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Ⅲ.女神の祝福を持つ少女たち
22.オトコの立場
しおりを挟むシーグに手を引かれ、露天商が道の両側に並ぶ区画へ入る。
露天商と言っても、私が昔見た、小学校の校門から塀をまわっていくとたまに居る、茣蓙の上に玩具の指輪やペンダントを並べたものや、羽根の色を染めたヒヨコを売っている怪しい商人とは違って、木の展示台に物をきちんと並べ、撥水布の天幕を張った、簡易店舗である。
引き合いに出して言うのになんだけど、最近は、ああいう露天商見なくなったな。
母の身体を気遣って買った事はないし、買いもしないのに居座ると商売の迷惑になるからあまり長居は出来なかったけど、色とりどりのヒヨコやオモチャ、ミドリガメをあきずにずっと見るのは楽しみだった。
いつもなら図書室にこもるのだけど、露天商が来た時は、みんなが騒ぐので判る。
同様に、飼ったらどうなるのかも。
カラーリングされたヒヨコは、みな白色レグホン(鶏)のオスになって、毎朝けたたましく鳴き声をあげ、近所迷惑になるとか。
(※日本のヒヨコ選別職人は優秀で、滅多なことでは間違わず、世界でも引く手数多の人気高給取りなんだとか)
ヒヨコの時はピヨピヨと可愛いのに、成長すると両手に一抱えほどもある大きな鶏になる。オスなのでタマゴもうまないし、気が強くてあまり愛らしくは懐かなくて、結局は持て余すのだとか。
今は可愛い五百円玉くらいの綺麗な緑色の亀だけど、あっという間に10㎝以上になって、大人になると黒々しいとか、実はミシシッピ赤耳亀と言って外来種だとか、日本のイシガメやクサガメと違って冬眠はしなくて、飼いきれなくなった子供がお寺の池に捨てるので交雑してしまう上、冬眠せずにどんどん大きくなる彼らの方が強くて繁殖力があって、日本固有種の絶滅危惧の問題を起こしてるとか。
みんなが教えてくれるので、飼ったことはないけど買わなくても想像で楽しんでいた。
「楽しそうだな? シオリ」
「うん。楽しい。こうやって、誰かと店先をひやかすの、憧れだったの」
下校時間まで図書室にいて、暗くなる前にスーパーに寄って、日用消耗品の買い足しや食材の調達をして、帰宅後家族のために夕食を作る。
子供らしい遊びや楽しいことはついぞした事がなかった。
「そうか。俺とが初めてか」
シーグは嬉しそうに照れ笑いをする。
「お嬢ちゃん達、初々しいねぇ。どうだい、なんか買ってきなよ」
「彼氏ぃ、いいもん買って、彼女に漢をみせな」
商売人と言うものは、異世界でも、そうは変わらないのかも知れない。
商魂たくましいオジサン達が、シーグにあれこれ勧める。
「あ……ああ、ソウダナ」(なぜかカタコトに)
いつもは堂々として元気なシーグも、圧され気味だ。
《違うワヨ。それもあるかもダケド、シオリにナンにも買ってあげられないのがツラいんでショ。漢を見せろまで言われちゃぁネェ》
クククと笑うサヴィアンヌ。
そうか。ずっと狼として、森で暮らしてたのだもの。服の用意もなかったし、きっと、おカネだって持ってないわよね。
「シーグ、これ……」
周りの人には見えないように、お金を少し手渡す。
「旅に必要な物を買って。まずは、荷物を纏める袋かしら」
私達には、サヴィアンヌがいる。大きな荷物は、妖精郷に造った倉庫にしまえばいい。
でも。サヴィアンヌに訊いてみた。
「ねぇ、サヴィアンヌ」
《ん?》
「この世界では、収納とかアイテムボックスとかマジックポケットとかインベントリとか、そういう、物をしまえる魔法って、けっこうみんな使ってるもの?」
私が倉庫に物をしまったり、手荷物が少なく旅をしているのは、まわりから見て、普通なのか特殊なのか……
《ワタシだからこそノ、特別ネ。ハウザーでそういう能力持ってる人、見た事ないデショ?》
もしかしたら、そういう魔法を持っていても、隠しているのかもしれないけど、見たり聞いたりした事はない。
本だと、空間魔法とか特殊技能とかでよく見かけたけれど、現実世界(異世界だけど)では、ない能力なのだろう。
同様に、空を飛んでる人もいないし、瞬間移動や空間を曲げてワープみたいなのも聞かない。
「じゃあ、やはり内緒の方がいいのね」
目をつけられたり、掠われたりしたら困るものね。
《……もう遅いんじゃナイ?》
「目をつけられるな、という点なら、今更だな」
なぜ? と聞くまでもなかった。
「お嬢さん、凄いね。そんなに大きな精霊や妖精を連れてるのかい?」
勿論、サヴィアンヌが、等身大、とかって意味ではない。妖力が『大きい』だ。
元々妖精は、精霊眼を持っていなくても、魔力の多い人、勘のいい人なら見る事が出来る。触れる人もいる。
アリアンロッドは、私が核になる霊気を提供し、名づけて個性を固定した精霊なので、精霊術士の使役精霊と同じように、他人にも見える。
精霊術士の少ないこの国で、サヴィアンヌやアリアンロッドを連れていることは、それだけで目立つのだった。
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更新が途切れ途切れで申し訳ありません
生きてます
いつもファンタジーと恋愛の境界の曖昧な作品ばかりで、どちらにカテゴリしたらいいのか迷うのですが、
ファンタジー大賞に新作をエントリーしました
『幸運のスニャイムと遊び人Lv.1』です
マジックアイテムだけで冒険を続け、自力ではなにも出来ないので経験値が入らず、ずっと遊び人Lv.1のままの少女が主人公です
よければご一読くださり、お気に召しましたら、応援メッセージなどお願いいたします
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