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冥くて昏い地の底に眠るモノ

よん。『サラマンダーがカッコをつけようとも、個人の意思があるのかも怪しい溶岩魔人には効果はなさそうである』──サラマンダー大活躍再び

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     🎯

 サラピーちゃんがカッコをつけようとも、物を言わない──個人の意思があるのかも怪しい──溶岩魔人には効果はなさそうである。
 ただの土塊つちくれが燃え盛り、崩れても破片が集合して再び形成されて来るだけで、こちらの物理攻撃が効いてるふうはない。

〈カッコつけた分、より一層カッコ悪いな?〉
〈タカガけるぴーノクセニ、俺サマニ恨ミデモアルノカ?〉

 私に胴体を握られたまま、短い手足をジタバタさせてケルピーちゃんに向かって悪態をつくサラピーちゃん。可愛いなぁ。

〈特に恨みはないが。だが、二人仲良く(?)大精霊ジャック・フロストに踏まれるまで、敵対していたはずだがな?〉
〈俺サマノ唯一ノ大黒星ヲ! 傷口ヲエグルナ~? オ前〉
〈本当に、唯一なのか?〉
〈俺サマハ今日マデ負ケ知ラズダ!!〉

「どこまで続ける気かな? この緊迫した空気を壊してくれてありがたいけど、さっきより包囲網がせばまってきてるんだけど、サラピーちゃん、何か秘策があるの?」

 いかにも俺様の出番だと言わんばかりに偉そうに言っていたはず。

〈ソウダッタ。ウマシカけるぴーヲ構ッテヤッテル場合ジャナカッタナ〉
〈うましかってなんだ。我は、馬でも鹿でもないぞ? 海馬の大妖精だからな〉

 仲いいな~

〈スグ脱線スルカラ、たつのおとしごチャンハ黙ッテぽんぽんヲオ水デ膨ラマシテナ〉

 そう言うと、お口をカパッと開けて、少し息を吐き出した後、ものすごい勢いで息を吸い込む。
 ん? 精霊のサラピーちゃんが、物理的に息を吸い込むの? と思った瞬間、周りにいた何体もの溶岩魔人の燃え上がる炎がパッと消えた。
 目が痛いほどに明るかった炎が消えて、元の薄暗い地下に戻る。
 じわじわと紅炉のようにオレンジ色に熱を持っていた溶岩魔人が茶色く、赤黒く、どんどんその熱を落としていくのがわかる。

「す……ごい。サラピーちゃん、何をしたの?」
〈アイツラノ、燃エル炎ヲ喰ッテヤッタ。火デ攻撃シテモ熱ヲ加エテヨリ炎ガ強クナルダケダカラナ。ナラ、ソノ火ヲ奪エバ燃エナクナルダロ?〉

 水ヤ氷ヲブツケルコトハ俺サマニハ出来ナイガ、コト火ガ相手ナラ、足スモ奪ウモ思イノママダ!

 そう言って、私に握られたまま胸を張るサラピーちゃん。
 サラピーちゃんが奪った熱が溶岩魔人の魔力の元なのか、フィルタさんやキールさんが剣圧で壊しても、再生しなくなった。
 そうなると、彼らの独壇場である。
 動いの遅い溶岩魔人は、魔力のこもった物理攻撃を繰り出せるなら、私でも当てられる巨大なまとである。

 そう長くかからずに、どの溶岩魔人も冷たい土塊つちくれに戻って、戦闘は終了した。







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