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冥くて昏い地の底に眠るモノ
さん。『人が変わったというよりは、戦闘用に心をも鎧っているのだろう』──心をも鎧って、戦闘に身を投じるキールさんは強さ倍増です
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「人が変わったというよりは、戦闘用に心をも鎧っているのだろう」
──心をも鎧う
ギレウォッタさんの言葉を、心の中で繰り返し、噛み締める。
いつもは紳士的で、弱き者のために身を呈して、戦いに投じるキールさん。その優しい人柄では、魔物と対峙した時に弱さが出て怪我をしたり、大切な人を守れなかったりしないように、戦闘中だけ、戦いに向いた考え方に意識的に変えて、強さを保つ、と言う手段なんだね。
「へええ? なるほど案外いけるな。剣圧と闘気ね。
わ……俺は、妖精魔法も派手な攻撃魔術も使えないが、こういう方法なら、攻撃力に加算できそうだ」
一人称まで、私から俺に変わってる。徹底してるなぁ。
何度フィルタさんとキールさんに細切れにされても、元通りになって、少しづつ近づいてくる溶岩魔人。
でも、1000℃前後で燃え盛りながら何体も迫ってくる割に、そんなに熱くないなぁ? もっと熱気が来てもいいような気もするけど。
「1000℃もあるように思えませんね。見かけだけで、実際には100℃くらいなんですかね?」
「そう思えるのは、琥珀ちゃんだけだと思うよ?」
見ると、みんなすごい汗をかいている。
「私の術も効きは悪いけど、あの熱を半減以下に抑える事はなんとか、熱遮断バリアが効いてるみたい?」
アネッタさんも汗だくで、魔道士ローブが体に張り付いて、セクシー度が上がっている。
半分でも500℃以上だ。触れられたら火傷で済まないかも。
でも、どうして私は暑さを感じないんだろう? みんなあんなに汗だくなのに……?
〈ソリャ、俺サマノオカゲダナ!〉
私のイチゴのポーチから、サラピーちゃんの声がする。
「サラピーちゃん? サラピーちゃんのおかげって?」
サラピーちゃんのおなかを摑み、そのままポーチから引きずり出す。私の手の中でジタバタするサラピーちゃんはとても可愛いけど……
「サラピーちゃん? なんか、太ってない?」
私の指でそっと握っていい感じだったのに、今は胴体を摑んだらぱんぱんである。
〈太ッタンジャネェ‼ あれノ熱ヲ喰ラッテ、大キクナッタト言エヨ。元々ノ大キサマデマダ足リネエ〉
「コハクちゃんの周りの熱気と、アレの燃える熱量を食べて、回復を図ってるんだな」
〈アンナチッセエ火ジャマダマダ足リネエケドナ。オ前ラ、感謝シナ! コノ俺サマガ、アンナヤツ喰ッテヤッカラヨ〉
お口は悪いけど、いい子だなぁ。
〈オ前、イチイチひとこと多イナ〉
ため息のあと、サラピーちゃんは、キリッと眼をキツく眇め、溶岩魔人を睨む。
〈オ前ラ程度ノ雑魚ドモニ、ゴ主人様ヲ消シ炭ニサレル訳ニァイカネェンダヨ!! カカッテキナ! マトメテヤッテヤンゼ〉
〈あ、今、認めたな? 『ゴ主人サマ』って〉
〈チゲーワ‼ 勢イダ勢イ。言葉ノアヤッテヤツダロー〉
ケルピーちゃんに指摘されて、せっかくキメ台詞を投げてたのに、しまらないサラピーちゃんだった。
「人が変わったというよりは、戦闘用に心をも鎧っているのだろう」
──心をも鎧う
ギレウォッタさんの言葉を、心の中で繰り返し、噛み締める。
いつもは紳士的で、弱き者のために身を呈して、戦いに投じるキールさん。その優しい人柄では、魔物と対峙した時に弱さが出て怪我をしたり、大切な人を守れなかったりしないように、戦闘中だけ、戦いに向いた考え方に意識的に変えて、強さを保つ、と言う手段なんだね。
「へええ? なるほど案外いけるな。剣圧と闘気ね。
わ……俺は、妖精魔法も派手な攻撃魔術も使えないが、こういう方法なら、攻撃力に加算できそうだ」
一人称まで、私から俺に変わってる。徹底してるなぁ。
何度フィルタさんとキールさんに細切れにされても、元通りになって、少しづつ近づいてくる溶岩魔人。
でも、1000℃前後で燃え盛りながら何体も迫ってくる割に、そんなに熱くないなぁ? もっと熱気が来てもいいような気もするけど。
「1000℃もあるように思えませんね。見かけだけで、実際には100℃くらいなんですかね?」
「そう思えるのは、琥珀ちゃんだけだと思うよ?」
見ると、みんなすごい汗をかいている。
「私の術も効きは悪いけど、あの熱を半減以下に抑える事はなんとか、熱遮断バリアが効いてるみたい?」
アネッタさんも汗だくで、魔道士ローブが体に張り付いて、セクシー度が上がっている。
半分でも500℃以上だ。触れられたら火傷で済まないかも。
でも、どうして私は暑さを感じないんだろう? みんなあんなに汗だくなのに……?
〈ソリャ、俺サマノオカゲダナ!〉
私のイチゴのポーチから、サラピーちゃんの声がする。
「サラピーちゃん? サラピーちゃんのおかげって?」
サラピーちゃんのおなかを摑み、そのままポーチから引きずり出す。私の手の中でジタバタするサラピーちゃんはとても可愛いけど……
「サラピーちゃん? なんか、太ってない?」
私の指でそっと握っていい感じだったのに、今は胴体を摑んだらぱんぱんである。
〈太ッタンジャネェ‼ あれノ熱ヲ喰ラッテ、大キクナッタト言エヨ。元々ノ大キサマデマダ足リネエ〉
「コハクちゃんの周りの熱気と、アレの燃える熱量を食べて、回復を図ってるんだな」
〈アンナチッセエ火ジャマダマダ足リネエケドナ。オ前ラ、感謝シナ! コノ俺サマガ、アンナヤツ喰ッテヤッカラヨ〉
お口は悪いけど、いい子だなぁ。
〈オ前、イチイチひとこと多イナ〉
ため息のあと、サラピーちゃんは、キリッと眼をキツく眇め、溶岩魔人を睨む。
〈オ前ラ程度ノ雑魚ドモニ、ゴ主人様ヲ消シ炭ニサレル訳ニァイカネェンダヨ!! カカッテキナ! マトメテヤッテヤンゼ〉
〈あ、今、認めたな? 『ゴ主人サマ』って〉
〈チゲーワ‼ 勢イダ勢イ。言葉ノアヤッテヤツダロー〉
ケルピーちゃんに指摘されて、せっかくキメ台詞を投げてたのに、しまらないサラピーちゃんだった。
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