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竜王国って、竜の国?
🚷30 エコバッグ
しおりを挟むポリエステル繊維でウレタン繊維の混じった吸汗速乾シャツやスパッツは、みんな手に取って引っ張ったりして感心しながら、こちらで再現できないのを残念がっていた。
一通り確認した後、手元に帰ってくる。
こちらで着替えとしてもらったローブとロングガウンも着心地はいいんだけど、なんて言うか、コスプレしてる気分で落ち着かない。
それにしても、買い物袋、なんで、中身無しで畳まれてポッケに入ってたんだろう? 昨日まで入ってなかった気がするのに。
中身がないから、ここにあるはずがないと思い込みで気がつかなかっただけかな。
そんなことを考えながら、パステルカラーの藤色──商品名にはラベンダーってあった──を広げて中を見る。
静謐な湖水
なんとなくそんなイメージを抱く、透き通った紺碧が詰まっていた。
──畳まれてぺったんこだったのに?
畳めば、購入した時よりやや膨らんだ感じはあるものの殆ど絞りのデコボコ以外平たくて、何も入っているとは思えない。が、広げると、中はたゆたゆと、紺碧の何かが詰まっていた。袋の内側は見えない。
お水? ゼリー?
テーブルに置いて、口を開く。
「あら? 何か入ってるの?」
そう聞かれるほど、質量があるように見える。
手元にあった、林檎に見えるけどサクランボの食感と味の果物を、中に落としてみる。
スッと吸い込まれるように入って、見えなくなる。
袋の底に当たる音もせず、袋が揺れたりもしない。
林檎擬きはどこ行った?
指を突っ込んでみたら、お水のような液体の触感。それも、揮発性の高そうな。
──ボクの純粋な魔素霊気を満たしてあるよ
ぴちょんが自慢げに言う。なんのために?
──そりゃあ、中身を保持するためさ
──我もやりたい!!
──何言ってんの、土いっぱい詰まってたら、重くて持てないし、中身ダメになるじゃん
──そうそう、純粋な霊気の塊である水霊だからいいんじゃーん
──水だっていい加減重いだろ? 精霊なんだから、重さはないよね?
「もしかして、これ」
「そうね、そうみたいね」
「モモカ、これ、中を他の人には見せるなよ?」
「え? なんですか? ぴちょんが遊んで詰まってるだけなのでは?」
マディラさんもアディライトさんも顔を見合わせ頷き合い、ガヴィルさんが、このエコバッグを他人には見せるなと言う。
「気づかないのか? これは無限空間拡張収納袋だ」
異世界転移もの小説でも特に人気の高いアイテム、次元倉庫・亞空間収納・無限収納の、あれか、あれなのか。
──ボクの霊気に満たされていて、原状を維持するから壊れたり腐ったりしないし、ボクの霊気を充填すれば幾らでも入るよ
またひとつ、異世界チートが増えた。
しかもこれは、かなりお役立ち。
どういう原理でこうなって、質量はどうなってるのか解らないけど、移動に手荷物なく歩けて、中身の状態を維持出来るのは、身を守るのにも有効だし、財産を保管するのにとても心強い。
この中に入る物ならなんでも、態々担いで歩かなくてもいいのだ。
次話
🚯1 やってみたいこと
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