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Ⅰ.納得がいきません
20.……目立たないって難しい④
しおりを挟むどうしよう…… 親切にしてもらって、気を抜きすぎて、この世界においての子供としては怪しい感じを出しちゃった。
魔法と魔術、言葉の違いでそう変わらないと思ってたのは、現実に魔法なんかない日本人の感覚で、この世界では常識だったのかな……
「そんなに怯えなくても、「識らない」事を、それだけの理由で怒ったりしないよ。
……リリティス、わたしはそんなに怖いかな?」
「多くの部下に鬼将軍と呼ばれる程度には」
眉を下げて私を見るカインハウザー様と、ニッコリ微笑んで即答するリリティスさん。
「ゴメンナサイ。私の育った地では、魔法を使う人は極々限られた人で、一般人は手品とか仕掛けやカラクリだと思ってて……」
「ふむ。遥か東の地に、魔力はあるのに、魔術も神技も使わないで自然環境に依存した生活をしてる民族が居たかな」
「確かに、肌の色も象牙色から黄土色や薄黄色、桃色や薄赤色など、やや色素の濃いめの人種が多かったかと記憶してます。髪の色も濃いめの……」
2人がジッと見てくる。うう。東洋人っぽい外見の人が多い地域なのかな?
「我々と比べて、年齢が解りにくい小柄な人が多いって話だったね」
「実年齢より若く、ちょうどシオリのような……」
ジーッ
「リリティスさん。私が実年齢の14歳より若く見えるって言ってます? もしかして」
「ふふふ。最初声をかけた時は、10歳くらいかなって」
悪びれずスバッと言ってくれました。
「身長も成人間近にしては小さ……可愛らしいし、表情もあどけな……愛らしいから、供の者とはぐれた子供なのかと心配して声をかけさせたんだよ」
カインハウザー様、全く隠せてません。それともわざとですか? 私が、この辺の人達から見て子供っぽいと言ってますよね?
「まあまあ、そうむくれないで、ますます子供っぽく見えるよ?
気を取り直して、魔術講習会だ」
*****
魔法と魔術。似てるけどだいぶ違うらしい。
神殿で召喚された時に刷り込まれた知識には詳しく分類はされてなかった。
多分、彼らも、神官の使う神技や、神の奇蹟を代行する巫女の神通力や霊験には詳しくても、その他の魔道は一般人も使える日常魔術程度の知識しかないのだろう。
『魔法』魔力やマナの法則の事で、聞いた感じ、科学に近いと思う。
決まった法則があって、火の精霊の行動を抑えるのに、水の精霊を干渉させたり、風や大気の精霊に力を奪わせたりする。
でも、その力や法則に、人間や魔属(魔獣や亜人と呼ばれるマナに依存した生命体で、息をするように魔術を使うらしい)が、魔力を持ってその営みに干渉することは出来なくて、自然界でランダムに一定の法則に則って繰り返されているのだそう。
この「法則」を、特定の精霊に外付けで擦り込んで、固定した物が『魔法』
火の精霊が宿る竃があるとする。決まった動作やキーワードで、一定の決まった熱量で加熱する。でも、火を大きくしたり、竃の外に持ち出したりは出来なくて、その火の精霊はだだそこに居て、決められた加熱をするか中断するだけ。誰が決めたのかはもうわからないのだそうだけど、何千年か昔からその竃はそこにあって、壊すことも移動させることも出来ないそう。
煉瓦を崩して移設しようにも、カラカラと組み上がって元に戻るのだとか。
今まで見た村の竃が外にあったのって、それでなのかな。
竃に合わせて屋根をつけたりはしないのかな? と思ったら、竃にいる精霊が、閉鎖空間を嫌がるのだそう。竃自体が閉鎖的で狭隘な空間なのはいいのかな? 火が燃えると酸素を使うから、外へ開放感がないとだめなのかな?
これも、単に火の精霊の性質、好き嫌いで、狭いところは嫌いなんだって。
こういう、誰も干渉したり上書き変更したり出来ない魔道の法則は、今は姿を見せなくなった太古の神様が決めたんじゃないかって言われてるらしい。
「でも、原始の人達は、神の姿と力を模倣して生まれ、魔法を操ってたって噂もあるのよね」
「わたしは、母が、精霊を視たり会話したりする力を持っていて、まあ、これは秘密なんだけどね」
「えっ!? それを私に話してもいいんですか?」
綺麗にウインクして話してくれるカインハウザー様。秘密って、どれくらい秘密なの? 知られても「アレ言ってなかったっけ?」レベル? 誰にも言っちゃいけない、知られると大変な事になるレベル?
「ん? シオリは、あちこちで言って歩いたりしないだろう?
勿論、わたしが精霊を視たり彼らの話し声が聴こえる事は内緒だよ?」
そ、ソレハトテモ重大ナ秘密デスネ?
血の気が引く私を微笑みながら、頭を撫でてくれる。
「まあ、精霊や妖精を視るだけなら、魔力の強い人や魔力操作の上手い人ならわりと居るよ。干渉したり会話したりする人は滅多に居ないけどね。
わたしが視る者だとは、軍部にも、身近にいた者なら何人かは知ってる。が、彼らの内緒話を聴いたりお願い事をしたり、特定の精霊を呼びつけたり出来る事は、リリティスとシオリ、君しか知らない。領主館の使用人達も知らない。執事は或いは察しているかもしれないが、口にはしないので、こちらも察しているとは知らないフリをしている」
ハイ、爆弾発言いただきました。
「精霊術士はごく少数だけど居る。が、大抵は、国や大貴族のお抱え魔道士だ。少ないから、希少価値あるものを大金で囲ってしまうんだね。
一般人の使う日常的な魔術も、精霊が営む「魔法」を、魔法陣や呪文でその一部を取り出して使う物なんだ。
魔法陣や呪文にある文字やキーワードで、精霊が従わなければならない「法則」を呼び出して、仮固定する技術だ」
『魔術』は、技術。開発研究で向上したり飛躍発展したりする。
『魔法』は自然界の法則。どんなに頑張っても一部を変えたり上書きしたりする事は出来ない。
「で、その技術である魔術は、効果を出すために必要なエネルギーが、大気や大地に満ちたマナや、使う人の魔力と少しの霊力」
昨夜、湯殿で使ってた、静電気を纏った水蒸気の塊を、リリティスさんが見せてくれる。
「マナ──自然界の生きとし生けるものすべてを包み込む生命の絆の力を少し取り出して精霊達の気をひき、魔力を活力に変えて効果や範囲威力を決めると、僅かな「自分」を構成する霊力を起爆剤に術を発動させるの」
こ、これは……
『魔術』は、私から見ればファジーでファンタジーなものなのに、実際にはその原理を理解するのや発動技術に、物理や自然科学的な知識が必要なのでは?
「実際、大魔道士って呼ばれる人達は、本が好きで勉強が好きで、好奇心旺盛で何事にも深い興味をもって1つのことに没頭できる、とても勤勉な人が多いかな?」
「興味のない事には無頓着で、協調性の欠片もない偏屈変人が多い も付け足した方がいいんじゃないかしら?」
過去にそんな人と何かあったのか、リリティスさんの目が笑ってない……
「で、シオリに言っておくけど、魔術でもって、魔道で強制的に精霊達を使役する、精霊術士は少なくてもそれなりに居るけど、精霊に好かれ、精霊と会話し、精霊に直接働きかけられる精霊使いは、生まれた時、或いは特性が発覚した時点で、周りから大切に隠匿されて、その存在は公には確認されていない……事になってる」
「なってる?」
「まず、精霊術士が手元に居れば、精霊に感知させる事は可能だからね。なにせ精霊に好かれる体質だから。ほっといたって精霊が集まる」
なるほど。魔法の縛りもないのに異様に精霊が集まってて、楽しげにしてる特定地点には、精霊に好かれる体質の人がいる可能性が高い訳だ……だ?
「あれ? じゃ、精霊に好かれる体質の人がいる場所は、精霊術士さんには見つけられる?」
「基本的にはね。だけど、シオリ、君は、大神殿や王家に見つかりたくないと思ってるだろう? その気持ちを精霊達は察して、君をいろんな魔術から隠蔽してる。だからこそ、精霊を視られるわたしからしたら異様な光景だったんだけども」
私って、めっちゃくちゃ不審人物なの?
「精霊を視る者からしたら、精霊達に居心地がよくてつきまとわれる君は、大精霊使いか、精霊の巫女に見える事だろうね」
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次回 Ⅰ.納得がいきません
21.ここはどこ? 目立たないって難しい⑤
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