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心を守ってくれた優しい人
🚫11 魔法士から高嶺の存在へ
しおりを挟む薬剤調合魔法士のオリーブグリーンのローブを脱いで、金糸の刺繍が入った白い軍服にも似た正装をしている、オパールシルバーの瞳に、オパールシルバーブロンドのマクロンさんは、シャンデリアの光を反射して、眩しくて敵わない。
「萌々香。とても可愛いよ。母上の見立てはさすがですね。陛下に見せるのが勿体ないくらいだ」
それはどう言う基準かな。私が可愛らしすぎて他の人に見せたくないともとれるけど、私ごときを陛下に見せるなどもっての外ともとれるんだけど。
──どうして急に、そんな卑屈な事を言うの
え? いや、マクロンさんが思いの外、雲の上の存在過ぎて今まで通りに出来ないというか、ましてこれから国王様にお目にかかるとか、アイデンティティが崩壊するというか緊張が突き抜けて呆けていると言うか、ちょっと混乱してるだけです。
──その内慣れるよ
──これが日常になっていくんだし
え? なんか、慣れないというか、毎日常に緊張するというか、疲れそう。
どの人にも、悪気はないとは解ってるし、むしろ好意なんだと思う。
ワゴンにプチタルトと紅茶を用意して、お腹空いたのなんとかしてくれたし。国王様にお会いしてる時にお腹がぐーっとか有り得ない。
メイドの抱えるお裁縫箱みたいなケースは、大きい方がイヤリングやネックレス、ブレスレットや髪飾りなどの宝飾品(装飾品を超えてた)で、小さい方は、美容整体に必要なクリームとかオイルとかスパチュラなどの小道具とかだった。
今までは、ぴちょん基準の緑がかったミントブルーの髪だったり、他の精霊の色だったり日替わりだったけど、今はマクロンさんとお揃いに近い、パールホワイトのプラチナブロンドの地毛に戻っている。
彼ら曰わく、別に髪や瞳の色を染めなくても守護している事には変わりないので、特に拘りはないのだという。
評議国の人達は、魔力や霊力が弱く、精霊の守護がありますと、堂々と表明するのがステイタスだったみたいだけど、それって、他国ではそこまで拘ってはいないらしい。
複数の属性と守護契約してる魔法士も少なくないので、一色に塗り替える意味はないのだろう。
そうと知ってみれば、あの国で「月无」と呼ばれ不当な扱いを受けて落ち込んでいたのがなんと馬鹿らしいことだったのか。
「さあ、萌々香。陛下に会いに行こうか。大丈夫、心配はないよ。怖い人でも頑固オヤジでもないからね」
う~ん、そういう心配はしてないけど。
「異界人を取り込んで、異界の技術や知識を搾り取ろうとかも思ってない筈だから安心して。もし、そんな素振りを見せたら僕が全力で止めるし、なんなら、陛下の息の根も止め⋯⋯るまではしないけど、ちゃんと護るからね?」
今、なんか怖いこと口にしませんでした?
評議国の薬剤調合魔法士をやってた優しい面白イケメン俳優のマクロンさんは、どこへ行ったの~!?
次話
🚫12 廊下でもお父さん抱っこ
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