聖女も勇者もお断り🙅

ピコっぴ

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今日から冒険者(仮)

🚯13 上級魔法士

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 私の自由民株は、竜王国を基点に活動する魔法士として、通行手形やギルド承認魔法士資格証明にもなり、その株価は、購入当日から初期購入額より上昇していく。

「まあ、現段階で2倍以上の価値はあるな。採集クエスト中の丁寧さや配慮が主な評価だが、魔力の潜在能力への期待値も兼ねると更に上がるだろう」

 これは、有事のいざという時に、協会ギルドが保障してくれる金額でもあるらしい。
 また、この株価が上がるということは、仕事を受ける上で信用度にもなり、より上級クエストにも参加できるようにもなるという事。

 RPG感覚で行くと、冒険者ランクを上げていく感じかな?
 ステータスが数値化されていない(らしい)のに、ランク付けが株価っていうのも面白い考え方やんね。

──ボクたちが憑いてるんだから、モモカの価値はどんどん上がるよ!!
──ここでの生活は保障されたようなもんだね
──みんなで仲良くモモカを上級民にしていこうね

「実際、物理攻撃の方はどうなんだ?」
「あ、あんまり期待しないでください。護身術も殆ど出来ませんし、武器を持って走り回るなんて出来ませんよ」

──どうなるか、試してみたら?
──全力でも防げそうと思ったんでしょ?

「あ、この子達の誘いには乗らない方が⋯⋯」

 止める間もなく、ギルドマスターは振りかぶって、文字通り火のついた拳を繰り出してきた。

「お、おい、ダレン。冗談じゃないぞ。こんな子供にフルパワーか?」

 ガヴィルさんが慌てるけど間に合わない。

 私にはなんの衝撃もなく、火の熱も伝わることなく、ギルドマスターは拳が私に触れる手前で、まるでショーウィンドウに全力でぶつかるコントのように弾かれ、後ろに吹っ飛んだ。

「ググッ なるほど? こちらの攻撃が強ければ強いほど、そのまま衝撃が跳ね返るのか⋯⋯」

 後頭部を押さえながら立ち上がり、首を振ってから、私に届かなかった拳を揉むようにしている。

「危うく、自分の攻撃で拳を潰すところだったわ⋯⋯」

「モモカ、大丈夫なのか? なんともないのか?」
「耐久力を超えない内は、ほぼ反動はないみたいですね、この魔法」

 魔法と言っていいのか、己の魔力と精霊達の霊気を借りて纏うだけの生体魔法。どちらかというと、技能スキルとか超能力に近い気がする。

「モモカの魔力と比例した強度とみていいだろうな。低級魔物なら簡単に撃退できるだろう。だが、魔法が通じない魔物と出遭ったときの事を考えると、町の外でのクエストには、戦士系の同業者を同行させた方がいいだろう。一応覚えておいてくれ」
「はい」

 魔法が効きにくい魔物。噂に聞く魔神クラスの魔族とかかな。それはそれで、物理攻撃も効かなそうな気もするけど、確かにひとりでは対峙したくない相手やな。


「取りあえず、試験は合格だ。仮発行ではなく、本物を出す。
 ようこそ、セイル竜王国の、我が自由民協会ギルドロックウェル支部へ。歓迎するよ、モモカ・サザナミ上級魔法士」



 次話
🚯14 自由民協会長 vs.救済監理局副長
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