98 / 163
今日から冒険者(仮)
🚯13 上級魔法士
しおりを挟む私の自由民株は、竜王国を基点に活動する魔法士として、通行手形やギルド承認魔法士資格証明にもなり、その株価は、購入当日から初期購入額より上昇していく。
「まあ、現段階で2倍以上の価値はあるな。採集クエスト中の丁寧さや配慮が主な評価だが、魔力の潜在能力への期待値も兼ねると更に上がるだろう」
これは、有事のいざという時に、協会が保障してくれる金額でもあるらしい。
また、この株価が上がるということは、仕事を受ける上で信用度にもなり、より上級クエストにも参加できるようにもなるという事。
RPG感覚で行くと、冒険者ランクを上げていく感じかな?
ステータスが数値化されていない(らしい)のに、ランク付けが株価っていうのも面白い考え方やんね。
──ボクたちが憑いてるんだから、モモカの価値はどんどん上がるよ!!
──ここでの生活は保障されたようなもんだね
──みんなで仲良くモモカを上級民にしていこうね
「実際、物理攻撃の方はどうなんだ?」
「あ、あんまり期待しないでください。護身術も殆ど出来ませんし、武器を持って走り回るなんて出来ませんよ」
──どうなるか、試してみたら?
──全力でも防げそうと思ったんでしょ?
「あ、この子達の誘いには乗らない方が⋯⋯」
止める間もなく、ギルドマスターは振りかぶって、文字通り火のついた拳を繰り出してきた。
「お、おい、ダレン。冗談じゃないぞ。こんな子供にフルパワーか?」
ガヴィルさんが慌てるけど間に合わない。
私にはなんの衝撃もなく、火の熱も伝わることなく、ギルドマスターは拳が私に触れる手前で、まるでショーウィンドウに全力でぶつかるコントのように弾かれ、後ろに吹っ飛んだ。
「ググッ なるほど? こちらの攻撃が強ければ強いほど、そのまま衝撃が跳ね返るのか⋯⋯」
後頭部を押さえながら立ち上がり、首を振ってから、私に届かなかった拳を揉むようにしている。
「危うく、自分の攻撃で拳を潰すところだったわ⋯⋯」
「モモカ、大丈夫なのか? なんともないのか?」
「耐久力を超えない内は、ほぼ反動はないみたいですね、この魔法」
魔法と言っていいのか、己の魔力と精霊達の霊気を借りて纏うだけの生体魔法。どちらかというと、技能とか超能力に近い気がする。
「モモカの魔力と比例した強度とみていいだろうな。低級魔物なら簡単に撃退できるだろう。だが、魔法が通じない魔物と出遭ったときの事を考えると、町の外でのクエストには、戦士系の同業者を同行させた方がいいだろう。一応覚えておいてくれ」
「はい」
魔法が効きにくい魔物。噂に聞く魔神級の魔族とかかな。それはそれで、物理攻撃も効かなそうな気もするけど、確かにひとりでは対峙したくない相手やな。
「取りあえず、試験は合格だ。仮発行ではなく、本物を出す。
ようこそ、セイル竜王国の、我が自由民協会ロックウェル支部へ。歓迎するよ、モモカ・サザナミ上級魔法士」
次話
🚯14 自由民協会長 vs.救済監理局副長
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
110
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる