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自由民ギルド ロックウェル支部
⛔6 青碧の湖水に
しおりを挟む私は大量の水辺に近寄れないけれど、二人が長い間眺めるので、私もちろっと盗み見る。
ん? なんか、沈んでる?
取りあえず白草苺は五籠分収穫できたので、そのまま籠ごとエコバッグにしまう。エコバッグを広げて置いて、上から乗せるように籠を置くと、すっと消えるように収納される。
これで、苺が萎びたり腐ったりはしなくなる。私の、精霊チートのひとつだ。
改めて、ガヴィルさんの隣に立ち、湖を見る。
少し翠がかった深い青。ターコイズとピーコックの間の、とても綺麗なグリーンブルーの、透明度の高い湖水。
富士の忍野八海の湖水を覗き込んだような色で、ちょっとぴちょんの霊水と似てる?
──ふふん、そうだよ、星竜に分けてもらった青碧なんだ!
今までで一番のドヤ顔だ。本当に自慢なんだろう。
いつもみんなの話に出る星竜。どんなドラゴンなんだろう。
屏風絵に描かれる昇龍みたいなのかな?
モンハンみたいな翼竜なのかな?
某有名竜退治ゲームみたいなどっしりした、翼のある恐竜みたいなのかな?
──萌々香?
え? 今、カタカナ発音じゃなくて、漢字──文字に意味を含ませて正しく発音して、誰か私を呼んだ?
──そうだね、でも、ボクじゃないよ
──私でもないわよ
──聞き覚えない?
『萌々香、久し振りだな? だが、二十歳までまだ間があるんじゃないか?』
やや低いけど柔らかく優しい声。耳障り良く落ち着く感じ。
覚えがないかって? すぐには思い出せないけど、確かにどこか懐かしい気もするような?
「そうだよ、まだ、16歳。あと二ヶ月で17歳。二十歳まで三年あるわ。でも、それが?」
『そうか⋯⋯ すまないな、私のせいだろう。だが、よくぞ今までで無事であったな。ぴちょん以下それぞれ名を与えられた我が眷属達よ、萌々香の守護をよくしてくれた。これまでご苦労であったな、ありがとう』
──勿体ないお言葉、痛み入ります、です
──モモカの事、スキだから問題ないわ
──モモカといると心地良いし愉しいんだ
──このままずっと守護しててもいい?
『勿論だ、よく助けてやってくれ』
誰なんだろう。⋯⋯って、この場合、一人しか居ないよね? 一匹? 一頭? いや、みんなの信仰を集めてるんだから、一柱かな。
精霊達が敬い、精霊達に労いの言葉をかけ、同胞眷属と呼ぶ存在。
この声は、噂の星竜なんだろう。
でも、二十歳まで三年あるって、何の事?
次話
⛔7 雄大且つ優美な青碧
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