これって乙女ゲーム? ──残念ながら序盤しか知りません──

ピコっぴ

文字の大きさ
29 / 39
ドジっ娘(死語)は嗜虐心と庇護欲を掻き立てる?

お友達だってば

しおりを挟む
     😱

 お風呂に入り、寝る前に、グラディオーレ様とサロンでお話をしていると、お父さまが廊下から顔を覗かせ、私と目が合いグラディオーレ様が会釈すると、中に入ってくる。

「ちょっと訊きたいことがあるんだけど、いいかな?」

 金茶トパーズの髪を揺らして首を傾げ、サファイアブルーの瞳を私に合わせてくるお父さま。
 まだ三十代半ばで、気持ちが若々しいのか体質なのか、とても十五の息子と十三の娘を持つようには見えない。

「なぁに?」

「⋯⋯フロリスは、今、いくつかな?」
「先月で、十三になりましたけど?」
「そうだね、確かに、早い子ならデビュタントしていてもおかしくはない」

 うーん、私は、まだまだじゃないかな? 淑女教育も終わったとは言えないし、学校だって行ってないし、自分でも子供だって思う。

「ママはね、パパが今のフォオリウムと同じ十五歳の時に、デビュタントで見初めて、何度も求婚して、やっとママが十六の時に、ラークス侯爵家の曾祖父様とお祖父さまに許可を貰えて⋯⋯」
「その話、長くなります?」

 お父さまは、外では威厳ある辺境地領主の伯爵様の顔をしているけれど、家の中では、奥さん溺愛子供達大好き人間で、自分達夫婦のことをパパママと称している。
 そして、自分達のなれ初めだとか想い出を語り出すと長い。

「ああ、ごめんね、話が逸れかけたかな。言いたいのは、その⋯⋯」

 私の肩に両手を置いて、目を会わせていても、まだ、言いづらそうに口をもごもごさせている。

「お前が結婚するのは早いと言いたいんだろ?」
「お兄さま?」

 扉に凭れるようにして、お兄さまとアーベントシュティアン様が、腕を組んで立っていた。

「馬鹿馬鹿しい。二人ともまだ十三で、公務があるルシフはともかく、デビュタントもしていないフロリスが、結婚する訳ないでしょう? 婚約だってどこからも打診ないと記憶してますが?」

 それ、名家の娘としては、どうなのかと思うのだけど、お兄さま、何気に私をディスってます?

「だけどねぇ? さっきのを見るとね?」
「まったく。ルシフに訊いてみてはいかがですか? そんなつもりがあるのかと」
「ええぇ? そうだと言われたら、断れなくなっちゃうでしょ?」
「⋯⋯いずれはどこかに嫁がせるんだから、身元のハッキリした、より高貴な家に出すのは悪くないのでは?」
「王家なんて、色々と大変で、フロリスがすり減っちゃわないか心配だよ」

 呆れたお兄さまと、本気で心配しているらしいお父さまのやりとりは、私から見ても馬鹿馬鹿しい。そんなはず、ないでしょうに。

「お父さま。私と殿下は、お友達です。しかも、初めて会った十二歳のお茶会から、半年経っての今回の件でうちにお泊めする事になったのが二回目の付き合いですよ?」
「付き合いっ!?」

 何言っても、そう聴こえてしまうのかしら。

「今まで、アーベントが泊まっても、何も言わなかったのに、今回は過剰反応してませんか? 父上」
「だってさ、あんな、仲良しさんな姿を見せられたら、心配するでしょう?」
「ちなみに、アーベントならいいんですか?」
「勿論、アーベントシュティアン殿がいい子なのはわかってるし、フォオリウムの友人で、ヴェスペリ公爵とも付き合いはあるよ? でも、王弟子息じゃ、王家に嫁ぐのと変わらないんじゃないかな?」
「じゃあ、誰ならいいんです?」
「誰も嫌だけど、」
「嫌なんだ⋯⋯」
「勿論だろ、フロリスは、天使のようなに可愛い大切な娘だよ、遠くに嫁いで行っちゃうなんて、パパ、耐えられないからね? 婿養子をとって、このおうちでずっとパパと暮らそう?」

 これ、どう答えたらいいのかしら?



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~

二階堂吉乃
恋愛
 同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。  1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。  一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

 怒らせてはいけない人々 ~雉も鳴かずば撃たれまいに~

美袋和仁
恋愛
 ある夜、一人の少女が婚約を解消された。根も葉もない噂による冤罪だが、事を荒立てたくない彼女は従容として婚約解消される。  しかしその背後で爆音が轟き、一人の男性が姿を見せた。彼は少女の父親。  怒らせてはならない人々に繋がる少女の婚約解消が、思わぬ展開を導きだす。  なんとなくの一気書き。御笑覧下さると幸いです。

彼女が望むなら

mios
恋愛
公爵令嬢と王太子殿下の婚約は円満に解消された。揉めるかと思っていた男爵令嬢リリスは、拍子抜けした。男爵令嬢という身分でも、王妃になれるなんて、予定とは違うが高位貴族は皆好意的だし、王太子殿下の元婚約者も応援してくれている。 リリスは王太子妃教育を受ける為、王妃と会い、そこで常に身につけるようにと、ある首飾りを渡される。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!

花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」 婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。 追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。 しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。 夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。 けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。 「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」 フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。 しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!? 「離縁する気か?  許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」 凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。 孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス! ※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。 【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】

公爵令嬢は結婚式当日に死んだ

白雲八鈴
恋愛
 今日はとある公爵令嬢の結婚式だ。幸せいっぱいの公爵令嬢の前に婚約者のレイモンドが現れる。 「今日の結婚式は俺と番であるナタリーの結婚式に変更だ!そのドレスをナタリーに渡せ!」  突然のことに公爵令嬢は何を言われたのか理解できなかった。いや、したくなかった。 婚約者のレイモンドは番という運命に出逢ってしまったという。  そして、真っ白な花嫁衣装を脱がされ、そのドレスは番だという女性に着させられる。周りの者達はめでたいと大喜びだ。  その場所に居ることが出来ず公爵令嬢は外に飛び出し……  生まれ変わった令嬢は復讐を誓ったのだった。  婚約者とその番という女性に 『一発ぐらい思いっきり殴ってもいいですわね?』 そして、つがいという者に囚われた者の存在が現れる。 *タグ注意 *不快であれば閉じてください。

処理中です...