖精は、闇で高値が付くとも言われているのだ。もちろんそんな輩は簡単に蹴散らせるだろうが、少々面倒なのだ。
そもそも大気に溶ける魔力を糧にする星獣達は食事は必要ない。だが味覚はしっかりある。なので、個々の楽しみとして食事を口に運ぶのだ。その為に人と契約する妖精がいる位なのだから、星獣や妖精の食欲も侮れないものだ――。
そして今まではセレナと2人では難しいかったが、ルイスが一緒だとこうして隠れてスピカが味見するくらいはできるのだ。
サービスでついてきたグラスの水をルイスが飲み干すと、パンケーキが2つと飲み物が一緒に運ばれてきた。
「美味しそうっ!!」
『かわいいっ』
「食いもんにかわいさは関係あん…のか…あるんだな…」
一斉に向いた2人からの厳しい視線にルイスは失言をすぐに訂正した。暫くパンケーキを楽しんでいると、通りの向こうから品のいいワンピースを身に纏ったお嬢様が歩いてくる。傍らには、付き人のように淡い色の綿のシャツに同色ベストとトラウザーを合わせた男性ふたりも一緒だ。
とっても見覚えがある面子だ。3人が目に入ると、あからさまにルイスの眉間に皺が寄ってしまう。
「チッ……」
そして大きく吸った空気を、一気に口から吐き出した。
「あらっ セレナっ!!」
「「セレナさんとルイスっ」」
小さな白い手を口の高さであわせ、目をキラキラさせる黒髪のお嬢様ミネルバは、こちらに駆け寄ってくる。その後ろで双子のように声を揃えたミネルバの弟であるティモシーと獣人のラルフも、ゆったりと歩いてこちらに来るようだ。
当たり前のように同じテーブルの席に着き3人は各々のパンケーキを頼む。
「こんなところでセレナと会えるなんてっ これはもう運命ね!! ちょっとそこの給仕、こちらの注文もお願いしますわ」
「ミニー、さっき振りね?」
会えて嬉しいと笑い合う娘ふたり。ミネルバ達は普段着なので一度部屋に戻って身支度を整えたのだろう。ただよく見れば魔導騎士団のマントは腕に抱えている。それに引き換えセレナ達は仕事着のままだ。
それに納得のいかないミネルバは、この後一緒に買い物にいこうとセレナを誘っている。楽しそうに嬉しそうに受け答えをするセレナはその誘いを断ることは出来ないだろう。
「へぇ…ルイスも彼女と一緒ならこんな店くるんだなぁ…」
「……」
感心した様に呟いたのはウルフ。その表情は満面の笑みだ。セレナと共に行動する事で、ルイスの魔導騎士団の中でも印象が変わってきていた。他人との行動を避け、寡黙でいて、膨大な魔力と魔法を使い、何を考えているか判らなかった――切れたら何をするかわからない奴――だったのが、今ではただの世話好きで心配性のセレナの騎士の様な人。即に同じ勤務体の団員はそんな認識である。
「普段は、甘いもの食べないのになっ」
「……」
呆れた顔を向けるのはルイスの従弟という事になっているティモシー。チラリと2人を見た後ルイスは何でもない様にフォークをとった。5人に囲まれれば他から見えないとテーブルの中央に陣取ったスピカに向かって、切り分けた彼女の体半分ほどの大きさのパンケーキを差し出し。自分も残りのパンケーキを口に運んだ。
『ありがとっ ルー』
恵美を向け礼を言うスピカにあた間を人さし指でぐりぐりと撫でるルイス。ルイスに応える気がないのだとラルフ達が諦めたように息を吐くと、ポツリと低い声が聞こえてくる。
「これは、甘くないぞ…」
ポツリと返答したルイスは黙々とパンケーキを口に運ぶ。そして、半分食べたところでフォークを置いた。ミネルバと楽しくおしゃべりしながらも聞き耳を立てていたセレナは、おかしそうにルイスの目の前にある皿と自分の皿を入れ替えた。
「あははっ 確かに、ルーは甘いもの得意じゃないから珍しいでしょっ でもねっ特別に甘いソースは別添えにしてもらったんだよっ」
自分の前にセレナから廻ってきたパンケーキをまたスピカに分けてから黙々と食べ始めるルイス。今度はフルーツたっぷりなのでそれもスピカの為に分けて皿の端に置いてある。
『あらっ このヨーグルトソースも甘すぎなくていいわねっ』
「……そうだな」
スピカの声にルイスは静かに答える。そんな様子を目にしながらウルフとティモシーも自分の頼んだパンケーキを口に運んだ。
『あら、ラルフだっけ? 貴方のはタルトなのねっ』
「あ…ああそう 僕もあんまり甘いの得意じゃなくってね……僕もソース別添えっての? してもらえばよかったかな…」
タルトにのせられたベリーをつまんでスピカに渡しながら、ラルフが言うとそのさらにヨーグルトソースのパンケーキがひとかけら置かれた。
「……食ってみろ」
「あっ ありがとう」
驚いた顔でルイスを見た後ラルフは分け与えられたそれを口に運ぶ。その味に満足してラルフが頷くのを見ると、次はティモシーの皿にヨーグルト味のパンケーキが乗った。その様子についついラルフ達の顔に笑みが浮かんでしまう。
「食え」
「ティム うまいよっ」
こちらも驚いた顔だが、食べる前に動いた口は違う言葉を発する。
「何でラルには『食ってみろ』でオレには『食え』なんだよっ」
「……食わないのか」
「食うけどっ」
ルイスに分け与えられた分を口にはこびティモシーは自分の皿をルイスの前に持ち上げた。
「食え」
「……甘いのは遠慮する…」
甘党のティモシーの皿には甘そうなソースがたっぷりかかったパンケーキが乗っていた。
「くくっ…」
「ふふっふふふっ」
賑やかな食事を終え席を立つ5人。人前ではと姿を消したスピカはルイスの頭の上で眠ってしまっている。
「ではそういうことで、これからセレナの服を買いに行きますっ」
「行きますっ」
「「……行くのか」」
「……」
「男共っ! さっさと付いて来なさいっ」
「ルー行くよ―!!」
颯爽と歩くミネルバの隣を楽しそうにセレナが付いて行く。
「ルイス達は、元々は何しに来たの?」
「………レナの買い物」
「結局、荷物持ちなんだな」
そんな日常
―――――――――――――――――――――――――――――――――
待っていた方いたらすみません(;´Д`A ```
予約投稿したら、日にち間違えてましたっ!!
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