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心を守ってくれた優しい人
🚫14 温もりを分け合う
しおりを挟む芝生が広がる広いお庭の真ん中を通る、屋根のついた渡り廊下を、マクロンさんにお父さん抱っこされながら進む。
最初こそ、恥ずかしさと子供扱いされるような自尊心への刺激から抵抗があったけど、もはや馴れてしまった感がある。
それに、街道の醜鬼の巣に落ちた後、逃げ出したために離ればなれになってしまったからか、こうしてくっついてると安心する。
考えが暗いものや怖い物になると、マクロンさんの首や肩にきゅっとしがみつくと、体温が伝わって、一人じゃない、この人はいつも助けてくれる人だと安心するのだ。
甘えすぎだよね、私は何歳なんだ?と自分でも思う。
──いいんじゃない? 言ったじゃん? 心の安定のためには、一緒に居た方がいいって
──私達がモモカの魔力を舐め摂らせてもらって綺麗になるように、マクロンの温もりや霊気に触れて心の安寧を確保するのは悪いことじゃないと思うの
──むしろ、必然?
──そうそう
──きっと、彼も同じだよ
──モモカと触れていたら安心するから、すぐ抱き上げるんじゃない?
そうか。同じか。⋯⋯ほんとに?
確かめたい気もするけど、ただの子供扱いだったら恥ずかしいから、訊けない。
「重いでしょ? 自分で歩くよ?」
「どうしていつも、そう他人の表情を見るの? 嫌だったらしないし、竜血の一族は、普通の人間より筋力も体力も発達した血族だから、一見ひょろっとした魔法士でも、萌々香を抱いて歩くくらいなんともないよ。評議国でも、ずっと討伐遠征中こうして歩いてたから知ってるでしょ?」
「うん。悪いかなって」
「言ったよ? 嫌ならしない。それに、一度目の前で見失ってるからね、こうして抱いてた方が、ここに居ると安心するんだ。だから、嫌でなければこのままでいて?」
不覚にも、涙が滲んでしまって、見られたくなくて首っ玉にしがみつくようにして顔を隠した。
同じだった。離れてしまって、姿を見失ってしまって、不安だったのは、マクロンさんもだったんだ。
こうして甘えていてもいいんだ。
そう思うと、どんどん甘えてしまいそうだったけど、しばらくはいいかと自分に言い訳して、お城の中に入るまで彼の温もりを感じていた。
その間マクロンさんは、困ったり嫌そうにしたりしなかった。
次話
🚫15 ノリのいいイケオジさま
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