上 下
261 / 276
アレフ達と別れてから初めてのダンジョンです!

じゅうご。『ケルピーちゃんが、サラピーちゃんに喧嘩を売るような事を言い出した』──まあ、喧嘩するほど仲がいいっていうよね?

しおりを挟む
     🔥

 ケルピーちゃんが、サラピーちゃんに喧嘩を売るような事を言い出した。

〈貴様⋯⋯ タカダカ海馬ケルピーゴトキガ、コノ俺様ニ喧嘩ヲ売ッテルノカ?〉

〈その、たかだかケルピーごときにも出来る、仮主の魔力を受けとる事が、自称ヽヽ聖なる熾火サマに出来ないとは、笑いを通り越して、呆れる話だな?〉

 そのまま、水棲妖精と焰の精霊との喧嘩になる。

 私には熱を感じない炎を噴き上げ、激しく揺れながらケルピーちゃんを睨みつけ、宙に浮くサラピーちゃん。
 対して余裕があるのが、チットちゃんの背中に半分埋まった瓶の中から、ちょこんと顔だけ出して馬のいななきのような笑い声を上げるケルピーちゃん。

 この馬の嘶きのような笑い声、ウヒヒヒヒーンが、これまた妙に莫迦にされてる感のあるカン高さで、サラピーちゃんの炎はますます高く大きく噴き上がる。

 ボッ ボッ ボボッ

 まわりの灌木の枝の先や、小石の先端などに、火が点っていく。

 基本的に、能力値やランクが同じであれば、肉体を持ち妖精魔法を扱う妖精よりも、元素の力・精気そのものの精霊の方が上位種である。
 妖精が、火の魔法を使うとする。上位種の精霊が、魔素に働きかけ、魔法の効果を無効化・発動を阻害すれば、魔法は不発になる。

 対魔法戦では、圧倒的に精霊の方が有利なのだ。

 サラピーちゃんの怒気に反応した火精や火霊が暴れ出し、火のが舞い始めるが、ケルピーちゃんが飛ばした水球が、ひとつふたつと消火していく。

 両者の睨み合いがそのまま続くかと思われたけど、突然の闖入者により終了することになる。
 ケルピーちゃんのお水じゃない何かが飛び込んできて、サラピーちゃんの焰を集めて行くのだ。

 一見、ただのちょっと大きい試験管。

 コルクの栓はついておらず、サラピーちゃんのまわりに浮かぶ火精の塊を吸い込んでいく。

〈ほら、仮主。向こうから来てくれたぞ?〉

 どうやら、試験管は、くだんの錬金術士が放った魔族とのキメラで、その試験管の後ろに佇む巨大な獣が、この下層フロア管理者ガーディアンだろうか。

 チルちゃんの【鑑定】スキルが連動して、その巨大な獣のそばに文字として浮かんだ。

 *****

ベヒモス

❈種族❈
 魔族(巨獣)  属性:地・魔
❈称号❈
【食す者】無限に食べ尽くす
【飲む者】何でも飲み込む
❈能力値❈
HP:特大(人間に比べて)
MP:大
膂力:大
体力:特大
魔力:中
精気: 大
気力: 小
運気:小
❈技能❈ 
【力溜め】力をためて一気に放出する
【咆える】魔素を含んだ咆哮で能力値を上げる

 *****

「ベヒモスって魔族なんですね。魔獣とか神獣とかかと思ってました」
「信仰する神によって、対象が神にも魔にもなるんじゃない?」

 山猪のような短く硬いたてがみが背中まで伸び、細かく短い毛に覆われた肩の張った大きな身体は、前に曲がって伸びた鋭い角も相まって、牛のようにも猪のようにも見えた。





しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

毒花令嬢の逆襲 ~良い子のふりはもうやめました~

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:136,159pt お気に入り:1,923

スマイルØ🇬(ゴールド) ~時も沈黙も力も金なり!?💸~

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:35

運命の相手は私ではありません~だから断る~

恋愛 / 完結 24h.ポイント:14,689pt お気に入り:984

死んだ日の朝に巻き戻りしました  ら、溺愛生活がリスタート?

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:35pt お気に入り:1,996

契約結婚しましょうか!~元婚約者を見返すための幸せ同盟~

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:27,528pt お気に入り:641

ヒロインなんかじゃいられない!!男爵令嬢アンジェリカの婿取り事情

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:1,391pt お気に入り:2,108

身代わりの私は退場します

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:134pt お気に入り:4,374

処理中です...