聖女も勇者もお断り🙅

ピコっぴ

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今日から冒険者(仮)

🚯1 やってみたいこと

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 やって来ました。自由民協会ギルド

 建物は、救済監理局とそんなに変わらない、石材のどっしりした建物で、やはり三階建て。



「なにか、やりたい事とか好きな事ってあるの?」
「そうですね。好きな事は本を読むこととお菓子を作ることでしょうか。ここのキッチンや材料に慣れないのでいきなりは無理っぽいですが。
 やりたいというか、やってみたいのは、自由民株を買って、冒険者みたいなことしてみたいですね」

 せっかく異世界に来たのだ。しかも精霊チートつきで。なら、物語の主人公みたいな生活してみたいじゃありませんか。
 精霊達の情報では、自由民株というものを買って、それが身分証明書代わりで、国籍も持たず自由な、冒険者のような何でも屋を斡旋する組織があるらしい。

「君なら、ここの正式な国籍も与えられるのに態々わざわざ? そんな苦労をしたいのか?」
「まあ、憧れですか。現実は厳しいのでしょうが、物語やゲームに慣れ親しんだ世代としては、それが現実になるならやってみたいというのは、誰しも一度は思うことと言いますか」

「ふむ。異世界人ならではの感覚と言うことか」

 何やら、ガヴィルさんは納得したようだけど、そんなに変かな?

「殿下がお戻りになるまでの期間限定で、試しにやってみるのもいいかもね?」

 というアディライトさんの許可を頂きまして、マディラさんとガヴィルさんの付き添いで、自由民協会ギルドの建物に入る。

「あら、監理局のお偉いさんがなんのご用かしら?」

 受付の金髪金目の別嬪べっぴんさんは、嫌味ともとれる言葉で歓迎?してくれた。

「この子の付き添いだ。荒っぽい連中の洗礼を受けないようにと思ってな」
「あら。綺麗な髪。星竜様の鱗のような色味ね?」

 そうなのか。そう言えば、星竜が何属性のドラゴンなのかは聞いてなかったな。

「だから、仮購入だ。問題があれば即返却する」
「ええ? 止めなきゃならないんですか? 殿下さんが戻るまでは好きにしていいって⋯⋯」
「危険を冒すわけにはいかないでしょ? 安全が担保できないなら許可出来ないわ」
「あらあら、ずいぶんと過保護なのねぇ」

 ムッとした。けど、怒り出すのも大人げないのでジッとお姉さんを見るだけにする。

──アイツ、生意気~
──モモカのこと莫迦にしてない?

 知らないんだから仕方ないでしょ? 保護者付きのお子さまに見えるんじゃない?
 東洋人は若く(幼く)見えるというのは、異世界でも同じのようだ。
 なにせ、マディラさん達は、鑑定するまで私の事、10歳くらいだと思ってたらしいから。

「お嬢ちゃん、株を買えるお金か紹介状はあるのかしら? それとも信用借りで購入して、ちゃんと返済は出来るのかしら? 何が得意なのかしらね? ⋯⋯て、え? ええ!?」

 どうやら、私に対して【鑑定】 アプレィズ を行ったらしい。まあ、新しい協会ギルド会員希望者がいれば、鑑定するのは受付嬢の職務の一貫とも言えるだろう。
 そして、あの顔は、どうやら私のステータスに驚いているのではなく、視えなくて • • • • • 驚いてるみたいだ。何度も眼をすがめているから。

「おやおや? ベテラン受付嬢のカムリーさんともあろうお方が、小娘の鑑定も出来ないなんて事はないよな?」

 ガヴィルさんも、私を莫迦にしたような言い方に内心不快に思っていたようで、嫌味な言い方で返していた。

 どうでもいいから、私の仮入会を進めて欲しい。


 次話
🚯2 自由民協会《ギルド》
 

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