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👿私は『天使』で『悪魔』な悪役令嬢?
✡2 2つの顔を使い分ける私
しおりを挟む物心ついた頃には、まわりにちやほやされていた。
「本当に可愛いわねぇ」
「天使みたいだわ」
「黄金に輝いて、仕草もとっても可愛いわ」
──『可愛い』は特別で、とってもいいことなんだ
そう学ぶのは、言葉が達者になるより早かった。
七つと五つ年上の従姉が来て、侍女にレースとリボンで飾られた私を見て「人形みたいね」と言った。
私はこれを、「人形のように愛らしい」と言う意味に受けとった。
その従姉たちは、伯父伯母や両親が見てないところでは、使用人達に偉そ張り、剰え突き飛ばしたり偶然のふりをして扇で叩いたりしていた。
使用人であるからか、反撃や苦情を言う事はなく、黙って耐えていたのを見て、側仕えの侍女は貴族の次女や三女だが、メイドは平民も多く、ああいう扱いをしても上司や雇い主に訴えない事を学んだ。
それからは酷かった。
両親や貴族令嬢である侍女たちの前では天使のような愛らしい幼女で、メイドや雑役婦の前では悪魔のような、人を貶んだ陰湿で立ち回りのよい憎たらしい子供として、下の者には嫌われていた。
うまくやっていたつもりだったが、両親や訪問客はともかく、常に側に居る侍女にはバレていたのだが、ある程度の歳になると、侍女の眼をうまく避けてするようになった。
それでも、使用人同士の繫がりや休憩所での愚痴などでそれとなく話は回っていたようだけど、両親に告げ口をする様子はなかったので、そのままうまく『天使』と『悪魔』を使い分けるようになった。
ここまで思い返すと、とんでもないご令嬢である。
メィフィールド公爵家は、過去に何度も王族に娘を嫁がせたり、王妹が降嫁してきていたりと、王族に準じる家系だ。
父も35歳の若さで、宮廷ではそれなりにいい役目をいただいているようで、休みの日も部下らしき人達がひっきりなしに邸を訪れ、執務室にこもっていることが多かった。
伯母は王族には嫁がず、領地内に港町と穀倉地帯を持つ財産家の伯爵家に嫁いだので、少し拝金主義なようだった。
その娘の従姉たちもそんな母親を見て育ったからだろうか、使用人は見下すし、侍女の持ち物を脅して差し出させたり取り上げたり(恐喝?)するような、引きこもりに近い黒髪お下げに瓶底眼鏡の喪女だった私には、決して近づきたくない人種だった。
そして『天使』である私は、淑女教育やダンスやテーブルマナーなどの教養学習中のストレスを、隠れてメイドにぶつける『悪魔』になっても、物を取り上げたりはしなかった。そんな証拠の残るやり方は、頭の悪い人間のやる事。
扇で打つにしても、跡が目立たない服の内にするものだ。従姉たちは頰や手の甲を打つので、いつまでも腫れ上がっていたり切れて血が出たり、目について仕方ない。
7つになって、上位貴族の子息令嬢が集められ、王族の学友として選定された頃から、身体への物理的な行為は止めて、口で心を折る方法を覚えた。
その時知り合った同年代の子息たちには『天使』の私はもてはやされ、令嬢たちには親が高位貴族で逆らえない上に心を折ってくる『悪魔』として敬遠されていた。
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